「保育園落ちた!」ママのために、会社は何ができる? 〜連載④:助成金最新情報!今年注目すべきは男性従業員の“イクメン化”〜
労務

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「保育園落ちた!」の匿名ブログに端を発し、これまで連載でご紹介してきた「育児休業」のテーマですが、最終号となる今回はちょっと目線を変えて、「男性の育休取得」に関する話題で締めくくることにいたします。

“妊娠・出産”は確かに女性の身体に起こることですが、かたや“育児”となれば当然夫婦が協力して取り組むべきことです。しかしながら、既存企業の大半において、男性の育児参加のための十分な体制作りが成されていない現状があります。

ママ達の「保育園落ちた!」の嘆きの背景には、ただ単に“自治体の保育園不足”の課題のみならず、“産み育てながら働けない会社の風土”“男性の育児参加を難しくさせる会社体質”等、総じて企業に対する問題提起というのも少なからず関係しているものと思われます。

幼い子供を抱えながら社会で奮闘する夫婦のために、会社は何ができるでしょうか?
いくつかある手立てのうち、ここでは、今春新たな助成金制度が公表された「男性の育休取得」に注目することにいたしましょう。

男性の育児休業取得で60万円支給!「出生時両立支援助成金」は要チェック

最近では少しずつ増えてきたと言っても、実際の取得率は2.3%(平成26年度)と、まだまだ振るわない男性の育児休業取得。
皆さんの会社では、いかがでしょうか?身の回りの男性従業員で、育休を取得された方がいらっしゃいますか?

もしも「ウチではまだ前例ないなぁ~」というのであれば、朗報です。男性の育児休業取得で、御社は今年度新設の最新助成金の受給対象に該当することになります。
ぜひご検討ください!

『出生時両立支援助成金』
■ 概要
男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りのための取組を行い、男性労働者に一定の育児休業を取得させた事業主に対する助成金です。
■ 受給要件
・過去3年間の間に男性職員が育児休暇をとっていないこと
・出生後8週間以内に開始する5日以上(大企業は14日以上)の育児休業の取得すること
・育児休業の制度周知を図ること
■ 支給額
一年度に1人まで、1人目の取得で60万円(大企業は30万円)、2人目以降15万円
参考:平成28年度の両立支援等助成金のお知らせ(PDF)

ポイントは「5日以上の育休取得でOK」という点。1年間丸々育休を取得させるのはなかなか難しい場合にも、5日程度であれば対応可能な会社はぐんと増えるのではないでしょうか?
もっとも、「5日ほどの育休取得で何か意味はあるの?」といった疑問もあるかと思います。ですが、たとえ5日間でも、育児に向き合った経験は今後の子育てに良い影響を及ぼすものです。育児休業を取得することで、男性であっても育児に対し当事者意識を抱きやすくなるというのが、最大のメリットになり得ると感じます。

加えて、本助成金については「一年度に1人まで」という制限があります。この点、中小企業であればそもそも一年度内に複数該当者が出ることは考えにくいため、制度導入の上でさほど大きな障壁とはならないでしょう。

ちなみに、現段階でこちらは2020年までの時限措置となっていますので、取り組むのであれば早いに越したことはありません。

助成金申請に向けて、必要な手続き等も忘れずに

これまで男性の育児休業取得実績がなかった場合には、実際の取得に先立ち、社内体制を整備する必要があります。「助成金を受けるためにとりあえず休ませた」というのではいけません。この『出生時両立支援助成金』は、男性の育休取得が会社に根付くよう、しっかりと体制を整えるための原資として活用されるべきお金。正しく活かすべきです。

具体的には、社内規定の整備や育児休業給付金支給のための手続き対応はもちろん、男性が育休を取得しやすい環境作りとして、制度の周知やフォロー体制の整備などにも目を向ける必要があります。

すべてを社内で対応しようとすればなかなか難しいこともあるかもしれませんが、そこはぜひ、お気軽に専門家にご相談いただきたいと思います。人事・労務分野を専門とする社会保険労務士は、手続関連から社内の体制作りまで一貫したサポートが可能です。
「外部に依頼すると費用がかさむのでは・・・?」とご心配な場合には、「社内で取り組めることと依頼することを明確にする」「相談業務のみを依頼し、実際の手続きは社内で対応する」等の工夫でコストを抑えることもできます。また、ここでご紹介した以外にも、従業員の育休取得に伴って申請可能な助成金はいくつかあります。こうしたフォローにもまた、社会保険労務士は対応可能です。


「保育園落ちた!」ママのために出来ることとして、より広い視野で捉えれば、会社にはまだまだあらゆる施策を検討する余地があるのではないでしょうか。働きやすい会社作りへの取り組みは、当初こそ労力を要するものですが、長期的にみれば必ず会社にとってプラスになります。まずはご相談から、お気軽にお問い合わせください!

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