1.リスクマネジメントの概要
リスクマネジメントとは、リスクを正しく把握し最適に管理することでリターンを最大化し企業価値を高める活動をいいます。具体的には、リスクを認識して、優先順位をつけ、優先度の高いリスクから最小化していく作業となります。
リスクの種類には、以下のような多種多様なリスクが想定されます。発生頻度や影響の度合から優先順位を付け、対応策を検討していきます。
・環境リスク(戦争・政治・経済・犯罪・災害・事故・法改正など)
・財務リスク(信用・回収・マーケット・投資・税務・敵対的買収など)
・リーガルリスク(訴訟・知的財産の侵害・従業員不正など)
・経営リスク(競合・人的資源・コミュニケーション・研究開発・生産管理・物流など)
・IT(情報技術)リスク(ウイルス・ハッカー・情報漏洩・システムダウン・情報セキュリティ)
2.リスクマネジメント体制の構築
リスクマネジメントを行うには、専門の担当部や人員は必ず必要なわけではありません。ただ、企業を取り巻くリスクは、社会経済情勢、技術革新、自社・競業他社の戦略等により変化します。そのため、リスクマネジメントは、恒常的に設置された組織体制によって行うことが望ましいといえます。
この組織により定期的なリスクの評価を行い、対策が適切かどうかの検討を持続的に行うことになります。
一般的には、社長をトップにして各部門のマネージャーや担当者により組織されたリスク管理委員会を設置することが多いでしょう。どのような組織を構築するかは各企業の判断に委ねられますが、いずれにせよ全社員がリスクとその防止策を適切に理解していることが重要となります。
リスクマネジメントについては、一般的には、以下のような業務を行います。
①リスク管理の基本方針
②リスク管理規程の策定
③リスク管理の担当部署
④リスク管理のモニタリング
⑤リスクが顕在化したときの対処
一般的な想定リスクは無数にありますが、重要度は各企業によりそれぞれです。
過去に実際に顕在化したリスクは、将来発生する可能性が高いため、過去のリスクを検証することも重要です。
重要なのは、経営を阻害する可能性が高いリスクを具体的に特定し、対策が有効かどうかを監視していくことになります。
3.まとめ
リスクマネジメントは、これまで担当者、責任者、社長がそれぞれ場当たり的に行ってきたいリスク対応について、事前に対応策を策定し、それに従って対応することを目指すものになります。リスクマネジメントを適切に行うことにより、対応が遅れることで損失が拡大したり、ブランドイメージの低下などの二次被害を回避することが可能です。
まずは簡単な仕組み作りから行っていき、徐々に組織的な管理を目指すのが良いでしょう。