全事業主要返信!協会けんぽ「被扶養者リスト」が届きます
労務

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毎年6月から7月上旬にかけて総務や人事などの関係部署では大忙し!
労働保険年度更新に社会保険算定基礎届の2大イベントの陰に隠れ、この時期処理を忘れがちなのが「協会けんぽの被扶養者資格再確認」です。忙しい中でちょっと煩わしいこの作業、実は皆さんの社会保険料負担を抑える上でとても重要なんです。

協会けんぽに加入する事業所には6月10日以降7月上旬にかけて、事業主宛てに、確認に関わる必要書類が届きます。該当者の有無にかかわらず要返信となっているので、届いたらそのままにせず、まずは内容をご確認ください。

今号では、「協会けんぽの被扶養者資格再確認」について、その目的と適切な処理の流れを確認することにいたしましょう。

平成27年度には32億円の削減効果アリ!適正な届け出が社会保険料負担を減らします


まずは「被扶養者資格再確認」がなぜ行われるのかを把握しましょう。
大きな目的は、保険給付の適正化及び高齢者医療制度における納付金・支援金の適正化の2点です。

前者については、私たちが支払う保険料が、すでに被扶養者に該当しない方(つまり、恩恵を受けるべきでない方)の分の保険給付にまで回っているとすれば、これは直ちに是正されるべきであることは言うまでもありません。医療費の高騰は直接的に保険料負担増につながりますから、適正化が図られるべきです。

加えて、私たちが支払っている社会保険料は、医療費や手当金といった私たちが直接的に恩恵を受ける保険給付にだけでなく、高齢者医療制度への支援金としても使われています。

高齢者の医療費について、現在のルールでは、「公費(税金)5割、高齢者の本人負担1割、残り4割は医療保険制度からの支援金」といった割合での負担となっていますが、このうち「医療保険制度からの支援金(つまり、事業主や被保険者が納める保険料から賄うお金)」については各々の制度の加入者(被保険者及び被扶養者)の人数等に応じて算出されているんです。

つまり、本来被扶養者から除かれるべき人が届出を怠っていることにより、頭数に入れるべきでない方々の人数も支援金算出のための計算式に追加されてしまい、結果的に「保険者(協会けんぽ等)負担増=被保険者(つまり私たち)が支払う保険料増」という負のサイクルの招くことになってしまいます。

協会けんぽで平成27年度に実施した「被扶養者資格の再確認」の結果、被扶養者から除かれた人が約7.3万人、(平成27年10月末現在)、削除による効果は31.5億円程度(高齢者医療制度への負担軽減額)となったそうです。

参照 : 事業主・加入者のみなさまへ「平成27年度被扶養者資格の再確認にご協力ありがとうございました」 - 全国健康保険協会(協会けんぽ)

こうした結果を受け、保険料率は東京都の場合、平成27年の9.97%から平成28年度には9.96%へと、僅かながらも着実に下がっています。来年度の更なる保険料率引き下げを目指して、この機会に漏れのないよう確認を行ってまいりましょう。

今年度の必要書類提出期限は「平成28年8月1日」です


協会けんぽの「被扶養者資格の再確認」について、具体的な流れは下記URLにて解説されています。さほど複雑な作業ではありませんので、協会けんぽからの書類と併せて目を通していただくと良いと思います。

『事業主・加入者のみなさまへ「平成28年度扶養者資格再確認の具体的な実施方法について」』 - 全国健康保険協会(協会けんぽ)

あくまで事業主が主体となって行う確認作業ですので、該当者について正しく現状を進めてまいりましょう。

被扶養者となる要件については、下記を参照しましょう。
同居の有無や生計維持関係については、対象となる被扶養者によって異なりますので注意が必要です。

『被扶養者とは?』 - 全国健康保険協会(協会けんぽ)

協会けんぽへの提出書類は下記の通りです。
・削除となる被扶養者がいない場合
→ 被扶養者状況リスト「正」のみを提出

・削除となる被扶養者がいる場合
→ 被扶養者状況リスト「正」の他、該当者の被扶養者調書兼異動届と被保険者証を併せて提出

提出期限は平成28年8月1日(月)となっていますが、確認作業に時間を要する場合もありますので、早めの準備が得策です。
「こんな場合はどうすれば良いんだろう?」、「年度更新や算定基礎届などもあってすべてに手が回らない!」など、お困り事があればお気軽に社会保険労務士にご相談ください。



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