今年度こそ健康診断を受けよう、受けさせよう!健康診断に関する決まり事のまとめ
労務


忙しすぎて、何年も健康診断を受けてないなんてお話をよく聞きます。当然のことながら、身体はどんな仕事にも共通する大事な資本ですから、せめて1年に1度はメンテナンスをしていただきたいところです。
ここでは、健康診断に関することについて、経営者、労働者ともに知っていただきたいことをまとめてみました。

この記事の目次

1.雇入れ時と年1回の健康診断は必須


事業者は、雇入れ時と年1回、社員に健康診断を受けさせる義務があります。 対象者は正社員以外に、契約社員やアルバイトでも以下の2つとも該当すれば対象となります。感覚的には「いつもいる契約社員やアルバイトは基本的に健康診断の対象」と心得てください。

●無期雇用者であるか、1年以上使用されることが予定されている、または契約が更新されて1年以上使用されている有期雇用者
●1週間の労働時間数が、当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上である。



健康診断の費用は、安全配慮義務の一つとして、会社負担で行われるというのが通常の解釈です。それぞれの健康診断では受けるべき項目が決められています。詳細は労働基準監督署や健康診断を受け入れている病院などにお問い合わせください。

雇入れ時の健康診断については、医師の健康診断を受けて3ヶ月以内の方がその証明を出した場合は、省略することができます。雇入れ時の健康診断は「いつまでに」という明確な基準はありませんが、適正配属が目的なので、入社前後に速やかに受けさせるのが原則になります。

また、雇入れ時の健康診断を行った後の定期健診について、1年以内に受ける場合、重複する項目は省いても良いことになっています。特にX線を使った検査については、その被ばく量によっては人体に影響することもありますので、配慮したいところです。

2.特定業務従事者の健康診断は6ヶ月に1回必要


身体に負担の高い業務を行わせている事業の場合、6ヶ月に1回の健康診断の受診が必須になります。例えば、水銀やヒ素といった有害物質を取り扱う業務であったり、削岩機など振動の影響を身体に常に受けているような業務であったりする場合です。詳細は労働基準監督署等にお問い合わせください。

特定業務の中に「深夜業を含む業務」とあるのですが、よくお問合せをいただきます。まず、深夜とは「午後10時から午前5時まで」を指します。
そして、基準としては1週に1回または月に4回以上の深夜業務があると、「深夜業」と解され、特定業務従事者の健康診断が必須になります。工場などで深夜も含めたシフト制をひいているような場合は注意が必要です。

3.受けなかったらどうなるの?


まず、事業者に対しては、「健康診断を受けさせる」「健康診断の結果を記録する」「健康診断の結果を通知する」義務を怠った場合に、50万円以下の罰金があります。罰則付きであるということは、それだけ強制力があるということです。

一方で、労働者側が健康診断の受診を拒否した場合の罰則は、特に労働安全衛生法では決められておりません。個人的には、ちょっと不公平なように思っています。

事業主は労働者に対して繰り返し健康診断を受けるように通知を行ってください。大事なのは「健康診断を受けさせよう」とする姿勢です。その努力を尽くした中での未受診であれば、社員側に責任があると言えるでしょう。

なお、労働者の受診拒否を懲戒の対象とすることは、判例では認められています。健康診断を受けることは、本人の権利であると同時に社員として当然の義務であるという認識をしてください。

まとめ


いかがでしたでしょうか。
雇入れ時、年1回の定期の健康診断は業種関係無く必須であり、また、特定の業種や深夜勤務の場合は6ヶ月に1回の健康診断が必須になります。未受診は、特に事業主側に罰則がありますので、健康診断は社員にとって権利であると同時に義務である旨を説明してください。

社員の健康を守る経営、つまり「健康経営」が今盛んに叫ばれています。健康診断以外でも、社員の健康を守るためにどのような対策を立てれば良いのか、もしお悩みであれば、ぜひお近くの専門家でもある社会保険労務士までお問合せください。

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