“残業代ゼロ法案”成立なるか ? どうなる、「高度プロフェッショナル制度」
労務

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ご存知ですか ? 残業代支払い不要の「高度プロフェッショナル制度」


ここ数日、「高度プロフェッショナル制度」に関わるニュースをご覧になった方も多いのではないでしょうか ? 労働時間の長さではなく、仕事の成果が評価の主軸となるこの高度プロフェッショナル制度については、実はおよそ10年も前からたびたび制度導入が試みられては頓挫してきた背景があります。

このたび、今秋の臨時国会にて提出される働き方改革関連法案との抱き合わせで一括審議される見込みとなり、再び注目される「高度プロフェッショナル制度」。今一度、その概要を確認することにしましょう。


高度プロフェッショナル制度とは


高度プロフェッショナル制度の前身は、2006年前後に提唱された「ホワイトカラーエグゼンプション」。労働時間の長短に依らず、その成果によって適正な評価(給与)を受けるべき一部の専門職従事者について、労働基準法上の規制を緩和、もしくは免除を認める制度です。つまり、能力があって成果さえ出すことができるのであれば、必ずしも時間に拘束されることなく高所得を見込めるようになります。

能力の高い労働者にとっては「裁量で自由度高く活躍しやすくなる」、一方で会社にとっては「導入することで優秀な人材を確保しやすくなる」等、活用の仕方次第では労使双方に大きなメリットが期待される本制度ですが、“残業代ゼロ““労働時間が規制されない”ことが問題視され、この10年の間にたびたび話題に上がるものの未だ法案可決には至っていません。

このホワイトカラーエグゼンプションが「高度プロフェッショナル制度」に名称変更され、今秋の法案成立が目指されています。


高度プロフェッショナル制度の概要


ここで、高度プロフェッショナル制度についてざっくりとポイントを整理しておきましょう。

■ 対象者
・高度な専門的知識や技術が必要な業務に携わる専門職従事者
具体的には金融ディーラーやアナリスト、コンサルタント、研究開発などの業務

・年収1075万円以上
「平均賃金額の3倍を相当程度上回る水準の賃金額以上」を目安として想定された年収

・使用者との合意で職務が明確に定められていること


■ 求められる健康確保措置
◎ 義務
・年間104日以上、かつ4週間で4日以上の休日の確保

○ 上記の義務を満たしつつ、下記のいずれかより選択
・勤務間インターバル制度の導入
・勤務時間の上限設定
・連続2週間の休日取得
・臨時の健康診断


上記は主に報道によって明らかになっている内容であり、高度プロフェッショナル制度が今後法案成立となるのか、最終的にどのような形に落ち着くのかは、現段階では定かではありません。


高度プロフェッショナル制度の問題点


冒頭でも触れたとおり、高度プロフェッショナル制度は、労使双方が上手く活用することができれば、労働の現場においては非常に画期的な制度となるでしょう。その一方で、問題として挙げられる課題は多岐に渡ります。

この点については、日本弁護士連合会がリーフレットを公開し、問題提起しています。この制度のどのような点が問題視されているかが、分かりやすくまとめられています。

参照 : 日本弁護士連合会「働くあなたや家族の大問題 ! ! 過労死促進・残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)」


まとめ


高度プロフェッショナル制度、今秋の法案可決となるのでしょうか ?
前途多難なこの制度の行方に、注目が集まるところです。新しい動きがありましたら、SHARES LABでも随時取り上げていきたいと思います。

ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 社会保険労務士 丸山博美のページ

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