今月の17日、民間調査会社である帝国データバンクから、「マイナンバー制度に対する企業の意識調査」の結果が公表されました(対象企業は全国2万3173社)。制度について「内容も含め知っている」という企業が75%にのぼる一方で、法人番号を活用する「予定がある」と答えた企業はたった2.8%でした。「検討中」と答えた企業(20.8%)と合わせても、法人番号について関心を持っている企業は2割程度しかいないという現状です。
法人番号を利用することで、「取引先管理の効率化」や「行政手続きの負担軽減」などのさまざまなメリットがありますので紹介していきたいと思います。
法人番号とは
そもそも法人番号とは、株式会社などの設立登記法人の他に、国の機関、地方公共団体、その他の法人や団体に対して指定される13桁の番号のことで、1法人につき1つの番号が割り振られます。マイナンバー(個人番号)とは異なり、原則として公表され、利用範囲に制限がありません。公表は、法人番号を指定された企業の①商号(名称)、②所在地、③法人番号についてインターネットを通じて行われます。
法人番号の導入は下記のようなメリットがあります。
企業の事務負担の軽減
数兆円にも上る経済効果
しかし世の中では、マイナンバー制度のデメリットの情報ばかりが先行して、法人番号のメリットについてあまり認知されていません。法人番号をうまく利用することで、官民間での手続の手間を省き、営業先・取引先の情報管理の効率化を行うことができるので、具体的に紹介していきます。
法人番号のメリット
法人番号による企業側としてのメリットは、下記の3つに分割することができます。
行政手続きの負担軽減
例えば、これまでは補助金の申請の際に、各役所単位で企業情報を提出しなくてなりませんでした。しかし法人番号の導入により、行政機関の間で企業情報を連携することで、提出を再度するという手間がなくなり、手続の負担を最小限に抑えることができるようになりました。
取引先情報の効率化
民間企業では、組織の規模に比例して、各部署で管理する取引先情報が膨大なものとなり、また、部署ごとに異なるコードを用いて取引先情報を管理しているケースも多々あります。このような状態で、取引先情報を集約する必要が生じた場合、名称や所在地だけで名寄せをしなくてはならなく、大変手間がかかります。
ここで取引先情報に法人番号を追加することで、情報収集の効率化を図ることができます。法人番号はコードとは異なり、1法人につき1つの番号なので、これを各部署共通の管理コードとして加えることにより一元管理することができ、名寄せの手間を簡略化することができるのです。また、国税庁から提供される最新の名称・所在地情報を活用することで、取引先情報の名称・所在地の更新を容易に行うことができます。
営業活動の効率化
現在、企業が新規営業先の開拓や会員勧誘先の把握をする際は、インターネットや登記所の商業登記、信用調査会社などの様々な情報源を駆使して企業情報を入手しており、手数料や人件費、労力といった手間やコストがかさんでいます。ここで法人番号公表サイトを有効活用することで、ダウンロードした法人番号から、新規に設立登記を行った企業を抽出することができます。これにより従来に比べて、新規営業先の開拓を効率的に実施することができるのです。
また、法人番号の導入により、取引情報を集約化することで取引先のニーズに即したきめ細やかな営業を行うことも可能となります。
ここまで法人番号による企業のメリットについて説明してきましたが、実は、企業の受けられるメリットの種類は、法人番号を利用する企業数によって大きく影響を受けます。そこで次は、利用企業数による経済効果の大きさと、法人番号の利用範囲の広さについて説明いたします。
法人番号利用増加による経済効果
法人番号の利用による経済効果の大きさは、利用ベースにより大きく異なります。より多くの企業で法人番号を利用することで、その経済効果や利用範囲は飛躍的に拡大します。では実際に、法人番号を利用する企業数によって経済にどれほどの影響があるのか、利用範囲がどの程度拡張されるのか紹介していきます。
利用社数 | 数万社以下 | 数万~数十万社 | 数百万社以上 |
---|---|---|---|
経済効果 | 約70億円/年 | 約1兆132億円/年 | 数兆円 |
利用範囲 | 社内DB間で企業情報突合 | 外部との情報連携、照合 | 様々なサービスの登場 |
利用ケース | ・取引情報の収集効率化 ・グループ内調達情報の名寄せの効率化 ・企業マスタの登録・更新業務の効率化 ・市場調査の基礎データ ・対象企業の確認業務効率化 ・キャンペーン管理の厳格化 ・サーバー証明書の信頼性向上 ・フィッシングサイトの対策 ・なりすましメールの対策 ・行政手続きの添付書類の削除 |
・企業間取引の添付書類の削除 ・取引先の登録・更新業務の効率化 ・EDIの法人コード統一により業務の効率化 ・口座照会の対応業務効率化 ・信用情報の取り込みの効率化 ・依頼対象企業の特定業務の効率化 |
・BCPやサプライチェーンの再編成検討 ・企業買収などの事業展開戦略への活用 ・マネーロンダリング対策 ・従業員情報の官民連携の効率化 ・統計情報分析の効率化 |
法人番号を利用する企業が数万社~数十万社まで増加すると、経済効果が1兆円を超える大きなものとなります。また上表のように、利用企業数の増加に比例し、多くのケースにおいて法人番号を有効活用することができます。これにより企業は業務の効率化や新規のビジネスチャンスの獲得など、さまざまな恩恵を受けることができます。
まとめ
法人番号の導入による企業のメリットについて紹介してきましたが、現状まだ多くの企業が、法人番号のメリットに気付いておらず、利用を考えておりません。
法人番号は利用社数に比例して、導入による恩恵が大きくなるので、是非この機会に法人番号に興味を持って、有効活用していただけたらと思います。
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参照 : SHARES HP