【事例】役員や業務委託スタッフに就業規則は適用される ? 就業規則の必要性について解説
労務


事例情報

具体的な相談の流れ

相談者:

従業員数は20名で、役員以外は全員スタッフ業務委託(外注扱い)です。
今回正社員を雇用することになり、ハローワークに就業規則を提出しようと考えています。

社会保険労務士:

念のため整理をさせていただきます。

就業規則作成の件ですが、「全スタッフ業務委託」の場合、事業主に雇用される「労働者」ではないため、会社の就業規則を適用することはできません。

業務委託の場合には「業務委託契約書」により、実際の業務に関することをある程度規定することになりますが、下記の項目に一つでも不該当の項目がある場合には、外注スタッフとの間でトラブルがあった際に「実態は労働者」として労基署から偽装契約を疑われます。
契約書の内容、さらには実務上、注意が必要です。

①仕事の依頼、業務従事の指示に対する諾否の自由がある
②業務の遂行方法及び内容に指揮命令が及んでいない
③通常予定されている仕事以外に従事することはない
④労働時間管理など拘束性がない
⑤本人に代わって他の者が業務を行うことを認めている
⑥報酬の計算単価が時間給や日給といった時間を元にしていない
⑦本人が所有する機械・器具の使用を認めている

また、外注スタッフの他は役員のみとのことで、役員の場合もまた基本的には就業規則の適用を受けませんので、就業規則作成義務も、ハローワーク提出の必要性もないことになります。

ただし、社内ルールとして

・役員も労働者として現場で働く実態がある場合(兼務役員)には「就業規則」 ←この場合には就業規則の適用対象です
・役員には労働者性がない場合には「役員規定」

を設けておくと、トラブルの際に効果を発揮しますので、折をみて整備されておくと良いと思います。いずれもハローワークの届出は不要です。

ちなみに、就業規則に関しましては完全に会社に対応するオリジナルのものを用意するのが得策ですが、この場合、やはりコストが懸念事項となるでしょう。

また、就業規則は定期的に見直しが必要なものなので、最初にコストをかけて作成する、というより、まずは「コストを抑えた最低限のもの」を基本に、「会社で特に問題となり得る事項」についてをヒアリングし、ピックアップして盛り込むことでの、コストを抑えた就業規則作成をおすすめしています。
もちろん、必要に応じた修正・見直し等は可能です。


相談者:

整理をしていただきましてありがとうございます。
今現在在籍するスタッフに対しては就業規則というよりは「業務委託契約書」が必要になってくるのですね。ちなみにですが、業務委託契約書の作成についてもお願いすることも可能なのでしょうか?

こちらも期をみて整備していきたいと思います。


社会保険労務士:

業務委託契約書作成のお見積りですが、こちら社会保険労務士の取扱分野ではなく、弁護士や司法書士、行政書士の専門となります。
内容にもよりますが、概ね3万円程度での作成が可能かと思います。SHARESに改めて見積を依頼されてみることをおすすめいたします。

また、就業規則作成につきましては早速進めさせていただければと思います。
まずはヒヤリングシートにご記入をお願いいたします。
ヒヤリングシートを提出していただいてから10営業日前後を納期とさせていただければと思います。

相談者:

承知いたしました。引き続きよろしくお願いいたします。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。