同一労働同一賃金に向けて今から見直すべきポイント
労務


「1億総活躍」という言葉は「働き方改革」と名前を変え、最近では「人づくり革命」とさらに違う呼称で呼ばれたりもしています。これは政策が変わったわけではありません。時代の変化に合わせて、日本人の仕事観や働き方を根本から変えていかなければ、日本が世界から取り残されてしまうという危機感の表れだと私は捉えています。

あくまで予定ですが、今後2018年に一連の働き方改革法案がほぼ可決され、2019年4月には実施に移される見込みです。
これらの政策には、いくつかの具体的な施策が挙げられていますが、その中でも目玉の一つである「同一労働同一賃金」についての解説を行います。

この記事の目次

そもそも「同一労働同一賃金」とは


同一労働同一賃金とは「正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すためのものである」とされています(平成29年3月28日働き方改革実行計画)。そのために、二者の間に「均等・均衡待遇の確保」(同上)が求められます。

均等は文字通り同じにすることですが、「均衡」とはどのような状態を指すのでしょうか。説明では、「同一の役職・責任には同一の、違いがあれば違いに応じた」(同上)待遇を行うこと、とされています。この「違い」の差に合わせて「違いに応じた」対応をすることが均衡と言えるでしょう。

では、「違い」とは具体的に何を指すのでしょうか。それはこの先の法改正や判例の積み重ねではっきりしてくるところですが、現時点で言えば、以下の3つがポイントになります。

・職務の内容(どんな仕事をしているか)
・責任や権限の範囲(与えられている権限やペナルティの有無など)
・配置変更の範囲(転勤などがあるか)


皆さんの会社で、このような内容が正規労働者と非正規労働者の間ではっきりと決められていますでしょうか。決められていないような状況であれば、これらの内容を吟味して、はっきりとさせていくか、非正規労働者の待遇を正規労働者に近づけていくことが求められます。

賃金の待遇差の見直しを。特に「通勤手当」は要注意!


正規労働者と非正規労働者の待遇差の問題は、既にいくつか裁判で争われているものもあります。これらの判例は、今後の同一労働同一賃金の考え方の基礎として積み重ねられていきますので、専門家の間では注目されているところです。

特に手当の待遇差については、待遇差があること自体がわかりやすく、トラブルにもなりやすいので、今から見直しておくことをお薦めします。

ポイントはその手当が「何で支給されているか」ということです。手当の支給理由が正規労働者と非正規労働者の間で待遇差があることに合理性があれば、これは「違い」になります。逆に合理性がなければ、非正規雇用者にも手当を支給することが必要です。

例えば「通勤交通費」は自宅から会社に行くための手当なので、正規雇用者も非正規雇用者も同じだけ金額がかかるはずです。正規雇用者だけに通勤交通費を支給する、非正規雇用者だけ通勤交通費の上限を設けるといった規程はまず認められないと思っておいた方が良いでしょう。

その他「配偶者手当」「住宅手当」といった手当も一度見直してみてください。その手当に待遇差があることが、手当を支給する目的から照らし合わせてみて妥当でしょうか。迷うようであれば、専門家も含めた第三者と検討することをお薦めいたします。

福利厚生や休職はどうする?


賃金以外で問題になるのが、福利厚生と休職です。福利厚生では食堂、休憩室、更衣室といった施設を非正規雇用者が使うときに制限がある、ということは無いでしょうか。あれば、その合理的理由が求められることになります。教育訓練についても同様です。福利厚生については待遇差の合理的理由を説明しづらいですし、非正規雇用者のモチベーション維持という観点からも、可能な限り同一にすることをお薦めします。

休職規程も問題になりそうです。正規・非正規に関係無く勤続年数で分けるのは問題ありませんが、そこで、「契約社員は1年更新だから、1年勤続分の休職期間しか与えない」となると、不合理な待遇差と言えるでしょう。就業規則上に不合理な待遇差が無いか、今から見直しをしておきましょう。

まとめ


「同一労働同一賃金」では、正規雇用者と非正規雇用者の間の待遇差の解消を目指しています。そのためには二者間の「均等」「均衡」が求められます。まずは二者間にどのような違いがあるのか、職務内容、責任や権限の範囲、配置変更の範囲といった側面から、その実態を確認してください。

そのうえで、今のうちに「手当」「福利厚生」「休職規程」については均等、均衡が確保されているか検討することをお薦めします。

特に待遇差がある場合は、その差について労使間の合意も必要です。トラブルになる前にきちんと従業員に説明をしておきましょう。これらの対応はこれから訪れる法改正に合わせるということだけではありません。人は差別に対しては敏感に反応します。待遇差についての誤解や余計な社員間の軋轢を解消するという面からも大切であると認識してください。

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