能力が著しく低いダメ社員を解雇できるか?モンスター社員対策を社労士が解説!
労務


私が「モンスター社員対策」ということを前面に押し出しているせいか、仕事が遅い、できない社員を解雇したい、というご相談を受けることがよくあります。しかし、能力が著しく低い社員については、モンスター社員というより、ダメ社員と言った方が適切でしょう。
ここでは、ダメ社員を解雇できるか、ということについて解説いたします。

この記事の目次

1.原則は能力が低いというだけでは解雇できない


まず、知っておいていただきたいことは、能力が低い、ということで解雇をすることは非常にハードルが高いということです。なぜなら、能力が解雇せざるを得ないほど低い、という客観的な証明をすることが非常に難しいからです。

例えば、お客様を常に怒らせてしまう営業マンがいたとします。ところが怒らせてしまうからダメ社員かといえばそうではなく、たまたますぐ怒ってしまう顧客にぶつかっていただけかもしれません。では、顧客が怒っている理由が必ずその社員の能力の問題である、と客観的に100%言い切れる理由があるでしょうか。

ましてや、トラブルになった時に判断をする裁判所の裁判官は、本来、労働者は立場が守られるべき人、という観点でトラブルを判断します。その観点を覆してまでも解雇という判断をさせるからには、相当な客観的な証拠がないと難しいことを心得てください。

2. 解雇に至るまでの証拠を集める


では、その高いハードルはどうやって乗り越えなければいけないのでしょうか。大事なことは、その方の解雇を回避する手を尽くす、ということです。

具体的には「教育」と「配置転換」です。能力が低いのであれば、教育を施すのが一番効果あります。OJT、Off-JTと方式を問わず、いろいろな方法でその社員の能力を引き上げる施策を打ち、それを実施したことを何かしら記録に残してください。

配置転換も大事です。トラブルになった場合に必ず見られると思った方が良いです。先ほどの営業マンの場合、営業に向いていないと判断するのであれば、内勤事務に移すなど処置を取りましょう。

要は、その人の能力の向上や適材適所に努力したかどうかが問われています。判例では、8年間、教育と配置転換を繰り返して改善が見られなかったケースの解雇を有効としたことがあります。また、本人の反省や努力が見られるかどうかという点も考慮されます。その社員に対するアプローチだけではなく、それに社員がそれにどのように反応したかということも記録に取っておきましょう。

3.解雇できる事例もある


絶対解雇できる、ということはありませんが、比較的容易に解雇が認められるケースもあります。
まず、試用期間満了による解雇です。就業規則や労働条件通知書に試用期間が記載されている場合、その期間の満了をもって社員としての資質が認められなかったから解雇する、というのは通常社員よりも広い範囲で認められていると言えるでしょう。

また、職種が限定された採用や、高賃金で雇われた即戦力採用では、その期待まで至らなかった場合に解雇のハードルは通常の社員より低くなります。これらの方は既に教育されていることを条件に雇用されていること、配置転換が難しいということがあります。

ただし、どれもいきなり無条件に解雇できるものではなく、解雇の回避について努力をしたかどうかというところは問われます。例えば、解雇の前に本人の努力を促す警告を与えるなど、段階を踏む必要があることには変わりありません。

まとめ


いかがでしたでしょうか。
ダメ社員が存在している場合、解雇を考える前に、まずは教育を施し、配置転換を行うことを検討しましょう。試用期間内は解雇のハードルは低くなりますので、その社員の試用期間は把握をしておいてください。

特にダメ社員を解雇するという話になった時、100%解雇が有効になるという事例はなかなかありません。ダメ社員の扱いに困っている、ということがあれば、一度、専門家である社会保険労務士に相談してみてはいかがでしょうか。

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