4月1日成人年齢引下げによる未成年者、成年被後見人と会社法との関係は?成年被後見人でも取締役になれる?
法務


この記事の目次

1.未成年者は会社の役員となれるか

未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければなりません。(民法第5条第1項)
そして、この規定に反する法律行為は、取り消すことが出来ます。(同条第2項)
未成年者の法定代理人とは誰でしょうか。

民法第824条には、「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。」となっていて、親権者が未成年者の代理人となります。 また、民法第823条では、「子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。」とされています。
そして、民法第6条では、「一種または数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。」となっています。

未成年者は会社を設立することができるのでしょうか。
そして、取締役等の役員に就任できるのでしょうか。
株式会社設立の場合の発起人に欠格事由はありません。
従って、判断能力のある未成年者であれば、法定代理人の同意を得て、会社を設立することが出来ると考えられます。 株式会社であれば、定款認証+登記申請の手続が必要となります。

公証役場においては、発起人個人の印鑑証明書を提出する必要がありますが、おおむね15歳未満の方は印鑑証明書を取得することができません。 この場合は、親権者が代理人として、印鑑証明書等の書類を提出し、手続を進めることが出来ると考えられます。

それでは、未成年者は設立した会社の取締役等の役員となることが出来るのでしょうか。
株式会社の設立登記、取締役の就任による変更登記などでは、取締役個人の印鑑証明書の添付が必要となる場合があります。 また、株式会社、合同会社ともに代表取締役、代表社員となる場合には、3か月以内の印鑑証明書が必要となります。
15歳未満で印鑑証明書が取得できなければ、取締役や代表者には就任できないことになります。

2.成年被後見人は会社の役員となれるか

それでは成年被後見人の場合はどうでしょうか。
成年被後見人の法定代理人は成年後見人です。
後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表します。(民法第859条) また、成年被後見人の法律行為は取り消すことができます。(同9条)
後見開始は「事理を弁識する能力を欠く常況」ですから、成年後見人が同意をして、被後見人が法律行為を行うことはありません。 成年後見人は、「代理権」「取消権」があり、「同意権」はないことになります。

3.成人年齢引下げと、会社法改正の影響は

令和3年3月1日から、会社法改正により、取締役の欠格事由である「成年被後見人若しくは被保佐人」が削除され、成年被後見人でも株式会社の取締役に就任できることになりました。
併せて様々な法律の見直しが行われ、司法書士法においても、司法書士の欠格事由から成年被後見人が外されています。

成年被後見人が取締役に就任するには、成年後見人が【成年被後見人の同意】を得たうえで、【成年被後見人に代わって】就任の承諾をしなければなりません。(会社法第331条の2第1項)
また、成年被後見人がした取締役の資格に基づく行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができないこととされました。(同条第4項)

印鑑登録については、条例の改正により、被後見人でも登録可能とする市区町村も増えているようです。
また、今年の4月1日から成人年齢が引き下げられ、18歳からは完全な行為能力を有し、会社の設立や役員就任も一人で出来ることになっていることも併せてご留意下さい。

4.まとめ

もし、会社を経営していて、認知症になってしまったらと考えることは、決して他人事ではないと思います。
株式会社と役員との関係は、民法の委任に関する規定に従うため、取締役が後見開始の審判を受けたときは、委任の終了事由に該当し、一度は退任することとなります。しかし、会社法の改正で、改めて取締役として選任されることも可能となりました。
同様の事情で、取引の相手方が18歳以上または成年被後見人等であることも考えられますので、十分にご注意頂ければと思います。

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