日中社会保障協定が実質合意に至りました
労務


先月28日、北京・釣魚台迎賓館で行われた日中外相会談において、両国の社会保障協定が実質合意に至りました。そもそも「社会保障協定」とは何なのか、締結によってどのような効果があるのか、中小企業の事業主はどのような対応をすべきかを、ざっくり解説することにしましょう。

この記事の目次

日本と諸外国との間で締結されている「社会保障協定」とは?


日本で働く労働者が海外に派遣される際、または海外で働く労働者が日本に派遣される際には、原則として、海外と日本両方の社会保険制度に加入しなければならず、この場合の二重の保険料負担が問題となります。また、正しく保険加入をしていたにもかかわらず、加入期間がその国の年金制度が定める最低加入期間を下回る場合には年金を受給できず、結果的に苦労して納めた保険料が掛け捨てになってしまう例は珍しくありません。

国境を越えて働く労働者の「保険料の二重負担」「保険料の掛け捨て」の不利益に対応すべく、日本は諸外国との間で社会保障協定を締結しています。協定締結の効果として、下記の2点が挙げられます。

✓ 「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を二国間で調整する(二重加入の防止)

✓ 保険料の掛け捨てとならないために、日本の年金加入期間を、協定を結んでいる国の年金制度に加入していた期間とみなして取り扱い、その国の年金を受給できるようにする(年金加入期間の通算)

出典 : 日本年金機構「社会保障協定とは何ですか?社会保障協定を締結する背景・目的」

平成30年2月現在、日本との間で社会保障協定が発効されているのは17か国、加えて3か国との間で署名済の協定発効が待たれている状況です。


出典 : 日本年金機構「社会保障協定とは何ですか?社会保障協定を締結する背景・目的」

上記に加え、今回は中国との間で協定の実質合意に至った、というわけです。

社会保障協定が、中国との間で締結されることの意味


外務省が在外公館などを通じて実施した「海外進出日系企業実態調査」によると、中国に進出する日系企業の拠点数は「3万2,313拠点」となっており、海外に進出する日系企業の総数のおよそ45%を占める割合となっています(平成28年10月1日時点)。

参考 : 外務省「海外在留邦人数・進出日系企業数の調査結果(平成29年要約版)」

一方で、近年では、中国企業も続々と日本進出を果たしています。

参考 : 日本経済新聞「中国企業、日本に「紅い経済圏」 消費分野で進出続々」

今回の社会保障協定合意により、ビジネスにおける日中両国の関係性は一層深まるであろうことは言うまでもありません。

社会保障協定関連で、事業主が対応すべきこと


日本から協定国へ労働者を派遣する場合、日本の事業主は、年金事務所宛てに「適用証明書」の交付を申請する必要があります。この証明書を有することにより、労働者は協定相手国の社会保障制度への加入が免除されます。手続きの概要や申請書のダウンロードについては、日本年金機構のウェブサイトよりご確認いただけます。

参考 : 日本年金機構「日本から協定を結んでいる国で働く場合の手続き」

まとめ


今号でご紹介した「日中社会保障協定の実質合意」は、中国進出を視野に入れる事業主様であれば、確実におさえておくべき話題です。今後、正式な協定発効に至るまで、その動向に注目していきましょう。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。