助成金申請に影響大 ! 「生産性要件」をご存じですか?
労務


平成29年4月より、雇用関係助成金の支給要件として新たに創設された「生産性要件」。昨今の働き方改革の中ではよく耳にするようになった「生産性」のキーワードですが、事業主様からは「何となく分かりづらい」「結局どういうことなの?」とお問い合わせを受けることがよくあります。
本号では、雇用関係助成金における「生産性要件」について解説しましょう。

この記事の目次

助成金申請時に求められる「生産性要件」とは「労働者一人当たりの利益」のこと


生産性要件とは、具体的に

「営業利益+人件費+減価償却費+賃借料+租税公課」の合計を雇用保険の被保険者数で割る


という計算式によって求められます。

助成金の支給申請を行う直近の会計年度における数字が、

「その3年度前に比べて6%以上伸びていること」

もしくは

「その3年度前に比べて1%以上6%未満伸びていること(この場合、金融機関から一定の「事業性評価」を得られることが条件)」


のいずれかに該当する場合、要件達成となります。助成金申請上、この計算式から得られる数字が「労働者一人当たりの利益がどれだけ向上しているか」の指標として扱われます。


出典 : 厚生労働省「労働生産性を向上させた事業所は労働関係助成金が割増されます」

上記は、助成金申請時に作成する「生産性要件算定シート」の例です。3年度前と直近の年度について、各項目に数字を入れていくことで、分かりやすく比較できるようになっています。

生産性要件が関係する助成金とは?


生産性要件の向上が支給要件、または支給額の割増要件となっている助成金は、下記の通りです。
こうして挙げてみると、生産性要件を満たすことは、雇用関係助成金の大半に影響を与えることが分かります。

再就職支援関係


○労働移動支援助成金
早期雇入れ支援コース、人材育成支援コース、移籍人材育成支援コース、中途採用拡大コース

雇入れ関係


○地域雇用開発助成金
地域雇用開発コース

雇用環境の整備関係


○職場定着支援助成金
雇用管理制度助成コース、介護福祉機器助成コース、保育労働者雇用管理制度助成コース、介護労働者雇用管理制度助成コース

○人事評価改善等助成金

○建設労働者確保育成助成金
認定訓練コース、技能実習コース、雇用管理制度助成コース、登録基幹技能者の処遇向上支援助成コース、若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース、女性専用作業員施設設置助成コース

○65歳超雇用推進助成金
高年齢者雇用環境整備支援コース、高年齢者無期雇用転換コース

仕事と家庭の両立関係


○両立支援等助成金
出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コース、再雇用者評価処遇コース、女性活躍加速化コース

キャリアアップ・人材育成関係


○キャリアアップ助成金
正社員化コース、人材育成コース、賃金規定等改定コース、諸手当制度共通化コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コース

○人材開発支援助成金
特定訓練コース、一般訓練コース、キャリア形成支援制度導入コース、職業能力検定制度導入コース

最低賃金引き上げ関係


○業務改善助成金
参考 : 厚生労働省「労働生産性を向上させた事業所は労働関係助成金が割増されます」

それぞれの詳細については、各助成金のリーフレットに掲載されています。ご検討中のものがございましたら、社会保険労務士までお問い合わせいただければご案内させていただきます。

ちなみに、生産性要件の算定の対象となった期間に「事業主都合による離職者を発生させていないこと」が雇用関係助成金支給の条件となっています。ひと口に「事業主都合」と言っても様々なケースがあり複雑なため、このあたりについてはまた別の記事で解説させていただきます。

雇用関係助成金は、社労士と税理士によるWサポートが必須


生産性要件の確認に伴い、各勘定科目の額の証拠書類(損益計算書、総勘定元帳など)との整合性が求められます。言うまでもなく、必要な書類が適正に整備されている必要があります。

また、経費がそれぞれどの勘定科目で処理されているかによって、各項目の数字が異なることもあります。このあたりの微妙な数字の誤差により、生産性要件を満たせるかどうかに影響を与えることも少なくありません。例えば、「通勤交通費」を「旅費交通費」として処理していたために、「人件費」の項目の対象外とされてしまうケースなどが挙げられます。このあたりは、税理士に相談の上、助成金申請に対応できるよう準備されておくのが得策です。

まとめ


雇用関係助成金を受けるためには、今回ご紹介した「生産性要件」以外にも、注意すべきポイントは多岐に渡ります。それらの中には、過去にさかのぼって修正できない内容も多く、事前準備の段階から慎重に進めていかなければなりません。助成金の申請を検討されている場合には、事前に専門家にご相談いただき、万全な体制で進めていきましょう。

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