就業規則の変更を考えるべき6つのタイミング
労務


この記事の目次
就業規則は、労働時間や休日、賃金、退職など労働条件や、解雇事由やセクハラ禁止など職場の規律を定めた会社や労働者が守るべきルールブックのようなものです。この就業規則は、一度作成すればずっとそのままでいいというものではありません。適切なタイミングで就業規則の見直しを行い、変更をしなければなりません。

就業規則の見直しが必要な6つのタイミング


1.労働基準法などの法律が改正されたとき
2.従業員の雇用形態が多様化したとき
3.従業員数が増加したとき
4.会社の成長などにより労働環境が大きく変化したとき
5.助成金の受給を検討しているとき
6.労働基準監督署から是正勧告を受けたとき

1.労働基準法などの法律が改正されたとき


労働基準法の改正や、マイナンバー制度のような業務に大きな影響を及ぼす法律が制定された場合は、就業規則の見直しが必要となります。特に労働時間や賃金についての改正が行われた際には、労務トラブルへとつながりやすいので、就業規則を見直し、必要に応じて変更をしなければなりません。

また、マイナンバーの場合は、利用目的を明示した範囲でしか利用できないため、就業規則にマイナンバーの利用範囲を明示するなどのマイナンバー対応が必要です。その他にも、男女雇用期間均等法や育児・介護休業法などの法律が改正された際にも、念のため就業規則を確認してみることをおすすめします。

2.従業員の雇用形態が多様化したとき


パートタイマーやアルバイト、嘱託社員などのパートタイム労働者が増えてきたときには、就業規則の見直しが必要となります。パートタイム労働者を雇用しているにもかかわらず、正社員用の就業規則しか用意していない場合は、パートタイム労働者に対しても正社員用の就業規則が適用されてしまいます。

パートタイム労働者は、労働時間や賃金に関して正社員とは異なりますので、就業規則の作成義務違反となってしまう可能性があります。そのため、パートタイム労働者などの正社員以外の従業員を雇用している場合は、就業規則を変更しなければなりません。

3.従業員数が増加したとき


従業員が増えてくると、社内で統一のルールを設けた方が良い場合などがあります。従業員の育児休暇の取得や解雇・退職のトラブルなど、従業員が多くなるにつれて、さまざまな事例が発生します。この事例に対して個別に対応していくのは、非常に労力がかかります。そのため、従業員数が増加し、以前に作成した就業規則だけでは対応しきれなくなった際は、現在の形に合った就業規則へと変更しなければなりません。

4.会社の成長などにより労働環境が大きく変化したとき


起業時などに作成した就業規則は、その当時の労働環境に合わせて作成したものなので、会社の成長とともに、労働環境の実態と就業規則とでズレが生じてきます。このような場合は、労務トラブルが生じたときに就業規則を用いて対応することができませんので、裁判沙汰になってしまう可能性があります。裁判まで至らないまでもトラブルの解決に労力を要してしまうため、会社が成長するなどの労働環境の大きな変化があった場合は、就業規則の見直しをする必要があります。

5.助成金の受給を検討しているとき


キャリアアップ助成金や両立支援等助成金などの助成金を受給する場合は、就業規則が整備されている必要があります。このような、受給要件に「就業規則の整備」という項目がある助成金を受給されたいのであれば、就業規則を確認し必要に応じて変更する必要があります。

6.労働基準監督署から是正勧告を受けたとき


就業規則に必要事項が記載されていない場合は、労働基準監督署から行政指導が入り、是正勧告を受ける可能性があります。もし就業規則の是正勧告を受けたら、早急に就業規則を見直し、変更しなければなりません。これを怠った場合、労働基準法違反によって書類送検されてしまいます。

まとめ


就業規則はただあればいいというものではありません。現在の会社の実態に合ったもの、法律の改正に対応しているものでなければ、就業規則が本来持つ役割を果たすことができません。もし、現在の就業規則が古いものであれば見直しをすることをおすすめします。

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