マイナンバー対応は必要なのか?就業規則を見直す4つのポイント!
労務


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行政の効率化などの観点から開始されることとなったマイナンバー制度の影響により、世間では「就業規則の見直し」の必要性が叫ばれております。しかし、本当に就業規則を見直す必要があるのでしょうか。

マイナンバーの利用目的の明示が必要に


企業がマイナンバー(個人番号)を利用できるのは、番号を取得した際に従業員に明示した「利用目的」に則った範囲内であり、利用目的を超えたマイナンバーの利用は法律で禁じられております。また基本的に、利用目的を後から追加することはできません。そのためマイナンバーの利用目的については、あらかじめ就業規則に記載するなどの対応が必要となります。

例外として、従業員からマイナンバーを取得する際に、源泉徴収や健康保険・厚生年金保険の手続きなどの利用目的を包括的に明示して利用することは問題ありません。

当初の利用目的とは異なる目的でマイナンバーを利用したい場合は、本人への通知を行う必要があります。本人へ利用目的を通知する方法としては主に以下の3つの方法があります。

1.就業規則への記載による通知
2.利用目的を記載した書類による通知
3.会社ホームページの従業員専用サイトへの掲示

このように、マイナンバーの利用に関しては、利用目的を明示する必要があります。利用目的を明示する一つの手段として、就業規則のマイナンバー対応が行われています。

マイナンバーの利用範囲が限られている理由とは


利用目的として明示した利用範囲でしか、マイナンバーを利用できない理由は、マイナンバーが特定個人情報であるためです。特定個人情報は、マイナンバーやそれに対応する符号を内容に含んだ個人情報のことで、マイナンバーの導入以前から存在した「個人情報保護法」よりも厳格に管理が定められています。

特定個人情報は、個人情報を含むため個人情報保護法が適用されますが、マイナンバーによる名寄せのリスクがあることから、番号法も適用されます。そのため、個人情報よりも取り扱いに関する規定が厳しく、利用範囲が厳しく制限されているのです。

例えば、個人情報の場合であれば、本人の同意があれば個人情報を第三者に提供することが可能でしたが、マイナンバーのような特定個人情報の場合は、本人の同意があっても第三者に提供することはできません。

また、そもそも就業規則に個人情報の取り扱いについても記載していない企業も存在します。個人情報保護法では、事業で扱う個人情報の件数が半年間で5,000件を超える事業主にのみ情報の管理義務が課されるため、すべての事業主が対象ではありませんでした。しかし、マイナンバー法では、特定個人情報を扱うすべての事業主に対して情報の管理義務が課されるため、今まで情報の管理義務がなかった企業にも、義務が課されるようになり、就業規則の変更が必要となりました。

就業規則の変更するべき4つのポイント


就業規則のマイナンバー対応をするために、以下の4つの内容について就業規則の変更を行う必要があります。

1.マイナンバーの利用目的
従業員から取得したマイナンバーをどのような目的で利用するか明示する必要があります。利用予定がある内容を、利用目的として明示していないと、マイナンバーを利用する度に従業員への通知が必要となってしまいます。

2.マイナンバーに関する秘密保持義務
社内でマイナンバーの利用・管理を担当する従業員がいる場合、業務で知り得た特定個人情報についての秘密保持義務を、就業規則に記載する必要があります。担当の従業員が退職した場合を想定して、特定個人情報に関するデータの返却についても記載しておくべきでしょう。

3.入社時の個人番号カードの提示
入社時に個人番号カードを提出してもらうことや、本人確認を行うための身分証明書の提示などについて記載しておくべきでしょう。行政手続きで、従業員や従業員の扶養家族のマイナンバーが必要となることがあるので、円滑にマイナンバーを収集するためにも必要となります。

4.マイナンバーに関する解雇事由
社内で管理している特定個人情報を故意に外部に漏洩させた従業員がいた場合に、その従業員を解雇できるように記載しておく必要があります。

まとめ


マイナンバー制度の開始に伴い、多くの行政手続きにおいてマイナンバーを利用する機会が増えてくることが想定されます。就業規則にマイナンバーの利用に関する記載がされていなければ、利用の度に、利用目的を記載した書類を従業員に対して通知する必要が発生してしまいます。業務を円滑に進めるためにも、就業規則のマイナンバー対応をおすすめします。

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