平成29年最低賃金額改定の目安発表 ! 2種類の最低賃金要点まとめ
労務



7月27日に、地域別最低賃金額改定の目安について発表がありました。
これによると、全国で22円~26円程度の時給アップです。現在の最低賃金と比べて3パーセントほどのアップ率となります。

現段階では目安に過ぎませんが、最低賃金についてはこの金額がベースとなって今後決定されていくため、この金額に近い最低賃金のアップが今後行われていくと推測されます。

ところで最低賃金は、2種類あるということをご存知でしょうか ?
また、最低賃金とはどのように決まるのでしょうか ?
意外と知らない最低賃金について、解説をしたいと思います。


最低賃金の種類とは


最低賃金には都道府県に適用される「地域別最低賃金」と、産業や職業別に決まる「特定最低賃金」の2種類があります。

「地域別最低賃金」は正社員やパートなど職種に関係無く、原則すべての労働者(※)が対象になりますが、「特定最低賃金」はすべての産業・職業に決められているわけではありません。特定最低賃金が設定されている産業・職業の場合、この2つの最低賃金のうち、金額の高い方がその方の最低賃金ということになります。

例えば、北海道の鉄鋼業に従事する労働者の場合、北海道鉄鋼業の特定最低賃金は900円、北海道地域別最低賃金は786円(平成29年4月1日現在)なので、この労働者には最低賃金として時給900円以上を支給しなければならない、ということになります。
※試用期間中の者や精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者など、最低賃金の対象外になる場合もあります。

最低賃金は「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類がある



最低賃金はどのように決まるのか


「地域別最低賃金」は、まず厚生労働省の中央最低賃金審議会という組織において、改定額の目安が発表されます。

冒頭にあげた改定額の発表はこの段階になります。その後、各地域の地方最低賃金審議会が、この目安を基準として、各地域の実情に応じた最低賃金を決定しています。

決定のための基準は以下の3つです。
(1) 労働者の生計費
(2) 労働者の賃金
(3) 通常の事業の賃金支払能力


また、生活保護に係る施策との整合性が図られています。
「特定最低賃金」は関係労使の申出が出発点となり、最低賃金審議会が必要と認めた場合のみ、最低賃金審議会の調査、審議により決定されます。


最低賃金で注意しなければいけないこと


最低賃金を上回る賃金を支給することは、経営者の義務となります。
そのため、経営者にとって、給与支給時に最低賃金を上回っているかどうかのチェックは必須です。

最低賃金を下回った金額で給与支給をしている場合、その下回った金額を後から請求される訴訟リスクがあります。地域別最低労働賃金は、下回った場合に刑事罰までありますので、慎重に運用したいところです。

チェックポイントとしては以下の通りです。

(1) 自分の業種及び地域の最低賃金を両方把握すること。
※最低賃金はその2つの高い方を使用します。

(2) 社員の時給単価を確認して、最低賃金と比較すること。
最低賃金は時給で発表されているので、時給で給与を支給している場合は比較が行いやすいのですが、月給制だときちんと計算しないと比較ができません。


また、固定残業制を取っている場合、その固定残業の根拠となる時間数が設定されていないと、そもそも最低賃金の計算が不可能になります。自身の会社の給与が最低賃金に引っかかっていないかどうか不安な方は、専門家にご相談してみてください。

また、最低賃金が上がるということは、採用市場において、ライバルもその時給を上げてくるということになります。人材の確保という観点からも、最低賃金のチェックは非常に重要になります。特に社員の賃金を決定している経営者の皆様は、ぜひ最低賃金の動向に注目してください。


まとめ


最低賃金には、違うプロセスで決定される地域別と産業・職業別の2種類があり、その高い方が労働者に支給しなければいけない最低賃金となります。

経営者の方は訴訟リスクの回避や採用人員の確保という観点から、ご自身の会社の従業員に対して最低賃金を上回る給与を支払っているか、定期的にチェックを行うことをお薦めします。

御社の給与が最低賃金を下回っていないか不安な方は、専門家である社会保険労務士にご相談をすることをお薦めします。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 社会保険労務士 村田淳のページ

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