3年前のタイムカード、まだありますか ? 今一度確認したい「労務関連書類の保存期間」
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ご存知ですか ? 労務関連書類の保存期間


比較的しっかり労務管理をしている会社でも、意外と盲点になりがちなのが「どの書類をいつまで保存すべきなのか」です。特に中小企業においては、「何となく、翌年度中くらいはそのままにするようにしている」というところは多いのですが、その後の処理についてはルール化されていないこともあるようです。

しかしながら、労務関連書類の保存期間は労働基準法で定められており、これに違反すると労働基準法第120条により「30万円以下の罰金」となってしまいます。

今号では、知らなかったでは済まされない「労務関連書類の保存期間」について、ご紹介することにします。ぜひ、社内ルールの整備にお役立てください。


労務関連書類は「3年保管」


それではさっそく、法定の保存期間を確認することにしましょう。

労働基準法第109条によると・・・

‘(記録の保存)
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。’
労働基準法第109条より


とのこと。労務管理に関わる諸書類は原則3年保管であることが明記されています。

ここで気になるのが、後半の「その他労働関係に関する重要な書類」です。これらは具体的に何を指すのかといえば、

・労働時間の記録に関する書類(出勤簿、タイムカード、残業命令書、残業申請書、残業報告書など)
・労働基準法の規定に基づく労使協定等(時間外・休日労働に関する協定届など)
・各種の許認可関連書類(解雇予告除外認定申請書など)
・労使委員会の決議事項の記録


等です。ちなみに、「労働時間の記録に関する書類」と混同されがちなのが「勤務シフト表」ですが、こちらは単に勤務予定を記しただけであり実際の勤怠を記録したものでないことから、法定の保存期間は定められていません。

また、賃金台帳に関しては、国税法では「7年保管」となっている点にご注意ください。

保存期間を考える上で、重要なのは「起算日」です。保存期間自体は原則3年とはいえ、いつから3年と考えておくべきなのでしょうか?この点についても、労働基準法上、下記の通り定められています。

〇 労働者名簿:労働者の死亡、退職または解雇の日
〇 賃金台帳:最後の記入をした日
〇 雇入れまたは退職に関する書類:労働者の退職または死亡の日
〇 災害補償に関する書類:災害補償が終わった日
〇 賃金その他労働関係に関する重要な書類:その完結の日(最後の記載がなされた日)
労働基準法施行規則第56条



労働保険・社会保険関連の書類はいつまで保存すべき ?


ところで、労務関連書類には、上に挙げた諸書類の他、労働保険や社会保険関連のものもあります。それらに関わる主な書類の保存期間についても併せておさえておきましょう。

■ 健康保険・厚生年金保険関連‥完結の日(退職、解雇死亡の日)より2年
資格取得等確認通知書、資格喪失確認通知書、標準報酬月額決定通知書など

■ 雇用保険被保険者関連‥完結の日(退職、解雇死亡の日)より4年
雇用保険被保険者資格取得確認通知書、資格喪失確認通知書など

■ 雇用保険関連(被保険者関連以外)‥完結の日より2年

■ 労働保険料の徴収・納付等の関連書類‥完結の日(納付日など)より3年

■ 労災関連書類‥完結の日より3年

■ 健康診断個票‥作成の日より5年



まとめ


労務関連書類は、労働者にあわせて破棄して良いものではありません。退職後も法定の期間、保管しておくことが使用者の義務となっています。

保管すべき書類が紙ベースの場合、社員数の増加により保管スペースの確保が難しくなってくるかと思いますが、クラウドサービスを上手く活用するなどして対応しましょう。折を見て、御社の書類保管ルールについて、見直してみてください。

ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 社会保険労務士 丸山博美のページ

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