今一度見直したい1か月の変形労働時間制とは ?
労務


株式会社港国際ワークスタイル研究所 代表取締役/港国際社労士事務所 代表の近藤由香です。

2018年はますます働き方改革の波が加速していくと思われます。労働時間の原則は1日8時間1週間40時間ということはご存知でしょう。では、よくタクシー業界やホテル業界など1日16時間勤務という職場もあります。このような職場はどのようにして労働時間を設定しているのでしょうか。毎日違法状態ということではありません。これらの1日8時間の原則とは異なるルールを、「変形労働時間制」と言います。そしてこれらの職種は変形労働時間制を導入しているため、合法となっています。

今回はその変形労働時間制の一つである1か月の変形労働時間制についてです。

この記事の目次

こんな時におすすめ!1か月の変形労働時間制


先程お伝えしましたが労働時間は1日8時間1週間40時間が原則です。

「あれ?タクシーやホテルなどはどうしているの?」

そう思った方もいるかもしれません。これらの業界では1か月変形労働時間制を使えば可能となります。実際タクシー会社のほとんどが1か月単位の変形労働時間制を導入しています。

そして、これは週40時間の原則が厳格に求められ、1日8時間の原則が緩和されます。具体的には一定の期間(1か月)の中で1日8時間以上の労働時間を設定が可能となります。ただし、この変形労働時間制を導入したとしても、1週間40時間の原則は厳格に適用されています。

1か月の変形労働時間制の導入要件


1か月単位の変形労働時間制を導入するには下記の採用方法を守らなくてはなりません。
1:労使協定または就業規則で記載
2:協定を労基署に提出

そしてこの協定または就業規則では次のことを規定します。

1:対象者の範囲


法令上対象者の範囲に制限はありません。ただその範囲は明確にしておくことが必要です。

2:対象期間及び起算日


対象期間および起算日は具体的に定める必要があります。対象期間は1か月以内の期間に限ります。

3:労働日および労働日ごとの労働時間


シフト表や会社カレンダーで対象期間のすべての労働日ごとの労働時間をあらかじめ具体的に示している必要があります。また、注意点は1週間あたり40時間(特例措置対象事業所は44時間)を超えないようにしなくてはなりません。

4:労使協定の有効期間


労使協定で定める場合は、3年以内の有効期間が望ましいです。

誤解されがちなこと


1か月の変形労働時間制はあらかじめシフト表や会社カレンダーで対象期間のすべての労働日ごとの労働時間をあらかじめ具体的に示している必要があります。効果としては本来であれば1日8時間を超えたら残業となるところ、1日8時間以上の時間を所定労働時間とすることが可能となります。

こう記載すると、1か月変形労働時間制を採用すれば、上限なく労働時間を割増賃金なしに設定できるのではないか、という点です。変形労働時間制だからと言って、どれくらい働いても残業代を払わなくても良いということにはなりません。1か月以内の期間を平均して1週間に40時間(特例措置対象事業所では44時間)になるようにあらかじめ設定しなくてはならないのです。

また、1か月の変形労働時間制を採用する場合、その期間であれば週や日の所定労働時間を特定しなくても自由に出入りできるのではないかという誤解もあります(これは完全な違法状態です)。採用するには、「あらかじめ」どの日に何時間働くのかという点を明確に特定していることが必要なのです。

まとめ


変形労働時間制というと、名前から自由度が高いと想像しがちです。この点きちんと導入要件を満たし、それを遵守しなければ行政の是正勧告・是正指導の対象になってしまいます。名前の持つイメージから簡単だと即断せず、かならず導入の要件を確認し運用していくことが大切です。

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