事業主必見 ! メンタルヘルス不調で休職した労働者の「職場復帰支援プログラム」
労務


今回は、近年多くなってきたメンタルヘルス不調で休職した労働者の復帰支援プログラムについて説明します。

この記事の目次

職場復帰支援プログラムとは ?


職場復帰支援プログラムは、メンタルヘルスの不調により休職した労働者の職場復帰を支援するプログラムです。

実は、職場復帰支援プログラムを作成することは、事業者の義務ではありません。ただ、大手下着メーカーのような判例(京都地裁H28.2.28)もあり、労働者から職場復帰支援プログラムがないこと等を理由に提訴された場合、企業によっては、多大なダメージを受ける可能性が高くなります。

このようなことを防止するためにも、メンタルヘルス不調で休職した労働者の職場復帰支援プログラムは、作成をした方がおすすめです。以下で作成までの3つの手順についてご説明します。

手順① 内容及び関係者の役割について定める。


職場復帰支援プログラムには、職場復帰支援の標準的な流れを明らかにするともにそれに対応する手順、内容及び関係者の役割等について定めます。

手順② 関連規定や体制の整備


関連法規、就業規則などの見直しと整備、産業医などとの連携体制、メンタルヘルス推進担当者の選定などを行っていきます。

手順③ 教育研修の実施と周知


実際にプログラムを作っても、それがうまく機能していないようだと意味がありません。労働者、管理監督者などに対し、職場復帰支援プログラムの教育研修の実施等を行い、周知をします。

なお、独立行政法人労働者安全機構のホームページ上には事業所の規模に即したマニュアルがありますのでご参照ください。
参考 : 独立行政法人労働者安全機構

職場復帰支援プログラム作成について注意点


職場復帰支援プログラム作成については、以下の注意点があります。

現状把握、調査、分析


現状がどうなっているのか、職場でヒアリングを行い、衛生委員会の意見も聞き、分析していくことが必要です。ただ、一から作り上げるのは大変なので、なるべく今あるものを使用していきましょう。

職場環境、就業規則の考慮


上記の分析をふまえて、職場環境の実態を把握し、就業規則に抵触しないように作成していきます。

専門家との連携


衛生委員会、産業医、衛生管理者、労務管理担当などとも連携して作成をする必要があります。事業場などの規模や事業内容によっても異なってくるのでご注意ください。
また、産業保健総合支援センターでは、職場復帰支援プログラム作成に必要な助言などを行っています。

職場復帰支援プランの作成


実際の職場復帰支援の際には、職場復帰支援プログラムに基づき、個々の労働者ごとに職場復帰支援プランを作成します。「個々の労働者に合わせた柔軟な対応」「プライバシーへの配慮」などに留意しながら、具体的な職場復帰支援プランを作成することになります。

休職した労働者に対して安心を与える職場環境作り


メンタルヘルス不調の原因が業務によるものか、業務外によりものかによって変わってきますが、業務によるものの場合、業務内容の見直し、職場環境の改善も必要です。
復職に当たって、休職した労働者は想像以上に不安に思っています。
とは言っても、他の労働者に負担になることは好ましくありません。職場環境を調整しながら、本人、専門家とも相談をなし、職場復帰支援プログラムを元に、個々の労働者の復帰支援プランに沿って、徐々に通常業務に移行できるようにしましょう。

まとめ


メンタルヘルスの不調により休職する労働者がないよう、普段からストレスチェック体制などで、快適な職場環境形成に努めることはもちろんのこと、休職者の職場復帰支援体制も整え、労働者が安心して業務に専念できるように配慮するのは事業者にとって必要なことです。

職場復帰支援プログラム作成については、就業規則、業態などによっても変わってきます。詳しくは専門家にご相談ください。

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