従業員の残業削減のために取り組むべき5つのこと
法務

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「どうしたら従業員の残業を減らせるのか ? 」という悩みを抱えてらっしゃる経営者様は多いと思います。

残業については、特に仕事が残っているわけではないのに、定時に帰ると白い目で見られるといった「社内の雰囲気が原因で残業せざるを得ないケース」や、「非効率な仕事の進め方によりダラダラと居残っているケース」もあれば、ビジネスの仕組みとして構造的に残業せざるを得ない仕組みになっているケースもあります。

後者は、ビジネスの仕組みそのものに手を加えなければいけないですが、前者の場合はちょっとした工夫次第で残業を削減することは可能です。本記事ではダラダラ残業や、帰宅しにくい雰囲気が職場に生まれている場合等におすすめできる方法を紹介いたします。


残業事前申請・許可制度


たとえば、どうしても残業しないとその業務が終わらないという業務が存在する時は、終業時刻に達する前に従業員が上司に対してその旨を申請し、上司は当該業務の内容、業務量、進捗状況、納期等を考慮して、残業の必要性を判断して残業許可を出すという制度を導入する方法があります。

書面の提出でもいいですが、上司が外出している、休暇中である、など許可の対応ができないケースもあるので、ウェブ上に申請提出ページを設定するなど、外部から社用携帯などで上司が確認し許可を出せるような仕組みを作ることが必要な場合もあると思います。

ただし、このシステムでは、管理する側である上司に、部下の業務を適切に理解・管理する能力が必要となります。実際はなかなか1日ごとに残業申請の許可・不許可を判断することは難しいと思われますので、1か月単位で残業時間の限度(例えば月15時間など)を定めておき、超えそうな場合は上司が当該従業員の業務内容を調査して負担を減らすなどの対応を行うという方法もよいかと思います。

そのうえで定額残業制度を合わせて導入すると、「ダラダラ残業していても何も良いことがない。」と感じるので、残業削減につながると思います。


違法な長時間労働をさせていたとして労働局から指摘を受けたケース


しかし、このような方法を取ったとしても、管理する上司側が部下の業務量の管理を怠ったり、15時間以上の残業を指示あるいは黙認していたり等、適切に運用がなされないと効果が生じません。

つい最近の事例ですが、HISが違法な長時間労働をさせていたとして労働局から指摘を受けています。この事件では、上司が残業を指示していたのか黙認していたのか、詳細は不明ですが、長時間労働抑制のための仕組みを整えなければ、刑事事件に発展してしまう典型例だと思います。

参照 : HIS違法労働で書類送検 残業100時間超えも


残業禁止命令


次に紹介するのは、就業規則上、残業を禁止する規定を作成し、かつ残業禁止命令が出ていることを社員全員に周知しておく方法です。 社内に「○○時に帰ろう。」「残業する場合は上司に申請をすること。」などと記載した紙を貼っておいたり、あるいは業務管理システム上に表示しておく等の方法が考えられます。

ただし、この方法を採用する場合、管理職の従業員を通じて、「原則残業禁止だから早く帰宅するように。」等と、帰宅を促したりといったことを日常的に行っておくことが非常に重要です。

なぜなら、就業規則などで形式的に残業禁止を定めていても、実態としては当たり前のように残業が繰り返し行われており、上司や社長もその状況に異を唱えなかったというような場合、黙示的に残業が認められていたのだから、残業代が発生する、と裁判所に判断される可能性が高いからです。

規程と運用、双方がしっかりと機能していなければ、残業禁止が効力を生じない、という点は注意が必要です。


10時に全員で朝礼を行い、終業時間である19時にも終礼


これは比較的アナログな方法ですが、取り入れている企業も多いようです。

通常の勤務時間と残業時間を一つのイベントによって明確に分けることで、ダラダラ残業を減らす効果があります。


退社時刻を毎朝宣言


何時に帰宅するのかを毎朝宣言する方法です。宣言する場は、朝礼、あるいは勤怠管理システムや業務管理システム上でもよいかと思います。

宣言すると、その時間までに仕事を終わらせないといけないという心理的負荷がかかるので、どのように仕事を進める必要があるのかを逆算するようになります。

また、従業員同士で仕事をシェアできる雰囲気作りをしておけば、特定の従業員が長時間残業する恐れがある日でも、仕事をシェアして長時間残業を防ぐこともできます。


賞与増額による残業を減らす方法とは


残業の少ない従業員には賞与を増額という形で還元する方法です。
制度として導入することで、残業を減らすインセンティブを従業員に与える効果が期待できます。


まとめ


いかがでしたでしょうか。単純でアナログな方法もありますが、このような方法が効果を発揮することは結構あります。特に定時で帰れない雰囲気を従業員が感じてしまい、それが残業につながっているようなケースでは、劇的に効果を発揮するようです。
一つではなくいくつかの方法を組み合わせることで、より効果を発揮することもありますので、自社の特性に合わせてカスタマイズしていただければと思います。

ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : 寺口法律事務所 寺口 飛鳥のページ

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