マイナンバー制度が始まると、企業は税金や社会保険の手続きの際に、従業員のマイナンバーを書類に記載しなくてはならなくなります。マイナンバーの収集は、従業員のものだけではなく、その扶養家族のものも必要となります。また、企業は収集したマイナンバーの保管・使用・廃棄に至るまで、厳格な管理が義務付けられており、管理システムの導入が必要とされています。
管理システムの種類
企業は取集した従業員およびその扶養家族のマイナンバーを、管理システムを用いて管理することになります。マイナンバーの管理システムは、「オンプレミス」のシステムのものと「クラウド」で提供されるシステムのものが存在し、それぞれ特徴が異なります。
【オンプレミスのシステム】
サーバーやネットワーク機器を購入して、自社の建物内で設置・運用・管理を行っていくものです。マイナンバー管理用のソフトを購入し、パソコンにインストールすることで、マイナンバー専用のデータベースを利用することができます。
【クラウドのシステム】
インターネット上の外部リソースであるクラウドコンピューティングに、マイナンバー専用のデータベースが用意されています。そこでマイナンバーを一元管理することで、アクセスが許可されている人は、どこからでも入力・閲覧が可能となっています。
オンプレミスとクラウドによる違い
オンプレミスのシステムは、初期費用が高額である代わりに月額費用がかかりません。自社内でマイナンバー情報の管理体制を構築することができる場合や、グループ会社を統合して自社内で管理する場合に適しています。
クラウドのシステムは、毎月費用がかかりますが初期費用が少なく、低額でマイナンバーの管理をすることができます。また震災時の対応も、サービス提供者が適切な対応を行ってくれるというメリットがあります。
オンプレミス | クラウド | |
---|---|---|
コスト(初期費用) | 高額 | 低額(無料) |
月額料金 | なし | 毎月かかる |
コスト形態 | 資産 | 経費 |
障害対応 | 自社で復旧 | サービス提供者が対応 |
マイナンバーの管理 | 自社のPC/サーバー | クラウド上のデータベース |
マイナンバー収集~管理における違い
1. マイナンバーの収集
オンプレミスのシステムでは、担当者が従業員から書面でマイナンバーを受け取り、システムに入力する必要があります。マイナンバーを書面で受け取り、入力が終わるまで保管をするという点で、情報漏洩の危険性が伴います。また、従業員の多い会社では、担当者の負担が非常に大きくなります。
クラウドのシステムでは、従業員が本人及び扶養家族のマイナンバーを入力することができるため、書面でマイナンバーを受け渡しする必要がありません。このため情報漏洩の危険性を最小限に抑えることができます。また、担当者が入力する必要がないため、担当者への負担が小さく済みます。
2. マイナンバーの支店からの収集
オンプレミスのシステムでは、書面上に記入された支店のマイナンバーの受け渡しをするか、Excelなどのデータで受け渡しをすることで、マイナンバーを取集することになります。
クラウドのシステムでは、支店から直接クラウド上のデータベースにアクセスすることが可能であり、本社とデータを共有することができるます。
3. マイナンバーの本人確認
オンプレミスのシステムでは、担当者が通知カードと本人確認が可能な書類(運転免許証)で確認を行います。従業員数が多い企業では、担当者の負担が非常に大きくなります。
クラウドのシステムでは、通知カードと本人確認が可能な書類を、画像データとして取り込むことができる機能も持つシステムを導入すれば、担当者はPC上で本人確認の作業を行うことができます。
4. マイナンバーの保管
オンプレミスのシステムでは、入力されたマイナンバーのデータは社内のパソコンまたはサーバー内に保管されます。パソコンまたはサーバー内のマイナンバーを守るために、物理的・技術的安全管理措置を整えなくてはなりません。
クラウドのシステムでは、クラウド上のマイナンバー専用のデータベースに保管されるため、企業内でマイナンバーを持つことなく管理することができます。
クラウドのシステムはマイナンバーの収集や本人確認時において手間が少なく済むという点で、マイナンバー対策にかける労力を必要最低限に抑えることができます。また収集、保管時の情報漏洩のリスクも、オンプレミスのシステムに比べて最小限に抑えることが可能です。
マイナンバー制度の導入により、今後すべての企業でマイナンバーの管理が必要となります。この機会に自社の業務内容、予算、従業員数、インターネット環境等に合った管理システムの導入をご検討ください。