会社設立の際に気をつけたい3つのこと~事業目的編~
法務

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会社設立の手続きは、昔と比べてだいぶ楽になりました。書類の内容や手続きだけを考えれば、時間さえあれば誰でもできるようになったと言っても過言ではありません。 ただし、闇雲に会社の項目を決めてしまうことはお勧めできません。

長い目で見た時に、取引先や金融機関といった外部からどのように見られるのか ? またリスクや、変更にかかるコストはどうなのか ?
それらを知った上で、適切な形の会社を作る必要があります。

今回はそういった実務的な目線に立った法人設立に関係する内容「事業目的編」を解説いたします。


会社設立時に決める事業目的について


現在、事業目的の項目は、法に触れているか、日本語として意味不明ということでもなければ、どのような文言でも通るようになっております。

基本的には、こちらに入っている文言であがった収益を「売上」計上し、それ以外を「雑収入」扱いするという理解でよろしいかと思います。 選択の幅を広げるため、できるだけ多ければ良いかと言うとそうでもありません。


会社設立時は事業目的の順番にも注意


普通であれば、創業当初に本業として考えられる事業内容を、上から順番に記載するものです。
ただし稀に順番を気にせず入れてしまう方や、もちろん後で変更する必要が出てくるということも有り得ます。

こういった状況の事業目的を、金融機関の目線で見ますと、「上から3つまでの事業目的が現時点の本業でない場合、既に何らか事業で失敗しているのではないか ? 失敗があるため、現時点で借入を申し込もうとしているのではないか ? 」と考える担当者もいます。

またこれらの項目は『履歴事項全部証明書』に記載される内容です。読んで字のごとく、履歴事項が全て記載されますので、変更の履歴についても確認することができてしまうため、最初の設定がとても大事になります。 (とは言っても突発的な事業目的の転換は有り得ることです。それら見越した事業目的の設定を考えましょう。)


事業に必要な許認可を理解し、無駄な登記変更を回避


例えば『損害保険の代理業』といった文言が入っていなければ損害保険の代理店には加盟することができません。後から文言を追加する場合、登録免許税3万円をかけて事業目的に関する登記の変更をしなければなりません。(1項目の変更でも10項目の変更でも値段は変わりません。)

損害保険の代理店は、不動産仲介業や板金塗装の店舗等ではほぼ必須の事業目的と言えます。この他にも、許認可に絡んだ文言は複数あり、事業内容をお伺いした上でいつもご提案させていただいております。

ちなみに、それでは許認可の際に必要となる文言をすべて入れておけば良いのではないか?と考えますと、NGです。金融機関から見た時に、「許認可を取らずに、事業目的に書いてある項目を行ってしまうのではないか ? 」という様に、逆に違反となる可能性を高めてしまうと捉えられてしまうことがあるためです。


独特の日本語使い


旧商法時代では、事業目的について適法性、営利性、具体性等、文言についての規定がきちんと定められておりました。
これらが緩和されたのが現状です。つまり昔の(と言っても10年程ですが)会社であれば、それらの規定に則った形で事業目的を定めていたのです。 どういうことが起きるかと言うと、日本の大半の中小企業はこれらの規定に準拠した事業目的のままであるということです。

そのため、異質な文言を見ると、見る人によっては違和感を感じる方もいらっしゃいます。そこまで気にしないという方も多い反面、雑に作った会社だな、という印象を持たれてしまうのも、せっかく会社を作るという作業の中でもったいないことだと思います。従って、既存の会社で使われていたことのある文言を使うことが、変な目で見られないコツになると言えます。


まとめ


以上、事業目的について、実務上、実際に問題となったことがあるケースについて述べました。上記を踏まえて、専門家に依頼することをおすすめいたします。

ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES VALL行政書士法人 徳山紗映子のページ

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