「残業60時間超の法定割増賃金率5割以上」に関わる中小企業への猶予措置が、平成33年度中に廃止されます
労務



月60時間超の法定労働時間外労働について、現状、大企業では「50%以上の割増賃金率」での支払いが義務とされる一方で、中小企業においてはその適用が猶予されています。

このたび、こうした猶予措置が平成33年度中に廃止される見込みであることが判明しました。中小企業における働き方が、またひとつ、変わろうとしています。


この記事の目次

働き方改革に伴う法改正に関わる答申が行われました


平成29年9月8日に労働政策審議会に諮問された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」について、同審議会での審議を経て、9月15日、厚生労働大臣に対する答申が行われました。

本法律案要綱には、今後の企業労務において直接的に大きく関わる内容がいくつも盛り込まれています。その一つが、「月60時間を超える法定労働時間外労働の割増賃金率」について、中小企業への猶予措置が廃止されることです。

さっそく、要綱をご確認ください。
参照 : 労働政策審議会「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」7ページ

厚生労働省のウェブサイトによれば、中小企業における割増賃金率の見直しに関わる施行期日は「平成34年4月1日」とのことです。


平成34年4月1日以降、会社規模を問わず「月60時間超の割増賃金率が50%以上」に


月60時間を超える割増賃金率に関する考え方については、平成22年4月1日の改正労働基準法施行時の資料をご参照いただくと分かりやすいかと思います。

参照 : 参照 : 厚生労働省「改正労働基準法のポイント」3ページ

法定労働時間(原則「1週40時間、1日8時間」)を超える時間外労働について、現状、中小企業での割増賃金率は時間数に関わらず「2割5分」以上とされています。大企業においても、月60時間までの時間外労働については「2割5分」以上の割増賃金率を適用しますが、これを超える労働時間についてはさらに「2割5分」以上の上乗せが課せられています。
つまり、月60時間超の時間外労働分について「5割」以上の割増賃金率で計算が義務付けられていることになります。

こうした取扱いが、平成34年度より中小企業においても適用されるというわけです。施行まではあと4年半ほどありますので、その間に対応策を検討することになります。


「代替休暇制度」も併せて中小企業に適用される ?


ところで、前回の労働基準法の一部改正時、「月60時間超の労働時間分に関わる法定割増賃金率の引上げ」と共に、「代替休暇制度」が新設されました。本制度について、平成34年度以降、中小企業においてはどのような取扱いになるのでしょうか ?

この点、今回の法律案要綱では触れられておりませんが、おそらく「法定割増賃金率の引き上げ」の一環として、代替休暇についての猶予も廃止となるのではないかと思われます。

「代替休暇」とは、月60時間超の時間外労働分について、割増賃金率を「2割5分」以上引き上げる代わりに有給の休暇を付与する制度のこと。詳細については、以下をご確認いただくと分かりやすいでしょう。

参照 : 厚生労働省「改正労働基準法のポイント」4ページ

中小企業の事業主様、ご担当者様であれば、法定割増賃金率の引き上げと併せておさえておくべき制度です。


まとめ


いよいよ、働き方改革の推進に伴う法改正の概要が明らかとなってまいりました。法律案要綱に記された内容の多くは、施行期日が「平成31年4月1日」とされており(中小企業における割増賃金率の見直しについては例外ですが)、残すところあと1年半ほどとなります。
企業においては、早期の情報収集・対応が求められることになるでしょう。

SHARES LABでは、随時、予定される法改正をテーマにした記事をアップしてまいりますので、引き続きご確認いただけますと幸いです。

ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 社会保険労務士 丸山博美のページ

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。