中小企業だと、大企業と違ってメンタルの専門家を常駐させることはできません。しかし、外部にいるメンタルのプロフェッショナルを上手に利用することで、定期的に経営者や社員の心のメンテナンスができて、結果として生産性の向上や退職率の低下に繋げられます。
特に、自社の社員やご本人のやる気を向上させたい経営者の方が、ぜひご検討をいただきたい3つのプロフェッショナルについて、ご紹介をさせていただきます。
1.メンタルヘルスのプロ「産業カウンセラー」
産業カウンセラーは、相談を聞くだけではなく、産業組織心理学や労働法規の見地から職場と連携するところまでを実践する「職場のカウンセリング」のプロフェッショナルです。この資格を持つ方は最低でも100時間の傾聴訓練を積んでおり、カウンセリングに必要な経験を積んでいる方と言えるでしょう。
産業カウンセラーの行うカウンセリングは、「来談者中心療法」と呼ばれる方法に基づくことが多いです。つまり、クライアントが話したいことを話し、カウンセラーは受容的な態度でそれを受け止める、というスタイルです。
これは、特にメンタルヘルスに問題を抱える方や、そこまで行かなくても「やる気が起きない」「何となくだるい」と言ったもやもやした不調を抱えている方に有効です。まずは産業カウンセラーに思うところを話すことで、いわゆる「カタルシス効果」(イライラやいらだちを言葉にすることで、その苦痛から解放され、心の安堵・安定を得られること)を期待できます。
2.キャリアのプロ「キャリアコンサルタント」
キャリアコンサルタントは2016年より国家資格になりました。働く人々のキャリア開発のプロフェッショナルです。個々のこれまでの経験、技術、適性をカウンセリングにより引き出し、職業についての幅広い見地から、適切なキャリア設計を支援します。
会社経営では、社員に対して適切なキャリアパスを提示できるのが理想ですが、中小企業で自社単独で複数のキャリアパスを見つけるというのは難しいものがあります。
しかし、一方でキャリアパスが無いと「将来が見えない」という理由で退職される危険性があります。
こちらは社内でも、これから活躍できる資質のある方に受けさせるのがお薦めです。ご本人がどのような方向で努力すれば、もっと社内外で輝けるのか、適切にアドバイスされることで、会社への忠誠心や、やる気の向上が期待できます。
3.経営者の決断をサポートできるコーチング
コーチングもまたやる気を引き出すプロフェッショナルと言えるでしょう。コーチングについては、複数の団体が、それぞれの基準から資格を発行しています。代表的なところで、GCSコーチ、NLPコーチング、ICF認定コーチなど挙げられます。
コーチングは、コーチを行う方と受ける方が双方向のコミュニケーションを取りながら、受ける方の目標達成のプロセスを支援します。プロセスには自身の深い悩みの解決や人間的な成長も含まれます。
経営者は目標達成への最終的な責任を背負っています。そのため、時には困難な問題への決断を迫られることもあるでしょう。コーチングはそのような決断のサポートを行うことができますので、経営者や役職者などが受けることをお薦めします。コーチングは産業カウンセラーやキャリアコンサルタントに比べて、その手法が多岐に亘りますので、ご自身に合ったものをぜひ探してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ご紹介した3つのプロフェッショナルに共通することは、「他人にアドバイスを与える」のではなく、「クライアント自身に気付きを与える」ことです。
アドバイスはいずれ陳腐化しますが、ご自身で気づいたものは宝物として、ご自身に残り続けるはずです。
いずれもそれなりに費用がかかりますが、優秀なプロフェッショナルであれば、会社や従業員の成長という十分な価値を生み出せるはずです。
ぜひ一度、ご自身の会社の状況に合わせてご検討をしてみてください。