ITを導入するとお金がもらえる ? 経営者とITベンダーの双方にメリットがあるIT導入補助金
経営



今年からスタートした「IT導入補助金」という制度についてご存知でしょうか ? この制度は、中小企業が生産性向上を目的にITツール(ソフトウェア、サービス、HP等)を導入する際、経費の一部を国が補助してくれるというものです。

これまで1月と3月の2回募集が行われました。審査があるため申請したすべての企業が補助されるわけではありませんが、過去2回の公募で延べ約14,500社が採択されています。

残念ながら今年度はもう公募されない見通しですが、来年度の公募に向けて「IT導入補助金」のメリット、申請で注意するポイント、採択率の上げ方について説明していきます。
(この記事の内容は2017年10月20日時点の情報に基づいています。)


この記事の目次

IT導入補助金はどんな人にメリットがあるのか


IT導入補助金で受取れる金額は、IT導入にかかった費用の2/3以下、最大100万円です。例えば、導入費用が150万円の場合の補助金額は100万円になります。また1社につき申請は1案件までとなっているので注意が必要です。

この制度、安くITを導入したい中小企業はもちろんですが、ソフトウェア販売やHP作成を行っているITベンダーにとっても大きなメリットがあります。どういうことかと言うと、中小企業に対して商品を提案する際に強力な武器として使えるからです。「社長、このソフト導入は120万円かかりますが、補助金を利用すれば40万円の負担で導入が可能です。」といった具合です。


IT導入補助金はどうやって申請するのか


国の補助金制度は他にもありますが、このIT導入補助金は他と大きく仕組みが異なります。
最大の特徴は、ITを導入する中小企業(補助事業者)に代わり、ITベンダー(IT導入支援事業者)が申請手続きを行うことです。そして大まかな申請の流れは以下のとおりです。

● ITツールの登録 : ITベンダー
● 申請書類の作成: ITベンダー (+専門家)
● 交付申請: ITベンダー
● 審査: 事務局
● 採択決定: 事務局
● 導入実施: ITベンダー / IT導入企業
● 完了報告: ITベンダー (+専門家)
● 補助金交付: 事務局


この流れに沿って申請を行う際に注意するポイントをお伝えします。


導入するITツールは事前に登録が必要


補助金が申請できるのは、事前に専用ページに登録したITツールの導入に対してのみです。

よってITベンダーは販売したい商品を事前にきちんと登録しておく必要があります。


申請書では企業の課題や導入後の計画が重要


IT導入補助金の目的は「中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図ること」なので、申請書には「なぜIT導入が必要なのか」、「導入した結果どのくらい生産性が向上するのか」等を記載する必要があります。

当然ながら申請書の内容が採択の成否を分けることになります。


申請する前に使った費用は対象にならない


補助金はこれから使う費用の補助を申請します。逆にいうと申請する前にITツールを導入すると補助の対象にならないので注意が必要です。


補助金が出るのはITツール導入後


これも補助金全般に言えることですが、実際にお金が入ってくるのは導入した後になります。つまり120万円の導入費用に対して80万円の補助が採択された場合でも、一度総額の120万円を支払う必要があります。

このケースでは最終的な負担は40万円になりますが、キャッシュフローで考えると費用の支払いと補助金の入金時期に差があることに注意が必要です。


正しく報告しないと補助金が出ない


補助金交付のための最後の難関が完了報告です。これをクリアしないと採択されていても補助金は交付されません。

見積書や請求書、納品書といった書類を揃え、さらにはIT導入によって計画した通りの効果が出たかどうかの報告が求められます。非常に煩雑なだけではなく、報告の締切りが決まっているためスケジュールも厳しいです。


IT導入補助金はどうやったら採択率があがるのか


過去の公募2回分の採択率(採択件数 ÷ 公募申請件数)は公表されていませんが、1回目はほぼ100%、2回目は30%前後と推定されています。なお2回目の採択率が著しく低下しているのは、制度の知名度が上がり申請件数が大幅に増えたためと考えられます。

では2回目に採択された30%と採択されなかった70%の会社の差は何でしょうか ? 当然、運もあるかもしれませんが、それだけではありません。実際、専門家として当社が複数支援させていただいた会社の採択率は100%でした。

したがって採択率を上げることは可能です。いくつかポイントをご紹介します。


説得力のある事業計画を書く


申請書には以下の要素が具体的に検討されていることを記載する必要があります。

また事業課題に対する将来計画の整合性や、将来計画にITツールの利活用がどう貢献するか等、筋の通ったストーリーを描くことが重要になります。

● 業務改善についてのこれまでの取組
● 自社事業の市場における強み・弱み
● 事業課題
● 将来計画
● IT導入により実現したい効果



IT導入による効果を数値で示す


IT導入補助金では、ITツール導入により5年後の労働生産性を現状より2%以上伸ばすことが目標として設定されています。

またその会社の業態と、導入するITツールの特性に合った指標と目標を設定し、生産性が向上することを示す必要があります。


「おもてなし規格認証」を確実に取得する


今年度は「おもてなし規格認証」を取得していることが審査での加点要素でした。

こちらはサービス品質を「見える化」するための規格認証制度ですが、web上で比較的簡単に取得できるため必ず取得しましょう。


補助金額による加点要素の違いに注意する


補助金額(補助金として交付される額)によって審査で加点される項目が追加されるので注意が必要です。
具体的には以下の項目ですが、まずきちんと加点されるように準備することが重要です。

しかし例えば、経営力向上計画の認定を公募が始まってから取得するのは大変なので、ITツール導入費用を抑えて補助金額を80万円よりも少額にするといった対応も効果的です。

● 補助金額が50万円以上:中小企業診断士等の専門家による支援
● 補助金額が80万円以上:経営力向上計画の認定



まとめ


IT導入補助金はITを導入したい中小企業だけでなく、ITベンダーにとっても大きなメリットがあります。しかしながら申請の仕組みが複雑で分かりづらく、また採択率を上げるためにはノウハウとコツが必要です。

来年度以降、この補助金を活用してITを導入したい中小企業、売上を拡大したいITベンダーの皆様はぜひ一度専門家へご相談下さい。

ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 中小企業診断士 川井 久のページ

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