株式会社において役員の任期が切れてしまった時の対応とみなし解散について
法務


この記事の目次

1.取締役の任期はいつ満了する?

株式会社の取締役の任期は、会社法上「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」とされています。
公開会社でない株式会社(株式の一部でも譲渡制限が付いている会社)は、定款で「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで」取締役の任期を伸ばすことが出来ます。

「任期10年」と言っても、10年経ったら満了するわけではありません。
「10年以内に終了する最終の事業年度」についての「定時株主総会終了時」に満了します。

わかりやすく説明しましょう。

取締役1名のA株式会社があるとします。
設立は平成24年の5月で、取締役の任期は会社法上最長の10年としました。
事業年度は定款で「毎年1月1日から同年12月31日まで」となっていて、社長は毎年2月に確定申告をしていました。
A株式会社の取締役の任期が満了するのは、事業年度終了後、定款の規定により一定の時期に召集される第10期の定時株主総会の終了の時です。
実際に10年が経っていなくても、任期は満了します。

2.任期満了時の改選の手続はどのように行うか

決算期を迎えた年末、「確かうちは役員の任期が10年だったはずだ。10期だから、そろそろ来るのでは」と社長は考えました。
社長一人が引き続き取締役である場合でも、株主総会で「取締役選任」の議案を上程し、株主の承認を受ける必要があります。

定款で「当会社の定時株主総会は、毎事業年度の終了後3か月以内に招集」となっているので、令和4年の3月末までに第10期の定時株主総会を開催し、取締役を選任し、役員変更登記を申請します。
株主総会の日付で「重任」と登記され、この日からまた新たな任期が始まります。

3.もし任期が切れたままであるのに気づいたら

A株式会社の社長は取締役の任期が10年だったと思っていましたが、定款を確認したところ、「選任後5年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで」となっていることに気が付きました。

取締役の任期は平成29年に開催された定時株主総会の終了時点で満了しています。
もし株主総会が開催されていない場合、開催されるべき期間の満了日で取締役の任期も満了しますので、平成29年3月31日で任期満了退任していることになります。

登記をすることを怠ると、100万円以下の「過料」に処せられます。


金銭罰で代表取締役に対して課せられるので、会社の費用とはならないことに注意が必要です。

4.みなし解散とは

上記のように、株式会社において役員の任期は最長10年なので、10年に一度はどのような株式会社でも必ず登記が発生します。
株式会社であって、最後に登記した日から12年を経過すると、「休眠会社」として扱われ、登記所に「事業を廃止していない旨の届出」をしない場合、解散したものとみなされてしまいます。(会社法第472条)

令和3年度は10月14日(木)に「最後の登記後12年を経過している株式会社で、まだ事業を廃止していないときは、本店を管轄する登記所にその旨の届出をして下さい」という官報への公告と通知書の発送が行われました。

※法務省:令和3年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について

令和3年12月14日(火)までに「まだ事業を廃止していない」届出または必要な登記(最長10年で任期満了による役員の変更登記など)の申請がされないと、12月15日(水)付で解散したものとみなされ、職権で解散の登記がされてしまいます。

この場合、会社を継続できるのはみなし解散の登記から3年以内と決められています。

5.まとめ

株式会社であれば、10年に一度は必ず役員の登記があります。



怠ると過料、最悪は会社が解散された状態になってしまっていることもあり得ますので、決算期には必ず役員の任期を確認し、登記所からの通知があれば、速やかに対応しましょう。

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