改正食品衛生法が施行された!改正法の概要や事業者が見るべきポイントを解説
法務


食品による健康被害を防ぐ目的で「食品衛生法」という法律が定められています。食品を扱う事業者は、同法に従い、社内体制や食品等の管理・運用をしなければなりません。
そして2018年に改正法が公布され、2021年からは改正法に従った本格的な実施が始まっています。そのため、改正法の内容を詳しく知らない事業者は早急に対応しなければなりません。
以下では、「食品衛生法が改正されたことをよく知らない」という方に向けて、最低限知っておくべき概要を説明していきます。

この記事の目次

食品衛生法が改正された具体的な理由

食品衛生法は、その名の通り、食品の衛生に関して規律している法律です。その目的は以下のように明記されています。

この法律は、食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図ることを目的とする。

引用:e-Gov法令検索

つまり飲食による健康被害を防ぐために必要なルールを定めているのです。ただ、危害防止の実効性を確保するには、飲食の実態に即した内容でなくてはなりません。そして飲食の実態は、法律が制定された当時といつまでも同じであるわけもなく、社会情勢の変化にも伴い変化し続けています。
その結果、改正の必要が出てきます。具体的には、以下の変化が今回の改正までの間に起こっています。

・世帯構造の変化
・外食や料理食品等のニーズ増大
・食のグローバル化が進展(輸入食品の増加)


例えば、「食料支出のうち料理食品や外食が占める割合」は、共働き世帯・65歳以上の夫婦世帯いずれも平成16年~平成26年にかけて増大しています。また、「外食産業の市場規模」については平成23年あたりでいったん縮小が起こっているものの、平成15年~平成28年と広い視点で見れば増加しています。中食産業(料理品小売業)に関しても平成15年~平成28年でおおむね増加傾向にあります。

参照:厚生労働省 - 法改正説明資料

法改正に至った背景としては、もう一点大きな要素が挙げられます。

それは「食中毒発生数の下げ止まり」です。
平成11年から減少傾向にあった食中毒発生数ですが、平成20年を超えたあたりからは下げ止まりしています。飲食店・仕出し屋・旅館という主な原因施設別で見ても同じような状態であることがわかっています。

以上の背景を受け、2018年(平成30年)、食品衛生法等の一部を改正する法律が公布。公布から一定期間内に施行するとし、2021年からは本格的に改正法に従った管理運用が求められています。

改正食品衛生法の概要

食品衛生法の改正により変わったことを簡単に下表にまとめました。


要点内容
広域におよぶ食中毒への対策強化 広域にわたる食中毒を防止するため、国や都道府県等が連携できるようにする。広域連携協議会の設置により、迅速な対応を目指す
HACCPに従った衛生管理の制度化 一般衛生管理に加えて、HACCPに沿った衛生管理の実施が求められる 健康被害の情報届出が義務化 特別の注意を要する成分等を含む食品に関連して健康被害が生じたとき、事業者は行政への届出をしなければならない
食品用器具や容器に関してポジティブリスト制度を導入 食品用器具、容器包装に関して、安全性が認められた物質だけを使用可能とする「ポジティブリスト制度」を導入
営業許可制度の見直し・営業届出制度の創設食中毒のリスク、食品産業の実態を踏まえて、営業許可が必要な業種が見直される。また、食品等事業者が把握できるように営業の届出制度を新設
リコール情報の報告が義務化 食品等の自主回収を行う場合、自治体を通じた国への報告ができるようにし、リコール情報の報告を義務とする
輸入食品への安全性確保を強化輸入食品の安全性を確保するため、乳製品や水産食品の衛生証明書の添付が輸入要件となる


まずは、これら7点につき大きな変更があったと理解しておきましょう。自社が配慮しなければならない具体的なルールについては次項で説明します。

事業者が抑えるべきポイント

改正食品衛生法のうち、特に事業者が留意すべきポイントを挙げていきます。

HACCPに従った衛生管理

HACCP(ハサップ)とは、Hazard Analysis and Critical Control Pointの略称です。
事業者自ら食中毒等の要因を把握(Hazard Analysis)し、入荷から出荷までの全工程において危害要因を除去するため特に重要な工程を管理(Critical Control Point)、もって製品の安全性確保を図る衛生管理の手法のことです。

ただ、これまではHACCPに従った管理までは求められておらず、大規模な事業者以外だとその普及は30%ほどに留まっていました。そこで改正法ではHACCPに従った管理を制度化し、原則として全食品等事業者にこれが適用されます(小規模営業者等は簡略化したアプローチで足りる)。

事業者が実施するのは主に以下のことです。

・衛生管理計画を策定し、従業員に周知させる
・必要に応じ、清掃・洗浄・消毒・食品の取扱いに関して手順書を作成する
・衛生管理の実施状況を記録・保存する
・衛生管理計画と手順書の効果を検証し、必要に応じて内容の見直しを実施する


事業者の規模や業種によって、参考にすべき基準が分かれますので要注意です。

被害情報やリコール情報の届出

健康被害が生じた原因として、厚生労働大臣が定めた特別の注意を要する成分が関連していると疑われるケースでは、その情報の届出が義務となります。 サプリなど、健康食品と呼ばれる食品による被害が増えていることを受けて同制度が設けられました。

また、リコールを行う場合にも行政への届出が義務付けられています。
届出された情報はネット上を公表し、消費者がリコール対象の商品を確認しやすくするためです。報告対象になるのは「食品衛生法に違反する食品等」と、そのおそれがある食品等です。
他方、「不特定多数に対して販売されておらず、回収が容易であることが明らか」「消費者が飲食しないことが明らか」なケースには適用除外です。後者については、消費期限や賞味期限を超過しているものなどが該当します。

手引書も参考に衛生管理に取り組もう

法律については「知らなかった」が通じません。そのため違法な業者と評価されないためにも、改正食品衛生法に準拠した運営を心掛けましょう。 HACCPに関しては、各業界団体が手引書を作成していますので、これを参考に衛生管理に取り組むと良いでしょう。

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