【正規雇用・非正規雇用】労働者の雇用形態について徹底解説!
労務


この記事の目次
近年の景気に対する不透明感の高まりによって、各企業では人件費削減や雇用における柔軟性を確保するために、非正規雇用による労働者の採用を拡大しています。これを背景として、雇用形態の多様化が進み、正社員だけでなく、派遣労働者、契約社員、パートタイム労働者、在宅ワーカー、嘱託社員など、さまざま形で労働者の雇用が行われています。

雇用契約書や就業規則を作成する際は、労働者の雇用形態を理解した上で作成する必要がありますし、助成金の受給やストレスチェックを受ける際も、対象となる労働者が社内にいるか見分けるために、雇用形態について理解しておく必要があります。

労働者の雇用形態


正規雇用正社員
限定正社員 勤務地限定正社員
職務限定正社員
短時間正社員
非正規雇用 契約社員
派遣労働者
パートタイム労働者
嘱託社員
在宅ワーカー

■ 正規雇用労働者(正社員)
雇用契約上で、特別な取り決めがなく雇用された労働者のことで、正社員と呼ばれることもあります。法律上の用語ではないため、しっかりとした定義はありませんが、一般的に雇用期間が定められていなく、フルタイムで勤務している労働者のことを指します。正規雇用労働者の中には限定正社員と呼ばれる社員も存在し、彼らは一般的な正社員と比べて、労働内容や地域、労働時間が限定されています。限定正社員は、一般的な正社員に比べ給与が少ない傾向があります。

■ 非正規雇用労働者(非正社員)
非正規雇用労働者は正規雇用ではない労働者のことで、契約社員や派遣労働者、パートタイム労働社、嘱託社員などのことを指します。非正規雇用は、正規雇用と比べて雇用が安定しなく、給与が少ない傾向があります。

有期契約労働者・無期雇用労働者とは


■ 有期契約労働者
企業との間で雇用期間が定められている労働者のことです。有期契約労働者としては、契約社員や嘱託社員、派遣社員、パートタイム労働者などの労働者がいます。ただし、契約社員や派遣社員の中の一部の労働者は、無期雇用として雇用されているケースも存在します。

また、雇用期間は最長で3年間(専門的知識を必要とする業務に就く場合の労働契約については5年間)であり、その期間を超えて雇用する場合は、契約を更新する必要があります。ただし、有期契約期間が通算5年を超えた場合は、労働者の申し込みにより無期雇用労働者に転換させる必要があります。

■ 無期雇用労働者
雇用期間が定められていない労働者のことです。一般的に、無期雇用労働者というと正社員を連想させますが、非正社員である契約社員や派遣社員の中にも無期雇用の労働者がいます。このような無期雇用の非正社員は、雇用期間が無期限であるため、有期雇用に比べて雇用が安定しています。しかし、労働条件や給与などの待遇が有期契約と変わらず、正社員への待遇に大きな差があるというケースが多くあります。

非正社員の種類


■ 契約社員
一般的に契約社員とは、あらかじめ雇用期間を定めた上で雇用される労働者のことを指します。同じ会社で5年間以上の契約を行った場合に、契約期間が無期限である無期雇用に転換されることがあります。また、雇用契約期間は例外を除いて最長3年間であり、契約の満了時に更新手続きを行わないと、自動的に労働契約が終了します。

■ 派遣労働者
派遣労働者は、人材派遣会社(派遣元)と派遣契約を結んでいる会社(派遣先)に対して派遣される労働者のことをいいます。派遣労働者は派遣先の指揮命令を受けて働くものの、給与は派遣元の会社から受け取ることになっており、複雑な労働形態となっています。
法律上の雇い主は派遣元の会社となるため、事故やトラブルが生じた際は、派遣元が責任をもって対処することになります。ただし、労働の指揮命令を行っているのは派遣先であるため、派遣先と派遣元で責任を分担するべき事項なども定められています。

■ パートタイム労働者
短時間労働者とも呼ばれることがあり、1週間の所定労働時間が、同じ事業所に所属する正社員と比べて短い労働者のことを指します。「パートタイマー」や「アルバイト」、「契約社員」、「嘱託社員」、「臨時社員」など、さまざまな呼称がありますが、労働時間がこの条件を満たしているのであればパートタイム労働者となります。

■ 嘱託社員
嘱託社員という雇用形態は法律で定められたものではないため、明確な定義は存在しませんが、契約社員の雇用形態とほぼ同じ特徴を持っています。
一般的には以下の2パターンの社員を指して嘱託社員と呼びます。
①定年退職後、再度雇入れる社員
②医師や弁護士などの特殊なスキルを持ち、仕事を依頼された社員

■ 在宅ワーカー
在宅ワーカーは、委託を受けて、パソコンなどの情報通信機器を利用して、個人で職務を行う人のことをいいます。在宅ワーカーが、他の労働者と決定的に違うのは、請負契約に基づいているため「事業主」として扱われるという点です。そのため国民年金や国民健康保険への加入が必要となります。

まとめ


労働者に対する呼称は様々なものがあり、中には、法律上での明確な定義付けがされていない呼称も存在します。そのため、雇用契約書や就業規則を作成する際や、助成金の受給要件を見るときなどに困惑してしまうことも多いと考えられます。

また、労働者の雇用をする際にも、自社にとって必要となる労働者の雇用形態をしっかりと理解した上で雇用を行うことが望ましいと言えます。労働形態を理解していることで、労働者を雇用をするときや職業訓練を行うときに、助成金をもらうこともできます。もし、人材の採用を考えているようであれば、労働者の雇用形態を理解した上で人材の採用を行うことをおすすめします。

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