【無期転換対応】「多様な正社員」導入事例と注意すべきポイント
労務



前号では、昨今の働き方改革や無期転換ルール対応を背景に導入が進む「多様な正社員」という雇用区分について、その概要をご紹介しました。

参照 : SHARES LAB「【無期転換対応】新たな雇用区分「多様な正社員」導入のススメ」

企業にとっては、働き方の多様性を認めることで人材の確保や定着が期待できる一方、労働者にとってはライフワークバランスの実現につなげることができることから、いわば労使双方が多くのメリットを享受できる働き方として注目されている「多様な正社員」。

今号では、実際の導入事例、「多様な正社員」を迎える上で注意しなければならないポイントについて解説することにしましょう。


この記事の目次

先駆者に学ぶ、多様な正社員制度の導入事例


多様な正社員をどう活用すべきか、この疑問を解消するためには、すでに多様な正社員をひとつの雇用区分として導入する他社の事例に学ぶのが得策です。

参照 : 厚生労働省「多様な人材活用で輝く企業応援サイト」事例紹介

参照サイトでは、業種や企業規模、取り組み内容、限定タイプより、実際の事例を絞り込んで閲覧することができます。

各社の取り組みを見ると、大半が「有期契約労働者⇒正社員」の転換の中で通常の正社員とは異なる限定社員制度を導入し、雇用の安定や定着、キャリアアップ、処遇改善を図っていることが分かります。

確かに、来春より順次対応に迫られることとなる無期転換においては、「多様な正社員」の区分を設けることにより、労働者の働く意欲を高めつつスムーズに対応できるようになるでしょう。企業発展には働く人のモチベーションが不可欠ですから、この点は会社にとっても大きなメリットとなります。

個人的には、今後、「通常の正社員⇔多様な正社員」の転換を柔軟に行える制度が一般的となり、その時々でライフステージに合った働き方が選択できるようになるとさらに良いのではないかと考えています。そういった意味では、イケアジャパン株式会社の事例の様に、「非正社員・正社員の雇用区分を廃止する」という取り組みは先進的であり、柔軟な働き方の実現を考える上では理想とされるべきスタンスであると言えるのかもしれません。

参照 : 厚生労働省「多様な人材活用で輝く企業応援サイト」事例18 イケアジャパン株式会社


「多様な正社員」導入に助成金の活用事例多数


前述の事例集を見て分かることは、「有期契約労働者⇒正社員」への転換の大半に助成金が活用されていることです。30事例中18事例において「キャリアアップ助成金利用有」とのことで、御社においてもこれを活用しない手はありません。

多くの事例で正社員転換制度と人材育成、もしくは処遇改善を組み合わせて取り組んでいることから、助成金についても複数コースの支給申請が可能になるものと思われます。

助成金申請においては所定の手順を遵守する必要がありますので、せっかくの取り組みが「支給対象外」とならないためにも、社会保険労務士にご相談いただくのが良いでしょう。

参照 : 厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」


「多様な正社員」の課題は“賃金”等の待遇面や評価制度の検討にあり


このように、労使双方にメリットが見込める多様な正社員制度ですが、実際の導入にあたってはいくつもの課題が浮き彫りとなっています。
厚生労働省がまとめた資料によると、企業においては「いわゆる正社員と多様な形態による正社員間の業務内容や処遇差」「多様な形態による正社員の評価、賃金や昇進機会」等について、検討すべき課題として挙げられるケースが多いようです。

また、労働者側にとっては、「転勤しないいわゆる正社員と同じ仕事をしている多様な正社員からの処遇格差に対する不満」として“給与水準の低さ”“昇進・昇格の機会が乏しいこと”、一方で「会社として幅広く活躍することを期待する役割と、本人の価値観や事情とのマッチング(労働者側がキャリアアップをしたいと考えていない場合)」といった労使の考え方の相違が制度運用を困難にしているケースもあるようです。

参照 : 厚生労働省「多様な正社員の導入状況」 10ページ 多様な正社員のメリットと課題


まとめ


無期転換対応や働き方改革の実現におけるキーワードとして、注目される「多様な正社員」。しかしながら、実際の導入に際しては、新たな雇用区分を設けることによるメリットばかりではなく、検討すべき課題についても目を向ける必要があります。

また、助成金を受けるための要件もクリアする必要があるとなれば、自社対応に限界を感じるケースもあるでしょう。

無期転換ルール対応、多様な正社員制度の導入には、雇用関係助成金・労務管理の専門家である社会保険労務士を活用し、御社に合った形での制度作りを目指していくのが得策です。まずはお気軽にご相談ください !
参照 : SHARES 社会保険労務士 丸山博美のページ

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