「2年」→「5年」に ! 未払賃金請求の時効が見直されます
労務



未払賃金請求の時効を、現在の「2年間」から最長「5年間」とする議論が進められようとしています。

既に新聞やテレビでも伝えられているため、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。



2020年の労基法改正項目の一つに盛り込まれる見込み


報道をきっかけにその動向に注目が集まるところですが、現在報じられている内容は未だ検討段階にあるものです。厚生労働省によると、今後、年内に有識者、学識経験者らによる検討会を設置し大まかな方向性を固めた上で、2018年夏の労働政策審議会で具体的な議論を行うとのことです。

時効見直しのために労基法改正が必要となれば、早ければ2019年内に法案提出、2020年に改正法施行となります。「未払賃金請求の時効」については、既に発案されている「時間外労働の上限規制」や「有給休暇取得義務化」等に伴う労基法改正案と共に成立、施行が目指されることになりそうです。

参照 : 日本経済新聞電子版「未払い賃金請求、最長5年に サービス残業抑制へ検討」


残業代の計算は正しく出来ていますか ?


「未払賃金」と聞いて、真っ先に頭に浮かぶのはおそらく「残業代」でしょう。
連合総研の調査によると、今年9月に所定外労働を行った人(残業代が支給されるべき人)のうち、「残業手当の未申告(賃金不払い残業)がある」と回答したのは全体の3割超であり、不払い残業時間の平均は 18.0 時間との結果が判明しました。


また、未申告であった理由について、およそ7割が「申告する際に、自分自身で調整したから」と回答し、調整に至った具体的な理由としては「働いた時間どおり申告しづらい雰囲気だから(32.5%)」としています。加えて、「申告する際に、上司から調整するように言われたから」という労働者が2割程度存在することが、明らかになっています。


出典 : 連合総研『第34回 勤労者短観「勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート調査」』

未払残業代の請求権を有する労働者は、決して少なくありません。しかしながら、その多くが職場の雰囲気を察して、もしくは指示を受けて、労働者自らが申告の調整を行っています。
御社では、このようなことが常態化していないでしょうか?「知らなかった」では済まされません。今一度、現場の再確認をされてみる必要があるでしょう。


現在でも、2年以上遡っての未払賃金請求が認められるケースがあります


現状、労働基準法第115条によって未払賃金の請求に関わる時効は「2年」とされていますが、判例では「3年」分の未払残業代の支払いが命じられた例もあります(杉本商事事件・広島高裁平成19年9月4日)。

これは民事法上の不法行為、および債務不履行による損害賠償請求権の時効が適用されたもので、会社が意図的に労働時間を把握しない等の事実があったことが「不法行為」とみなされたケースとのことです。


まとめ


今回の報道を受けて、早急に現状把握と改善に努めるべき会社は少なくないでしょう。電通では、既に未払い残業代に関わる調査が完了し、年内にも支払いが行われるようです。

参照 : 朝日新聞DIGITAL「電通、未払い残業代を支払いへ 12月中に24億円」

1日30分程度の残業代でも、それが2年分、5年分と積み重なり、さらに従業員数で乗じれば、莫大な金額となることもあります。
「見て見ぬふり」では膨れ上がる一方ですので、早めの対応を心がけましょう。

ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 社会保険労務士 丸山博美のページ

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