混同されがちな「裁量労働制」と「フレックスタイム」の違いを専門家が解説!
労務


社員側から見ると、「裁量労働制」も「フレックスタイム」も始業終業の時間に縛られないため、この2つの制度は混同されていることがよくあります。
しかし、この2つの制度は目的も運用も違っており、両方の制度を併用することはできません。今回は2つの制度の違いを中心に解説いたします。

この記事の目次

1.適用できる範囲と適用までの手続きが違う


裁量労働制には「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」の2つに分かれますがどちらも、適用できる業務が決まっています。 つまり、誰でも適用できるわけではありません。
一方で、フレックスタイム制は、業種の制限はありませんので、すべての社員に適用可能です。

専門業務型裁量労働制を適用できる業務
企画業務型裁量労働制の説明

フレックスタイム及び専門業務型裁量労働制を締結するにおいては「労使協定」と呼ばれる書面が必要になりますが、フレックスタイムは書面を作成すれば良いのに対して、専門業務型裁量労働制は労働基準監督署への提出が必要です。企画業務型裁量労働制には上記リンクにも記載されているように適用までには様々な手続きが必要になります。

フレックスタイムは社員に対してメリットが高い業務なので、労使協定書面は社内のみで良いのでしょう。しかし裁量労働制は社員側にはメリットだけではなく負担が高くなる可能性もあるため、労働基準監督署などのチェックも入れていきたい、という狙いがあるのです。

2.時間管理の目的が違う


裁量労働制の場合、労働時間は決められた時間働いたと見なされる制度であるため、残業代のために毎日時間管理をする必要はありません。 しかし、フレックスタイム制はあくまで出勤退勤時間が自由なのであって、労働時間そのものは一般社員と変わるところではありません。フレックスタイム制の場合は毎日ではなく、(一般的に)月毎に労働時間の精算を行い、労働時間が月間の所定労働時間を超えていれば残業代を支給する必要があります。

ただし、よくこれで裁量労働制の場合は労働時間管理が必要ないと言われますが、それは誤解です。あくまで残業代計算のための労働時間管理が必要ないのであって、社員の健康管理のために、みなされている労働時間と実際の労働時間に乖離が無いかチェックすることは常に必要です。

特に働き方改革の中で、裁量労働制が長時間労働の温床になっているという批判もあり、今後このチェックは強化されていくでしょう。労働時間管理はどのような制度でも必ず行ってください。

なお、裁量労働制の場合は労働時間がみなされているので、遅刻早退の概念がありません。フレックスタイムにコアタイム(必ず出社しなければいけない時間帯)が設定されている場合、コアタイム間にあっては遅刻早退が適用され、ペナルティとしての賃金からの減額も可能になります。

3. 向いている人が違う


裁量労働制は「時間管理を本人に委ねる制度」です。そのため、働いた時間と仕事の成果が比例しない職種にマッチします。デザイナーやコンサルタントといった職種が代表例でしょう。
フレックスタイムは「出社退社を自由にできる制度」です。人には朝型、夜型とタイプがいて、どの時間に働いたら効率が良いのか違います。プログラマーのように自分のペースで仕事がしたい人に向いていると言えるでしょう。

まとめ


いかがでしたでしょうか。
特にこれから適用を考えている会社にとって、この2つの違いをしっかり理解することが大事です。ご自身の会社の社員の働き方で、どの制度を適用することがベストなのか、十分にご検討ください。

この2つの制度は似た点も多く、非常に混同しやすいところです。何か制度導入や運用で困った点があれば、お気軽に専門家である社会保険労務士にご相談ください。

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