いまのうちにチェック ! 平成30年度の助成金獲得にむけての準備まとめ
労務


平成30年度は「働き方改革」関連法案の決定が予定されています。平成31年の施行に向けて各企業は準備をしなければいけない年になりますが、中には中小企業にとって負担の重い内容のものも含まれています。

そこで、厚生労働省は平成30年度に向けて、働き方改革をスムーズに実行できるように様々な助成金の企画をスタートさせる予定です。先日新聞で厚生労働省の平成30年度助成金の方針が報じられました。この記事を基に、今からスムーズに助成金を獲得するためにやっておきたいことを解説します。

この記事の目次

長時間労働抑制が一番のポイント


今回の法案の目玉は何と言っても長時間労働の抑制です。そもそも時間外労働は労働基準監督署に提出をする通称「36(サブロク)協定」で記載した時間内でのみ可能です。原則、労働基準法で時間外労働は45時間までと上限が決められているのですが、「特別条項」をつけることでそれより多くの時間外労働をさせることが可能になります。この36協定に記載されている時間が有名無実化している企業が多く見受けられるというのが、現在の問題点です。

そこで、これまで36協定に記載されている時間を超えて労働させていた企業が、36協定を見直し、自ら上限をつけてそれを守った場合に助成金を支給する予定です。なお、法的な上限は月45時間、年360時間です。また、特別条項については年720時間、月100時間未満(休日労働含む)、2~6ヶ月平均で80時間(休日労働含む)になる予定です。

まず、あなたの企業は36協定を労働基準監督署に提出していますでしょうか。社員を残業させているのに36協定が出ていなければ、提出自体はすみやかに行っておくべきです。(余談ですが、36協定の未提出企業の摘発は、この働き方改革の中で強化されると予想できます。)さらに、36協定の時間、あるいはその特別条項すらも超えて労働している社員がいないか確認してください。いる場合は、その社員が時間外労働の上限内で働ける施策を考えておきましょう。4月以降に上限内に労働時間が収まれば、助成金を獲得できる可能性が高くなります。なお、特別条項はつけない方が獲得できる助成金は高くなると予想されます。

準備にかかる経費にも助成金がつく予定


長時間労働の抑制のためには、様々な経費がかかることが見込まれます。例えば、就業規則の改定、社員向けの研修費用、コンサルタントの活用、労務管理機器・システムの導入、設備の導入などが考えられます。これらの経費の補助となるような助成金の支給が予定されています。

これを機会に、一度労務管理方法の見直しを行うことをお薦めします。あなたの企業では誰が何時に来て、何時に帰って、結果何時間残業したのか、その月の残業時間が現在どれくらいなのか、客観的に把握できる仕組みになっていますか?客観的、というのがポイントです。労働時間について自己申告制を取っている企業だと、社内の雰囲気などの問題で、申告内容そのものが疑われるようなケースもあるからです。

労務管理の見直しとは、例えば、これまで労働時間が自己申告制だった企業で、タイムカードなどのシステムを導入する、といったようなことが挙げられます。システムの導入や労働分野のコンサルティングなど様々なサービスがありますので、今のうちに自社に合うものを探しておいて、予算を確保しておいてください。平成30年度に入ったら、すぐに実行できるようにしておきましょう。

週休2日や勤務間インターバル制度の導入も対象になる可能性あり


現在週休2日になっていない会社に対して、週休2日制を充実させることで助成金を支給する予定になっています。休日数が現在少ない会社では、休日数を増やせるかどうかの検討を行うことをお薦めします。

また、勤務間インターバル制度とは、前日の労働の終了時間から、次の労働の開始時間までの間の時間に下限を設ける制度です。例えばこの時間を11時間に定める場合、前日に23時まで仕事をした場合は、翌日は10時より前に仕事を開始してはいけないことになります。勤務間インターバル制度を設けることの助成金は以前から存在していました(今年度はいったん終了しています)が、平成30年度は再び実施・強化されるものと予想されます。制度の導入を行っていない会社は、ぜひこの制度の検討を行ってみてください。

まとめ


いかがでしたでしょうか?上記の内容はまだ確定していないので、確実に助成金を獲得できるものではありませんが、検討をする分に損は無い内容ばかりです。何よりも、どの内容も企業の従業員の健康に寄与して、生産性の向上が見込まれます。

これらの助成金は、政府の予算ありきで行われますので、〆切前であっても予算の上限まで申し込みが達したら終了することもあります。たいていの場合で申し込みの早い方が優先されますので、早めに検討を行い、正式に助成金の企画が発表されたらスムーズに獲得できるように準備を行いましょう。
助成金を獲得したことの無い企業の方は、一度専門家である社会保険労務士にご相談いただくと良いと思います。

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