「裁量労働制の対象拡大」は削除 ! 働き方改革関連法案はこう固まった
労務


今国会の柱とされつつも、遅々として進まなかった働き方改革の実現。このたび、当初の予定よりも大幅にずれ込んだものの、ようやく法案が閣議決定、国会提出されました。今回は働き方改革の内容でおさえるべき3つのポイントについて解説したいと思います。

この記事の目次

ようやく固まった働き方改革の内容でおさえるべき3つのポイント

平成30年4月6日に国会に提出された働き方改革関連法案の内容は、下記よりご確認いただけます。



出展 : 厚生労働省「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(平成30年4月6日提出)_概要」

企業のご担当者様が、ポイントとしておさえるべきは次の3つのポイントです。

残業時間への上限規制の導入


・月45時間、年360時間が原則
・臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定

「高度プロフェッショナル制度」の新設


・一定の収入(年収1,000万円以上)の専門職を労働時間規制の対象外とする
・ただし「年間104日の休日確保措置の義務化」に加え、下記いずれかの措置を選択して実施すること

①インターバル措置
②1月又は3月の在社時間等の上限措置
③2週間連続の休日確保措置
④臨時の健康診断

「同一労働同一賃金」の制度化


・正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の是正
⇒諸規程整備、待遇に関わる説明義務の強化など

法案では、諸制度の新設等と併せて、事業主に対する「労働時間の適正把握」義務が改めて強調されている点に注意が必要です。
その他、公開された法律案要綱等を確認すると、細々とした働き方改革の内容を知ることができます。
ご一読いただき、働き方改革の方向性、概要を把握しておきましょう。

参考 : 厚生労働省「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(平成30年4月6日提出)」

「裁量労働制の対象拡大」は全面撤回


このたび国会に提出された法案では、昨今話題となっていた「裁量労働制の対象拡大」に関わる記述が削除されています。
こうした背景には、ご存じの通り、法案の根拠となる労働時間データが不適切だった問題等が挙げられますが、これにより一部営業職に対する裁量労働制の適用は見送られることとなりました。

裁量労働制の適用拡大について、主要企業100社に対して行われた共同通信のアンケートによると、「賛成35%」にとどまり、6~7割が「どちらとも言えない」としたことが明らかになっています。



出典 : 中日新聞「「高プロ」賛成、企業の28% 裁量労働拡大支持は35%」

上記の調査では明らかな異議を唱える割合が低かったことから、本記事の読者様の中にも働き方改革関連で導入を検討していた例があったかもしれません。
いずれにせよ、今回提出された法案からは削除となりましたので、注意が必要です。

働き方改革の諸制度はいつから導入される ?


働き方改革関連法案の施行日は、現状、下記の通りとなっています。

平成31年4月1日


長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
(時間外労働の上限規制、高度プロフェッショナル制度の創設、勤務間インターバル制度の普及促進、産業医・産業保健機能の強化など)
※中小企業における時間外労働の上限規制に係る改正規定の適用は平成32年4月1日
中小企業における割増賃金率の見直し(月60時間を超える時間外労働に係る50%以上の割増賃金率の適用)は平成35年4月1日

平成32年4月1日


雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金など)
※中小企業における適用は平成33年4月1日

中小企業においては、一部、原則の施行時期から遅れての施行となりますが、「まだ先」と考えずに余裕をもって準備されることをお勧めします。


まとめ


原案を一部修正する形での閣議決定・国会提出を迎えた、働き方改革関連法案。成立に向けては、まだまだ難航必至とささやかれていますが、今号では取り急ぎその概要をご紹介しました。
働き方改革の現状把握にお役立ていただけますと幸いです。

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