「新型うつ」の対処方法を実務面から解説
労務


「うつ病」の種類の一つとして「新型うつ」という呼ばれる症状があります。会社に行く時には強いうつ症状が出るのに、自分の好きな旅行だったり趣味だったりをしている時はうつ症状が出ないようなケースです。こうやって文章にして起こしてみると甘えにしか見えませんが、甘えにしか見えないからこそ対応が難しいと言えるでしょう。ここでは、「うつ」と「新型うつ」の違いや、その対応方法について解説をしていきます。

この記事の目次

「新型うつ」とは何か


まず「新型うつ」はメディアの造語であり、正式な名称ではありません。また「新型うつ」を病気としてカテゴライズすべきかどうか、というところからまだ議論の途中であり、確かな説が存在しているわけではありません。その範囲も原因も本当のところはよくわかっていない、というのが実情ではあります。

その中で意見として一致していることは、新型うつは甘えとかわがままとかで片付けられる問題ではない、ということです。本人が苦しんでいることに変わりはなく、切って捨てるような対応は問題を悪化させるだけです。

従来のうつでは、抑うつ症状が好きなことをしている時でも気分が落ち込むような症状が出ますが、新型うつでは、好きなことをしている時はその症状は出ません。

また、従来のうつでは自責の念が強いのに対して、「新型うつ」は特徴として他罰性が強いことが挙げられます。訴えの中に「会社や上司が悪い」という内容が出たら、この新型うつを疑った方が良いかもしれません。

環境を変えることを第一に考える


うつの場合、原則的には職場復帰する際は同じ職場に戻すことが原則です。新しい人間関係を作ったり、新しい仕事を覚えたりする負担を減らすためです。ところが新型うつの場合、職場に原因があると考えている人が多いので、元の職場に戻したところでなかなか上手くいきません。

新型うつの場合、その職場や人に対して、一種のトラウマのようなものが存在している場合が多いです。例えば、職場の上司に叱られた、恥をかかされたといったものです。それ自体を一般的に見ればそれほどたいしたことは無くても、その人にとってはフラッシュバックのようにその場面がよみがえって、うつに近い症状が出るのです。

新型うつと呼ばれる人を復帰させたいのであれば、状況が許す限り、環境を変えることを考えた方が職場復帰の近道になります。

「ありのまま」を受け入れる


新型うつにかかる人の特徴として、うつになる前はとても「良い子」であったということがあります。逆に言えば、対人関係に過敏なほどに注意を払う傾向にあります。そのため人間関係に敏感な若い女性ほど、新型うつにかかりやすいと言われています。

その結果、遊ぶことは問題無いのに仕事に行けないことに対する罪悪感が芽生え、このうつをさらに悪化させるという悪循環も見られます。

職場復帰を求めるのであれば、まずその方の今の感情を面談では「ありのまま」肯定してあげてください。他人から認められることで、自分自身が自分の感情に気付き、それを受け入れられるようになります。

新型うつでは、一般的な抗うつ剤のような薬による治療が効かないことも少なくありません。周りの理解と受容されているという肯定感が一番の薬になるのです。

まとめ


新型うつは、単なる甘えといった次元とは別の症状です。その方を社員として復帰させたいのであれば、職場の環境を変え、相手を受け入れる姿勢が会社としては大事になります。

もちろん、そうやってずるずる休む方をずっと雇いたくない、というケースも出てくると思います。就業規則に従って休職から退職にすることはやむを得ないでしょう。「環境を変える」ことが有効であれば、転職もその方にとって一つの選択肢です。

新型うつについては、詳しいことがわかっていない分、その対応方法も個別に検討せざるを得ません。判断に困ったら、専門家も含めて慎重に対応してください。

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