ポータルサイトが独禁法違反!?「食べログ被害者の会」から見る独占禁止法
法務


2022年4月4日、グルメポータルサイト「食べログ」に対し、大手焼き肉チェーン店運営会社(以下、同社)が「食べログ被害者の会」を立ち上げ、集団での法的措置を取ると呼びかけたことが話題になっています。4月20日現在、すでに訴訟が係属中であり、その争点は“独占禁止法”違反であると同社が指摘しています。
今回は、この事例から独占禁止法について考えていきたいと思います。

この記事の目次

1.「食べログ被害者の会」に関する事案の概要

本事案は同社が「食べログは“チェーン店ディスカウント”を設定・運用した」と指摘したところからはじまります。
これが真実であれば、チェーン店としては顧客の減少や品位の低下にかかわる重大な問題であるとして、全国約4000チェーン飲食店により「食べログ被害者の会」を立ち上げ、集団での法的措置をとることを呼びかけました。

同社は、2020年5月時点でチェーン店差別による損害賠償請求訴訟を提起しています。そこでは、恣意的な点数の歪ませることは公正競争を乱す、優位な立場を利用し特定の飲食店に対して不当に不利益を与えている、などとして独占禁止法違反を指摘しています。
今回の「食べログ被害者の会」発足の呼びかけは、そこに追い打ちをかける形になるわけです。

2.何が独占禁止法違反に当たるの?

a.評価点数や掲載順位の仕組み

今回取り上げられた“チェーン店ディスカウント”とは、チェーン店だけを対象として評価点数を恣意的に下げるアルゴリズムです。同社によると、「ユーザーがつけた口コミ点数とは関係なく」評価点数が決定される不当な評価制度であるとのことで、評価点数の恣意的な操作が認められれば独占禁止法に違反する恐れがあります。
公正取引委員会の実態調査の中でも、評価点数や掲載順が不透明であり、運営会社が恣意的に捜査をすることは独占禁止法にあたる恐れがあると発表されたことから、その他のポータルサイト等にも影響を及ぼしています。

また、高額な手数料を支払っている飲食店が上位に掲載されていることが公取委の調査により明らかになりました。したがって、低額、または無料のプランで契約している飲食店にとっては顧客の流入が見込みづらいことになります。
恣意的な評価点数や掲載順位により、高額な手数料を強いることになる現状は、独占禁止法上の「優越的地位の乱用」に該当する可能性があることも指摘されています。

b.優越的地位の乱用

「優越的地位の乱用」とは、取引上の地位が相手方に優越している場合に、その地位を利用して正常な商習慣に照らし不当に不利益を与える行為のことです。独禁法の中の不公不正な取引の一類型として禁止されています。
公取委によれば、取引依存度や取引の必要性、取引先の可変性、市場における地位などを総合考慮して、優越的地位に該当するかを決定するとガイドラインを示しています。 食べログに限らず、大手ポータルサイトは消費者の意思決定に対して強い影響力を持ちますから、優越的地位を持つとする見方が強まっています。

従って、これらポータルサイトによる高額な手数料を強いる現状は優越的地位の乱用に該当する恐れが高く、それが直接的なものでない場合にも問題になる可能性があります。 特に、評価形態がブラックボックス化された今回の事例のような場合、その不透明性から更にその見方が強まることも否定できません。

c.他ポータルサイトの利用制限など

差別化を図る目的で、他の競合ポータルサイトの利用を制限するケースも報告されています。発行するクーポンの内容を競合ポータルサイトよりも有利なものにする、競合ポータルサイトに予約座席の在庫数を渡さないように制限するなど、どれも独禁法に抵触する恐れがあります。
そこに付随して、強制的な契約変更や評価点数の恣意的な操作などが認められれば、独禁法だけに留まらず、その他法律に抵触する可能性もあります。

3.“消費者”目線から見る独占禁止法

ポータルサイトに限らず、その他ECサイト等の消費者に大きな影響を及ぼす恐れがあるサイトの場合、消費者からの目線を今一度確認する必要があるでしょう。
今回の事例に関して、ポータルサイト運営会社は飲食店からの手数料に加え、残席数や予約実績をもとに掲載順位を決めていると主張したのに対し、消費者の9割がそのような評価形態になっていることを認識していませんでした。この評価形態の不透明性は、飲食店だけでなく消費者にも不利益を及ぼしているという見方も少なくないでしょう。

従って、独占禁止法に抵触する、またはその恐れがある場合、事業者同士だけの不利益に留まらないという意識を持つ必要があります。

4.まとめ

事業をする上で、その業種により様々な関係法規を遵守する必要があります。また、事業より大きく展開しようとお考えの場合、さらに多くの法律に縛られることになるでしょう。独占禁止法は、そのような影響力のある会社に密接に関わる法律です。

しかし、事業の規模が小さくても考慮しなければならない法知識は数えきれないほど存在します。現時点では顕在化していませんが、いずれ表出する問題を抱えているかもしれません。
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今一度、事業の関係法規やその注意点を見直してみてはいかがでしょうか。

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