副業時代の到来に備え、ダブルワーク時の社会保険加入ルールを総復習
労務


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ひと昔前と比較すれば、最近では、格段に多様な働き方が認められるようになりました。会社によっては社員の副業を認めるケースも出てきていますが、新たな働き方を許容する上では、必ず「社内体制の整備」を万全にしておかなければなりません。
今号ではこうした一環として考えておきたい、「ダブルワーク時の社会保険加入ルール」について確認しておくことにしましょう。

2ヵ所で要件を満たした場合、健康保険・厚生年金保険は両方で加入義務あり


まず大前提として、健康保険・厚生年金保険については、以下の加入要件を満たす限り、加入義務が生じます。

日本年金機構「社会保険の加入についてのご案内」
出典 : 日本年金機構「社会保険の加入についてのご案内」

また、平成28年10月からは上記に加え、下記のすべての条件に当てはまる場合には被保険者として取り扱われるようになりました。

1.所定労働時間が週20時間超
2.月給が8万8000円(年収106万円)以上
3.1年以上継続して適用事務所に勤務している(もしくは勤務する見込みがある)
4.学生以外
5.社会保険の対象となる従業員規模が501人以上の事業所に勤務

副業に伴い、2ヵ所以上の事業所で健康保険・厚生年金保険の加入要件を満たした場合には、それぞれの事業所において加入手続きをする必要があります。その際、被保険者本人に「健康保険・厚生年金保険二被保険者以上事業所勤務届」を届け出てもらうことで、どちらの事業所で保険関係の手続きをするのか、どちらの保険者で保険証を発行するのかが決定します(選択・非選択事業所の記入)。選択事業所とされた事業所では、今後、この被保険者に関わる事務を行うことになります。

保険料は、両方の事業所から得た収入から被保険者の標準報酬月額が決定されます。各社は、それぞれの給与額に応じた保険料負担をしていくことになります。各社の具体的な保険料負担については、「健康保険・厚生年金保険二被保険者以上事業所勤務届」の提出後、年金事務所が算定したそれぞれの保険料額が各社に通知されるので、この通知に従って天引きをしていくことになります。

参考 : 日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」

ダブルワークの雇用保険加入は、「主たる賃金を受ける事業所」のみ


引き続き、雇用保険に関する適用ルールについて、まずは原則の加入要件を確認します。

1.31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。

具体的には、次のいずれかに該当する場合をいいます。

○ 期間の定めがなく雇用される場合
○ 雇用期間が31日以上である場合
○ 雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
○ 雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合 (※)

※当初の雇入時には31日以上雇用されることが見込まれない場合であってもその後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。

2.1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。

出典 : 厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」

雇用保険の場合、健康保険・厚生年金保険と異なり、複数の事業所で加入要件を満たす場合にも、加入手続きをするのは「一つの会社でのみ」です。具体的には、「生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係にある会社」で加入することになります。

副業容認企業が目を向けるべき、「長時間労働対策」


副業に伴う社会保険関係の加入ルールを確認できたところで、副業を認める企業が必ず検討しておくべき課題として「長時間労働対策」をご紹介しておきます。2ヵ所以上の会社で働くということは、つまり労働時間が長くなりやすい、しかも会社は他の会社での労働状況を把握することが困難であることを表します。この点、会社が副業を容認する以上は、「社員が会社の外で勝手にやっていることだから」で片付けることはできません。

平成30年度より全社員を対象とした副業・兼業を解禁した㈱新生銀行では、ダブルワークの労働時間に上限を設け、対策を講じています。

参考 : 労働新聞「週20時間未満など条件 副業・兼業を4月に解禁 新生銀行」

新制度の導入に先立ち、まずはルールの確立・徹底を図っていくことが不可欠です。

まとめ


いよいよ本格化する働き方改革の中で、働き方の多様性に目を向ける企業も多いのではないでしょうか?しかしながら、必要な事前準備を怠れば、せっかくの働き方改革も労使トラブルの引き金となりかねません。労務管理の専門家である社会保険労務士を活用し、ぜひ協働で新たな働き方を作り上げてまいりましょう!

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