ストレスチェックを実施した事業者も多いのではないでしょうか。
ただ、ストレスチェックを実施したものの、産業医等の実施者から高ストレス者と判定され、面接指導が必要とされた労働者が職場にいた場合、どのように対処していらっしゃいますか ?
面接指導は義務ではなく、高ストレス判定者からの申出によるものなので、申出がないままにしている事業者もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、より面接指導を受けやすくする職場体制を整えるような観点から、この「事業者が確認しておきたいストレスチェック面接指導マニュアル」をまとめました。
労働者のメンタルヘルス面でのサポートとなり、快適な職場環境の形成にお役に立てれば幸いです。
ストレスチェック後の面接指導とは
さて、ストレスチェックの後に、産業医などの実施者より高ストレス者と判定された労働者をそのまま放置するわけにはいきません。放置したことにより、高ストレス者の精神状態が悪化し、休職、離職など様々なトラブルとなった場合、職場にも大きな影響を与え、事業者側には安全配慮義務違反が問われます。 このようなトラブルを未然に防ぐためにも、産業医などの実施者より、面接指導を受ける必要があると認められた労働者や、面接指導を申し出た労働者に対して、メンタルへルス改善のため、面接指導があります。
ただ、面接指導は「義務」ではなく、対象となる労働者側からの申出により行われるものです。ただ、労働者側からの申出がないからといってそのままにはせず、事業者側から面接指導を受けるように勧奨しましょう。
面接指導の対象となる労働者
面接指導の対象となる労働者は、下記のとおりです。
なお、一般的に高ストレス者と判定されるような労働者は、真面目で忍耐強いと周囲から思われている人間が多い傾向にあります。
面接指導が必要であっても、生来の真面目さからなかなか申出をしない者、職場の人々に知られるのが嫌で、面接指導を申出しないケースも考えられます。
このようなことを避けるためにも、事業者は、面接指導を受けやすいような職場環境の体制を作成し、対象となる労働者には、面接指導を勧奨するようにしましょう。
これだけは押さえておきたい ! ストレスチェック面接指導の注意点
ストレスチェック制度全般に言えることですが、下記の注意点なども、社内規定などで整備しておくのがおすすめです。
メンタルヘルス問題はデリケートな問題です。
まずは、ストレスチェック結果の産業医からの事業者への通知自体、必要な措置になるだけの必要最小限の情報にする必要があります。
面接指導の申出があってから、1か月以内の面接指導
面接指導は労働者からの申出があってから概ね1月以内に実施する必要があります。
面接指導に要する費用は事業者が負担しなければならず、労働者が負担する必要はありません。
費用を心配する労働者もいるので、この点はちゃんと労働者に説明しましょう。
また、面接指導は、原則、就業期間内に設定しましょう。
面接指導は、就業時間内に設定しましょう。ただ、直属の上司の目も気になる労働者も多いので、面接指導における社内規定を定めておくと安心です。
情報の秘匿化課
メンタルヘルスの問題はデリケートで、かつ、高ストレス者にとっては、自分が高ストレス者であることが周囲に知られることを恐れているものもいます。
面接指導を受けることなどが秘匿化されて、高ストレス者のプライバシーが守られるよう職場体制を整えましょう。
実施者への情報提供
労働者の勤務の状況、心理的な負担の状況などの情報を求められる場合があります。
この場合も職場の同僚などに気が付かれないよう、情報の内容や提供した事実が秘匿化されるように充分に留意しましょう。
不利益な取り扱いの禁止
面接指導を受けたことにより、また、面接指導の結果によって、労働者が不利な立場にならないよう注意をしましょう。
参考 : 厚生労働省「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル 」
まとめ
面接指導を行うにあたって、一番必要なのは、高ストレス者と判断された労働者が、面接指導を受けるふさわしい職場環境の形成です。
面接指導を受けたことによる不利益がないように、また面接指導対象者が安心して面接指導を受けられるように社内規則を整備したり、体制を常に整えて労働者に快適な職場環境を形成していきましょう。
ストレスチェック面接指導に関する社内規則や、体制について、ご不明の点がある場合はお気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 社会保険労務士 池田久輝のページ