不祥事や炎上が発生した際の対応のポイント
法務


企業は人間が運営していますから、事業活動を続けていてく中で、時に不祥事が生じることはあり得ることです。また、近時はソーシャルメディア(SNS)で思わぬ「炎上」に見舞われることもあると思います。

不祥事には、様々な内容がありますが、例えば、
①商品やサービスに関する不具合(異物混入など)
②不正行為など刑法や行政法令に違反する場合
③社会倫理や道徳に抵触する場合(いわゆる「炎上」の場合)
のようなものが考えられます。

これらの不祥事が発生した場合に、企業としてどのような対応をすればよいのか、心構えは何か、その概要をご紹介させていただきます。

この記事の目次

1.不祥事が生じた場合の影響

はじめに、不祥事が生じた場合の影響を説明したいと思います。
企業が不祥事を起こした場合、関係者や社会からの「信頼」を喪失した状態になります。
まず確認したいのですが、企業は、「社会の役に立つ」と認められることによって、その社会的地位や経済的活動が評価され、社会の一員として利益を得ることができます。
そして、「社会の役に立つ」と認められる前提には、その企業が、法令遵守、社会的倫理や道徳の遵守といった「社会的要請に応えている」ことがあると考えます。企業は、「社会的要請に応えている」「責任を果たしている企業だ」と社会から一応の「信頼」を得て活動しているわけです。

不祥事を起こした場合、「社会的要請に応えている」という基本的な部分への「信頼」を失い、「社会の役に立つ」という評価も揺らぐことになります。
このような信頼の喪失は、売上や営業への影響を及ぼし、また法的責任や倫理的責任にも影響するため、結果として会社・事業の存続事態が危ぶまれる事態に繋がります。
これは企業の大小や、企業か個人事業主かといった区別を問わず共通のことだと思います。

不祥事・炎上対応というのは、この失われた「信頼」を回復できるように行動することになります。

2.基本的な姿勢

そこで、信頼回復のために必要な姿勢は次の点です。

①「正直に、誠実に」を心掛けること
②正確な説明・情報の公開を心掛けること
③できるだけ早く対応すること


①は、嘘や隠ぺい、ごまかしはNGということです。
不祥事が発生した場合、被害者や関係者の信用は失われかけています。
そんな中、嘘や隠ぺいなどの行動があった場合、被害者や関係者は、そんな企業は二度と信用しないと考えるのが通常だと思います。
信用の失墜は、その後の示談交渉にも影響が及びますし、他の取引にも影響が及ぶ可能性があり、当然業績にも影響が出るでしょう。

また、不祥事の内容によっては被害者がいる場合があり、被害拡大が想定される場合もあります。そのような場合、保身に走らないこと、その被害をいかに最小限に抑えるかを考えることが重要です。
不祥事対応においては、「正直に、誠実に」対応するという基本的な姿勢が特に重要です。

➁は、関係者の不安や不満を解消するために行動すべきということです。
不祥事が生じた場合、被害者や関係者、内容によりメディアや社会全体は、その企業の動向に関心を持ちます。その状況において、企業から何らの説明もないと、不安は募るばかり、また不満もたまっていきます。不祥事がSNSに投稿され、更なる炎上につながることもあります。
信頼を回復するためには、適切な内容の説明や情報公開をすることが重要です。

③について、不祥事発生後に何の対応もないと、その事象を無視しているとして更に炎上するおそれがありますので、できる限り早く謝罪を含めた対応をする必要があります。
企業によっては対応に社内決裁が必要な場合がありますので、事前に不祥事対応の手続を確認しておくことが重要です。

3.不祥事対応の基本的内容

信頼回復のために取るべき対応の基本内容は、おおむね次のようになります。

・適切なタイミング・内容での謝罪・情報発信
・事実確認と原因把握
・被害者等への対応(責任対応)
・再発防止策の策定と実施


これは基本的な内容ですので、事案に応じて実施する必要があります。
例えば、「被害者等への対応」や「被害拡大の防止」を最も優先させることもありますし、被害や影響が不特定多数・広範囲に及び、被害者・関係者にとどまらない場合には、「早期に情報公開」をするなどの対応を検討する場合があります。
また、「謝罪・情報発信」は初期段階だけではなく、事実の確認ができた時点や対応が完了した時点など、段階や場面に応じて随時行うことが必要です。

4.不祥事対応において重要な事項

(1)謝罪・公表内容に注意すること

不祥事対応においては、適切な謝罪と説明が必要です。不正確な説明は信頼回復になりませんし、不適切な謝罪は更なる炎上に繋がります。
もっとも、発生直後に、不祥事の正確な内容や事実関係の把握ができていないことはやむを得ませんので、その場合は、その旨を正直に説明することが大事です。その際には、現在調査中であることや今後の見通しなどを説明するにとどめるのが適切だと思います。

その後、事実関係や責任の所在が確認できた段階では、きちんと不祥事に関する責任を認めて謝罪することが必要です。この場合においては、誰に対して、なぜそれが問題だったのか、を明確にして、謝罪することが肝要です。

(2)自社や関係者の法的責任について念頭に置くこと

不祥事の内容にもよりますが、企業自身と内部関係者に法的責任が生じる場合があり、それによって不祥事対応の方針も異なりますので、発生初期の段階から、これを念頭に置いて行動する必要があります。
企業の法的責任としては、刑事責任、民事責任、行政上の処分が考えられます。
例えば、虚偽報告などの不正行為については、取引先との契約問題になりますし、場合によって監督官庁による調査や行政法令に基づくペナルティがある場合があります。不祥事の内容によっては、警察による捜査が想定されることもあります。

どのような法的責任が生じるのか、どのような対応が望ましいかについて、想定される責任内容がよくわからない場合には弁護士など専門家へのご相談をご検討ください。

5.具体的ケース

ここで、謝罪対応の具体例を見てみましょう。
2021年の炎上事例として代表的なものに、名古屋市長による「金メダルかじり」問題がありました。
これは、名古屋市長が東京オリンピックで活躍したソフトボール選手の金メダルをかんだことに批判が相次いだ事案ですが、問題発生日である8月4日夜、名古屋市長は「最大の愛情表現だった。金メダル獲得は憧れだった。迷惑をかけているのであればごめんなさい」とコメントを公表しました。
このコメントに対しても批判が相次ぎ、名古屋市長は5日に再度の謝罪、12日、16日に更なる謝罪をしています。

※参照:NHK政治マガジン「【時系列で詳しく】名古屋 河村市長 金メダルかむ~批判~交換へ」)

当初の謝罪として公表されたコメントは、誰に迷惑をかけているのか、どうしてその行為が批判されているのかの認識・説明が十分に示されておらず、また、利己的・保身的な内容であって、被害者の立場からの視点に欠けるものであったといえます。そのため、世間の理解を得られず、更なる批判が相次ぐことになったものと思われます。
この事例は政治家による不祥事ですが、適切な謝罪対応の必要性が分かる事例だと思います。

6.まとめ

以上、不祥事対応の基本的な心構えや基本的方針の概要を説明しました。
不祥事・炎上が生じた場合は、適切に対応をしなければその影響が甚大にもなり得ますので、社内のみで悩まず、専門家へのご相談もご検討頂ければと思います。

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