誰しもが「なんとなく」は耳にしたことがある「デジタルトランスフォーメーション(DX)」。何のために進める必要があるのでしょうか。
筆者は4年、大手コンサルティングファームで、企業のデジタル化を推進する仕事に携わっていました。
今、多数の「DX」を歌うサービスがありますが、中にはミスリードを誘う広告もあると感じています。企業変革に失敗しないため、正しくDXを理解してほしい、そういう思いで「DX」をはじめから理解する記事を、連載形式でお届けします。
お急ぎのかたも読めるよう、最後に「一枚サマリー」をご用意しています。
この記事を読むことをお勧めする方と記事のゴール
この記事は
・「DX」は聞いたことはあるけどよくわからない
・ これから「DX」について考えていきたい
DXの定義
DXの「D」はデジタル(Digital)、「X」はトランスフォーメーション(Transformation)を指します。直訳するとデジタル技術を駆使した変革です。
しかし、この言葉だけで、やるべきことを具体的にとらえられる方はいらっしゃらないのではないでしょうか。
・「D」は手段
・「X」は実施事項
でしかなく、そこには
・何を変えるか
・目的はなにか
ということが含まれていないからです。
その答えの一つが、経済産業省の「DX推進ガイドライン(2018年12月)」に記載されています。その中では、
何を変えるか:
・会社を
・ビジネスを
・製品・サービスを
・業務プロセスを
・組織・制度を
・文化・風土を
目的は何か:
・競争上の優位性を確立・維持すること
ということが記載されています。
要約するとDXとは
デジタルを活用して、企業を丸ごと生まれ変わらせることで、競争優位を得ること
ということになります。そもそもなぜDXが必要なのか
先日、DXにまだ踏み切っていない企業の経営者からこう言った声を聴きました。
・DXという割に「Transformation 」に「X」入ってないよね
・取り敢えず「X」をつけとけばかっこいいって思ってるよね
なかなか厳しいお言葉ですが、もちろん「DX」の必要性が提唱される背景には、それなりの理由があります。
最たるものの一つが莫大な経済効果です。
経済産業省の「DXレポート(2018年9月)」の中では、2025年までにDX実現のための課題が解決できない場合、 年間12兆円(現在の3倍)の損失が生じると試算されています。
反対に「DX」に成功した場合、McKinsey & Companyの調査では、 最大50%超のコスト削減、生産性向上2.5倍、売上10%向上などのデジタルインパクトがあると試算されています。
このような莫大な経済損失の回避、経済優位の獲得のため、 個々の企業だけでなく、国家レベルでのDX競争が進められています。 では、実際にDXに成功している企業はどれほどなのでしょうか。
じつは成功したケースは全体の16%程度しかないというレポートがあります。
この数字はデジタル変革の難しさが「従来型」の企業変革とは一線を画すことを示しています。
先進的な企業も、DX成功のために失敗を繰り返し一握りの成功を手にしているのです。
まとめ
「DX」とはデジタルを活用して企業を丸ごと生まれ変わらせることで競争優位を得ることです。単なる流行りのツールの導入でないことがご理解いただけましたでしょうか。デジタル変革の効果は部門横断で取り組むことで、売上増加をもたらす一方、デジタル変革に成功した企業はほんの一握りという実態があります。
当事務所では関与先様の真のパートナーとして貢献できるよう、本記事のようなデジタル化やDXのご相談も承っております。
DX変革を進めてきた企業がぶつかってきた課題や事例など、 また別の記事でご紹介いたします。