取引先から訴えられた場合 (訴状が届いたらどのように対処していくか2・対応編)
法務


この記事の目次

1.前回のおさらい

取引先が原告となって民事訴訟を提起され、訴状を受け取った場合について、前回(確認編)は、訴状等の一式を受け取った際にはまず「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」を確認すべきこと、受け取り後約1カ月~1か月半後に開かれる第一回口頭弁論期日(以下、「第一回期日」といいます。)に向けて、答弁書の提出などの準備・対応をする必要があること(放置することは絶対にやめるべきこと)などを確認しました。

今回は、訴状等を受け取って内容を確認した後、実際に第一回期日に向けてどのようなことを検討・活動し、第一回期日ではどのようなことが行われるか解説していきます。

2.管轄(そもそも、遠方の裁判所で訴訟提起された場合)

⑴ 問題点

昨今では、SNS・チャットツール・クラウドサービス等の普及により、遠隔地の当事者も容易に仕事ができるようになりました。その結果、遠隔地の当事者間でトラブルが生じた場合、一方から見て、遠隔地の裁判所に訴訟が提起されることも考えられるでしょう(例えば、東京に本店のある委託元の会社が、委託先である北海道の受託者に対して、東京地方裁判所を管轄裁判所として、500万円の損害賠償請求訴訟を提起するなど)。

この場合、訴訟を起こされた被告(上記例だと北海道在住の受託者)にとって、一度裁判所の期日に出席するだけで交通費等の費用支出を強いられる、といったことが問題となります。

⑵ 対応策

管轄権(裁判をどの裁判所が担当するのか、その範囲を示します。)の所在は、請求の種類や内容などによって決まります(民事訴訟法4条~13条)。 上記のような場合には、当該裁判所に管轄があるのか確認し、管轄について自己に有利な主張ができないか等を検討した上で、答弁書の提出に先立って(または同時に)、近くの裁判所での審理をしてもらうよう、移送申立書を提出して「移送の申し立て」をすることが考えられます。また、移送が認められない場合であっても、電話会議による審理ができないか裁判所と相談することも考えられます。

※なお、管轄のない裁判所に訴訟提起された場合であっても、管轄を争わずに、答弁書で事件の中身について認否や反論をすると、管轄が事後的に生じてしまう(「応訴管轄」といいます。)可能性があり注意が必要です。

(管轄や移送申立等については別稿でも解説予定です。)

3 答弁書の作成・提出

⑴ 答弁書の記載内容

答弁書には、大まかに、事件番号・事件名、原告・被告などを表示した冒頭部分、訴状に対応する本論の部分(請求の趣旨に対する答弁、請求の原因に対する認否)を中心に記載し作成します。

そして、相手方の請求の具体的根拠を記した「請求の原因」に対する認否は、訴状中の請求の原因で記載された原告が主張する事実に対して、(事実を)①認める、②認めない、③知らない、ということを述べることになります。
この点につき、認否もれがないように注意して作成することの他、原告の主張する事実に対して、①認めると記載した場合、その事実については争いがない事実として自白が成立し、証拠による証明がなくとも、その事実が存在することが前提となるので(後に撤回する場合には、厳格な要件を充たさなければ撤回できない)、慎重に主張を記載しなければなりません。
答弁書と併せて提出する証拠がある場合、被告側は提出証拠に「乙第〇号証」とナンバリングをすることになります。

⑵ 答弁書の提出

そして、作成した答弁書は、裁判所と原告に対してFAX・郵送・持参のいずれかの方法によってそれぞれ送付します。 その際、原告に対しては、原則として直接送付します(これを「直送」といいます。)。そして、原告に直送する際には送付書兼受領書を同封して、原告が答弁書一式を受領したことを確認するため、受領書をFAX・郵送により受領書を返送してもらいます。
提出書類一式は裁判所用と原告用だけでなく、被告用(本人控え)も作成しておきましょう。なお、裁判所に答弁書の控えを合わせて持参する場合、受付印を依頼すれば、控えに押印してくれます。

4 第一回口頭弁論期日

⑴事前準備

主な持ち物としては、本人確認資料、印鑑、筆記用具、手帳(次回期日の日程調整)、提出した証拠(原本)、提出した書面などの控えです。訴状や答弁書などの提出書面・証拠はコピーして、見やすいようファイリングおかれるとよいでしょう。

⑵期日中の活動

通常、第一回期日では、訴状や答弁書の内容に深く突っ込んだ議論は行われず、(おそらく、初めて裁判期日を経験される方であれば拍子抜けするくらい)形式的なやり取りが多いです。短くて5分程度で終わります(~20分程度)。

具体的には、①訴状や答弁書などが訴訟上提出された扱いにするため、それぞれを「陳述します」と述べること、②証拠取調べがある場合、証拠原本の確認、③訴状と答弁書の内容をみて、次回期日にどちらが(両方の場合もある)どのような事項について準備書面を作成するのか指示を受けること、④次回期日の日程調整があります。

⑶期日後

そして、次回期日に向けて準備を進めていくことになります。裁判期日は通常1カ月~1カ月半ごとに進行していきます。

まとめ(前回の解説も含む)

上記のうち、特に、

訴状等一式が届いたら、まず呼出状の内容を確認すること 答弁書を提出せず、第一回期日に欠席した場合は原則として原告の請求が認められるので、答弁書提出期限や第一回期日を意識して早めに落ち着いて対応をしていくこと(弁護士への相談はお早めに。)

答弁書を作成するにあたっては、訴状等を確認の上で対応方針を決め、原告の主張する事実に対して、適切に認否(認める・認めない・知らないなど)をすること

が重要です。

補足(弁護士への相談)

弁護士への相談はできる限り早い方が望ましいです。


その理由としては、上記の通りですが、準備期間の短さ、初動の重要性(主に方針決定や情報取得の観点から)、適切な答弁書の作成といったことが挙げられます。また、裁判期日は平日の日中に開かれるので、平日日中に裁判所に出向く必要が、本人尋問を除いて、ほぼなくなるという点は、弁護士に依頼するメリットといえるでしょう。

事案によっては費用対効果の問題もありますが、その場合であっても、初期の見通しを立てる観点から、相談だけでもされておかれた方が望ましいと考えます。

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