資金調達をするなら知っておくべき創業支援ファンド
経営

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起業して、会社経営を行っていく上では、ヒト・モノ・カネの3つが最重要な要素となります。特に起業時は、従業員(ヒト)の雇用のため、商品・サービス(モノ)を作り出すために資金(カネ)が必要となり、事業が軌道に乗るまでは常に資金繰りに悩まされるということが多いです。

また、事業が軌道に乗った後も、事業の拡大に伴う設備投資や人員確保、業績悪化や売掛金回収の長期化などにより、たびたび資金が必要となるタイミングがあります。このため、資金調達は会社経営を支える非常に重要な役割を担っていると言えます。

資金調達の手段


資金調達を行う手段としては、主に3つあります。1つは社債の発行や銀行からの融資などの負債を増加することによる調達です。この場合は、資金を調達することができますが、将来的に返済しなければならない”負債”が生じてしまいます。

2つ目の手段としては、自己資産の現金化です。不動産や債権などの資本を売却することで、資金の調達を行います。しかしこの場合は、そもそも売却するための資産を持っている必要があるため、創業時で売却できる資産を所持していない場合はこの手段は使えません。

最後に、3つ目の手段としては資本を増加させる方法があります。株式を発行し、他企業やベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けることで資金調達を行うことができます。この場合は、事業主の保有株率が下がるため、経営権をコントロールできなくなる可能性があります。しかし、VCからの出資を受けることで、数多くの企業の経営を見てきたプロから経営のアドバイスを受けることができるというメリットがあります。

ここからは、今、起業家たちから注目を集めているファンド、「だいしん創業支援ファンド”この街のホームドクター”」について紹介します。このファンドからは、株式や社債を利用した出資を受けることができます。

だいしん創業支援ファンド”この街のホームドクター”とは


2014年に中小企業の町といわれる大阪で、中小企業の創業を支援するファンド「創業支援ファンド”この街のホームドクター”」が設立されました。このファンドは、信用金庫としては関西で5本の指に入る預金量を誇る「大阪信用金庫」と、創業支援の実績が高い「日本政策金融公庫」と「フューチャーベンチャーキャピタル(FVC)」が、業務連携をすることで誕生しました。

このファンドの特徴は、株式上場を前提としない小規模事業主を対象としたものであることです。一般的なベンチャーキャピタルからの出資では、上場を目指す会社に対して投資し、上場後に株式を売却して利益を得るため、上場を目指す会社であることが出資を受けるための条件となることが多いです。しかし、この取り組みは地域貢献活動を目的とする創業支援であるため、中小企業の育成を優先して行われています。

出資を受けるまでの手続き
投資の決定は、創業者との面談、関係者へのヒアリング、事業計画の審査により判断されます。審査には最長で3ヶ月ほど期間を要するので、計画的な申し込みを行う必要があります。

■ 対象企業
以下のすべての項目を満たす必要があります。
・大阪信用金庫の営業対象区域に本社を置いている
・会社設立予定者または株式会社化から5年以内
・業種・規模が日本政策金融公庫の創業融資対象企業の要件を満たしている

営業対象区域
大阪府 大阪市・東大阪市・八尾市・大東市・守口市・門真市・堺市・松原市・藤井寺市・ 羽曳野市・柏原市・寝屋川市・四條畷市・豊中市・池田市・箕面市・茨木市・ 高槻市・吹田市・摂津市・枚方市・交野市・富田林市・河内長野市・大阪狭山市・ 高石市・泉大津市・和泉市・岸和田市・貝塚市・泉佐野市・泉南市・阪南市・ 忠岡町・熊取町・田尻町・岬町
兵庫県 尼崎市・伊丹市
和歌山県 紀の川市《除く貴志川町・旧那賀町(名手上・平野・名手下・西野山・江川中・切畑・穴伏・名手市場・名手西野・藤崎・後田・王子・赤沼田・横谷・麻生津中・北桶・西脇)》 岩出市

■ 投資方法
株式、新株予約権付社債、普通社債、新株予約権

■ 1社当たりの投資額
300万~1,000万円

起業の際に自己資産が少なく、十分な資金調達が困難である方や、事業が軌道に乗ってきて規模の拡大や法人化を行いたいと考えている方におすすめの制度です。しかし、大阪信用金庫の営業対象区域に本社がある、または本社を構える予定の企業しか出資を受けることができないため注意が必要です。

まとめ


資金調達は会社経営を支えるために非常に重要です。資金調達をするのであれば、できるだけ低金利で、経営権をコントロールした上で、多くの資金を調達したいものです。しかし、資金調達にはさまざまな方法があり、どれが自社に合った調達手段であるのか判断するのは容易ではありません。また、融資を受けたり、出資を受けるためには審査を通過する必要があるため、なかなか簡単には進みません。資金調達を考えているのであれば、資金調達について詳しい専門家にご相談されることをおすすめします。

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