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ちょっと前までは五反田、と聞くとサラリーマンの街、というイメージがありましたが、今はちょっと雰囲気が変わってきています。ITベンチャー企業が次々と五反田に移転してきており、スタートアップが五反田にオフィスを構えるケースも増えているようです。そんな変化を先読みして2013年に五反田でコワーキングスペース「VACANCY OFFICE」を立ち上げた小山さんにお話をお伺いしてきました。
きっかけは都内オフィスの空室率
ー まず初めに、面白い名前のコワーキングスペースですよね。
はい。直訳すれば空室オフィス、ですが、ちゃんと意味がありまして(笑)
ー ぜひお伺いできればと思います。
今後都内のオフィスビルの空室率が高まっていくことが予想されていて、問題視されています。だったらその資産を活かして有意義な場にできないか、というのがVACANCY OFFICEを立ち上げようと思ったきっかけです。
実は2013年にVACANCY OFFICEを立ち上げたときには賃貸契約をせずに運営をしていました。
ー どういうことですか?
不動産屋に「空いているんだからタダで貸してくれ」と交渉したんです。
ー 面白いですね(笑)
だって、空いているのであれば活用したほうがいいじゃないですか。だけど断られました(笑)
折衷案として、物件が埋まるまでは賃貸契約ではない契約方法で場を利用させてもらい、テナントを賃貸契約したい会社が決まったら出て行くということで使わせていただきました。
ー そんなこと可能なんですね!
可能でした(笑)
賃貸契約がないので、不動産情報サイトではずっと「テナント募集中」になっていました(笑)
それで「空室」という意味の「VACANCY」をとって「VACANCY OFFICE」と名づけました。
ー そういう意味だったんですね!VACANCY、つまり空きリソースの活用、という意味では最近盛り上がってるシェアリングエコノミーの概念にも近いですよね。
そうですね。最近はそのような言葉で言われていますが、使われてないけど価値のあるものを活用する、ということは間違いなくいいことですよね。単純なことです。
でも結局その物件に借り手がついてしまったので、出て行かないといけなくなり、今の場所に移りました。ちょっと横に移動しただけですが(笑)
人の数と場所のバランス
ー 移転が決まってもやはり五反田にした、というのは何か理由があるのでしょうか?
実は五反田はすごく魅力的な場所です。
まず、最近IT系のベンチャーが五反田に集まってきています。そして大事なのは利用者数に対する土地単価です。
五反田は渋谷などに比べると土地が安いんです。土地が安い割には人はたくさんいる。そこのバランスが大事です。
ー 「利用者数に対する土地単価」なるほど、わかりやすいです。あと、渋谷とかだと競合も多いですよね。
はい。五反田にはニーズはあるのにまだコワーキングスペースがなかった、というのも五反田で始めようと思った理由の一つですね。
単純に人が多いから、という理由で弊社のような資金力がない会社が渋谷でコワーキングスペースをはじめても競合に勝てないかなというのもありました。また、最初から多くの利用者に来ていただくのは難しいので、場所代やイニシャルコストをいかに下げられるか、というのもコワーキングスペース運営の大事な要素だと思います。
ー コストを下げるために他に工夫している点はありますか?
土地代に関しては先程お話したとおりなので、まずは場所選びですね。
次に内装などに最初からコストをかけるのは危険だと思っています。なので、VACANCYでは自分たちでオフィスを手作りしました。
大切なのは設備が高級なことではなくて、そこにいって新しい発見や出会いがあるかどうか、だと思っています。
なので、私は会員の方と積極的にコミュニケーションをとっています。イベントもそうやって活発に交流をしているからこそ、これだけたくさん開催できているのだと思います。
ー VACANCYに入った時に思ったのですが、だれが運営の方で誰がお客さんなのかわからないですね(笑)
そうですね。混ざっちゃってますね(笑)
でもそれがいいと思っています。
人と人をつなげる、というのもVACANCYがみなさんにご提供できる価値だと思います。
困っていることがあればぜひ気軽に声をかけていただけたら嬉しいです。掛けられなくても私から声をかけますけどね(笑)
おかげさまでいろんな方と交流を持てているので、それを活かして、会員の方同士をつなげたり、紹介したり、といったこともしています。
ー どんな方をご紹介いただけるんですか?
例えば、事業設立や税金のことで困っている人がいれば「士業」の方、NPOの設立や運営で困っている方には当スペースで人気講座となっているプレゼン資料作成講座の先生の方、五反田の地域のことに感心がある方ならば五反田の活性化活動をされている方など、VACANCY利用者の中に適した方がいれば「つないだり」しています。
時には、人を紹介するだけではなくてサービスの宣伝のお手伝いなんかもやります。
ー それってコワーキングスペースの枠をはみ出してますね(笑)
そうですね(笑)
いろんな方にとって、困った時に相談しに行く場所、みたいな存在になれたら嬉しいです。
VACANCYをきっかけにして急成長したベンチャーなどもあって、そういう成功事例みたいな会員さんがでてきているのがすごく嬉しいです。
敷居は低く、色をつけない
ー コワーキングスペースというよりはカフェ、もしくはおしゃれな部室、みたいな独特の雰囲気ですね。
そうですね。入りやすさ、というのがすごく大事だと思っています。
たとえば、クリエーター向け、という風にしちゃうとそれ以外の人が入りにくい。いろんな人が集まることが価値だと思っていますので、今年はこれまでに使ってもらっていなかったような人にもっともっと来てもらいたいと思っています。
ー しばらくして来てみたら違う雰囲気になってるかもしれませんね(笑)
そうですね(笑)
そうありたいと思っています。どうやったら今までに使ったことのない人にVACANCYを発信できるかを日々考えてます。
あと敷居を低くする、という点については料金体系についてもこだわりがあります。
まず初期費用はとっていません。まずは利用してもらってVACANCYの雰囲気を感じてもらってから会員登録してもらいたいんです。
なので、スポット利用のプランも残していくつもりです。
飲食の持ち込みもOKなので、本当に気軽に集まれる場所、みたいな感覚で活用してほしいと思っています。
ー 最後に、VACANCYのWEBサイトに書いてある「ちょっと大人な」というキャッチフレーズが気になったのですが(笑)
コワーキングスペースって若い人向けのイメージが強くありませんか?それもどうかな、と思って、年配の方にも気軽に使ってほしい、という想いをこめて「ちょっと大人な」という言葉を入れています(笑)
ー なるほど、そういうことだったんですね(笑)
まずはとにかく「入ってもらいやすさ」「気軽さ」が大事だと思っていますので、今後もその方向性は変えずにいろいろと仕掛けていきたいと思っています。
まとめ
オフィス空室率に対する問題意識、入りやすさ、人のつながりを大事にした場づくり、などVACANCY OFFICEには小山さんのいろいろなこだわりが詰まっています。
五反田にお越しの際にはぜひ足を運んでいただき、VACANCY OFFICEの居心地の良さを感じてみていただければと思います。
小山様、お忙しい中お時間をいただきましてありがとうございました!
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