『速報 ! 平成29年10月改定の最低賃金額目安』では、今年10月に予定されている最低賃金のさらなる引き上げ予定をご紹介しました。今後も継続する見込みの最低賃金引き上げに対応すべく、中小企業においてはこれまで以上に戦略的な採用戦略、そして生産性の向上への取り組みを進めていく必要があります。
さて、前号の記事では文末で「業務改善助成金」をご紹介しましたが、具体的にどんなことに取り組めば受給できるものなのか、関心をお持ちの事業主様も多くいらっしゃるのではないでしょうか ?
そこで今号では、「業務改善助成金」に関わる生産性向上事例について、お伝えすることにいたしましょう。
業務改善助成金とは ?
まずは業務改善助成金について、ざっくりとその概要を確認しておきましょう。
中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度
生産性向上のための取り組みを行うことで事業所内最低賃金を基準以上引き上げた場合に支給されます
事業場内最低賃金が 1,000 円未満の中小企業・小規模事業者
※以前は「事業所内最低賃金が800円未満」という条件があったため、申請可能な地域に制限がありましたが(必然的に最低賃金が800円以上の都府県は除かれていた)、現在では「事業場内最低賃金が 1,000円未満」とされすべての都道府県が対象となっています
参照 : 厚生労働省「業務改善助成金の拡充のご案内」
(1)事業実施計画の策定
(2)助成金交付申請書の届出
(3)計画通りの取り組みを実施し、生産性を向上
(4)事業場内最低賃金の引き上げ実施
(5)事業実績報告書の提出
以上、厚生労働省「業務改善助成金」より抜粋
業務改善助成金の生産性向上事例が公表されています
ところで、“生産性向上”といっても助成金を受けるためには具体的にどのようなことをすれば良いか、いまいちよく分からないという方もいらっしゃるでしょう。
専門家にご相談いただければ、御社の状況を踏まえた適切な取り組みをご提案することができますが、「参考までに他社の取り組みを知りたい」という場合、まずは厚生労働省より平成29年3月に公開されている資料をご確認いただくと良いと思います。
参照 : 厚生労働省「~最低賃金の引上げに向けて~生産性向上の事例集」
新システムの導入と社員研修を組み合わせて業務効率化を図った事例や、店舗のレイアウトを変えることで顧客満足度や回転率を向上させた事例、クラウド活用による情報共有の効率化に成功した事例など、あらゆる業種や事例が紹介されています。御社においても参考にしていただける部分があるのではないでしょうか ?
また、具体的な課題や取り組むべき施策がはっきりせずにお困りの事業主様は、「ミラサポ」の活用により、無料の専門家支援を受けることができます。
参照 : 中小企業庁「ミラサポ - 派遣専門家 検索・申請」
業務改善助成金への取り組みは「着手時期」に注意 !
業務改善助成金は、適切な事業改善計画を策定し交付決定通知を受理できれば、その後は計画通りに設備投資等を行い、事業場内最低賃金を引き上げ、報告することで確実に受給できます。
ひとつ注意点を挙げるならば、「着手時期」についてです。計画が認められ、交付決定通知を受ける以前に取り組んだことは支給対象外となってしまいますので、くれぐれもお気を付けください。
生産性向上への取り組みや事業場内最低賃金の引き上げは、交付決定を受けてから行うことを徹底します。
まとめ
様々な事業主様にお話を伺うと、ほぼすべての方が「生産性を向上したい」と考えているにもかかわらず、実際に取り組みを検討し、実践するケースはごく少数であることが分かります。背景には「時間がなくて色々と考えることができない」「課題は分かっているが、何をしたらよいか分からない」等の要因があるようですが、そんな時にこそ専門家の活用をお勧めいたします。
すでにご紹介したように、無料で専門家のアドバイスを受けられる「ミラサポ」等のサービスがあります。事業所内にいては分からなくても、事業所の外側から見てようやく明らかになることもあるでしょう。
また、他との比較において改善すべき事項を指摘してもらえることも、数多くの企業支援に携わる専門家活用の大きなメリットであると言えます。
「専門家を呼ぶなんて煩わしい」と考えず、ぜひ気軽にご活用ください !
参照 : SHARES 社会保険労務士 丸山博美のページ