意外と知らない「健康経営」とは?中小企業におけるメリットと取組み事例を解説
労務


「健康経営」という言葉をご存知でしょうか?
ここ数年、ぐんと耳にすることの多くなったキーワードですが、一方では依然として「よく分からない」という声が挙がることも。

本稿では「健康経営とは?」をテーマに、その定義やメリット、中小企業で今から始められる取組みについてご紹介します。

この記事の目次

そもそも「健康経営」とは?


経済産業省によると、健康経営とは、「従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、企業が従業員の健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」と定義されています。

参考: 経済産業省「企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~(改訂第1版)」

企業経営と従業員個々の健康管理、両者の関連性は下記の観点より見てとることができます。

増加する国民医療費による企業負担増


「国民医療費の高騰⇒健康保険組合等の財政悪化⇒健康保険料増=企業負担増」の構図が成立します。 企業が従業員の健康に配慮することは、「企業負担の軽減に有効」といえることになります。

生産年齢人口の減少に伴う労働力確保の必要性


人材不足の背景で求められる「従業員個々の生産性向上」、「人材の定着」は、中小企業における重要課題となります。
今後ますます働き手が減少傾向となる状況においては、既存の従業員一人ひとりが健康で、永く、いきいきと活躍できることが理想です。

働き方改革の推進


昨今叫ばれている働き方改革を進めるためには、従業員個々の心身の健康に着目することが不可欠です。
長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランス、多様な働き方の実現等、すべての改革は従業員が身体的にも精神的にも健康であって初めて、成立します。

これまで「健康経営」を意識されていなかった事業主様も、従業員の健康が企業経営の土台であることを知れば、もはや取り組まずにはいられないでしょう。

中小企業における「健康経営」の認知は依然低迷、だからこそ「早期の着手」がカギに


企業における健康経営の重要性は前述の通りですが、かたや中小企業においては未だ十分に浸透しているとは言えません。

東京商工会議所が2017年7月に行った調査では、健康経営の認知度について、27.4%の企業が「内容を知っており取り組んでいる、または内容を知っている」と回答した一方で、「聞いたことがない」の回答が40.0%と前者を大幅に上回る結果となりました。


しかしながら、同調査では「現在実践している」企業が20.8%とふるわない一方で、現状実践できていない企業においても「現在実践していないが、近い将来具体的な予定がある」、「いずれ実践したい」と回答した割合を合せた71.7%が、健康経営に関心を寄せていることが明らかになっています。
以上、出典: 東京商工会議所「健康経営に関する実態調査 調査結果」

健康経営を積極的に実践する企業は、健康経営優良法人に選定されたり、健康経営銘柄として認定されたりと、各方面から高い評価を受けています。
未だ実践割合が低迷する中小企業においては、他社に先駆けて健康経営を検討・実践することが、良い意味での差別化につがなることは言うまでもありません。

中小企業の健康経営、具体的な取組みは?


とはいえ、「健康経営」というとまだまだ“大企業における取組”と捉えられる傾向にあります。中小企業においては具体的にどのような取組みが考えられるのか、事業主様は頭を悩ませるかもしれません。

中小企業における健康経営を検討する上では、東京商工会議所ウェブサイト内のコンテンツ「健康経営倶楽部 やってます!健康経営 ~健康経営の好事例紹介~」が非常に参考になります。

参考:東京商工会議所「健康経営倶楽部 やってます!健康経営 ~健康経営の好事例紹介~」

ユニークなところでは、「ラジオ体操」や「野菜支給制度」、「栄養バランスの取れた食事機会等の提供」「マラソン部の設立」等がありますが、基本的な部分として「健康診断受診率100%」「有給取得奨励」「上長による残業指導」「社内禁煙の推奨」等を徹底するだけでも社員の意識や職場環境は徐々に改善されていくのではないでしょうか?

できることから少しずつ始めて、社員の意見や状況を考慮しながら徐々に拡充する方向で検討されてみると、無理なく進んでいくかもしれませんね。

まとめ


「健康経営」については、現在、各所で様々なセミナーや研修会が開催されています。まずはこうした催しに参加してみて、自社でできそうなことを検討してみてはいかがでしょうか?

また、「当たり前だけど実は社内で対応できていなかったこと」に目を向けてみても、何かしら取り組むべきことが見つかるはずです。
「ウチでは無理」と最初から諦めるのではなく、極力実現可能な方向で検討されてみてください。

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