知らないでは済まされない!社会保険労務士法の落とし穴「第27条」とは
労務


社会保険労務士制度は今年で50年目を迎えます。この制度を支えるのが社会保険労務士法です。社会保険労務士法と言っても、一般の方には馴染みがないかもしれませんが、人事労務に携わる方にとっては、知らないでは済まされないこともありますので、ぜひ押さえていただきたいです。

ここでは、社会保険労務士法の中で、特に問題となる「第27条」をピックアップして解説いたします。

この記事の目次

1.社会保険労務士ではない者が、社会保険の手続き業務を行ってはならない


同法第27条では、「社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。」とされています。

ここで第二条第一項第一号から第二号までというのは、入社した時の雇用保険被保険者資格取得届など、主に社会保険における一般的な手続き業務を指します。

このような手続き業務は本来自社で行うものです。つまり、社会保険上の手続きは、自社で行うか社会保険労務士に依頼するかの二者択一になるということです。

やっかいなのは、同じ条で「他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。」という規定もあり、ここから税理士が手続き業務を行っているケースが散見されていることです。

平成14年に社労士会連合会及び税理士会連合会が確認書を締結し、税理士は各役所への社会保険手続きができないこと、税理士が行う社会保険業務は租税債務の確定に必要な事務に限ることが確認されています。

改めて、社会保険手続きを社労士でない者に依頼をしていないか、ご確認ください。

2.社会保険労務士でない者との提携をしてはならない


同じく第27条違反という観点で散見されるのは、社労士事務所ではない給与計算のアウトソーサーが社会保険の手続きを代行しているケースです。そのアウトソーサーで働く社員が社会保険労務士の資格を持っていたとしても、その社員は社労士事務所として受託していないので、第27条違反になることは変わりありません。

とは言っても、顧客視点で見ると、給与計算のアウトソーサーがワンストップで事務手続きをしてくれた方が利便性は上がるでしょう。そこで、社会保険の事務手続きについては顧客と社労士が直接契約を行ったうえで、アウトソーサーと社労士が顧客の情報を共有する契約も行う三者間契約が望まれます。

なお、社労士と顧客の間の契約では、そのサービスの価格が明示されている必要があります。これにより、社会保険手続きでアウトソーサーが「報酬を得て」いないことが確認できるためです。

アウトソーサーの事例を出しましたが、グループ会社で一つの会社に給与計算事務をまとめるという場合も考え方は同様です。グループ会社も別法人ですので、社労士事務所ではない会社が別会社の社会保険手続きを行うことはできないのです。

3. なぜ第27条は存在するのか?


ここで疑問に思うのは、社会保険の手続きそのものはルーチン業務だから、社労士じゃなくても手続きの仕方を覚えるのは可能ではないか、ということです。

確かに、一つ一つの手続きの難易度はそれほど高くないかもしれません。
しかし、まず社会保険業務は間違いが許されません。年金の報酬月額を間違えてしまえば、何十年後の生活を直撃することになります。また、働く人の背景には扶養、障害など様々なケースが想定されるため、その都度、社員の背景に合った手続きを漏れなく行う必要があります。

一つ一つの難易度は高くなくても、常に全体的な事情を判断して最適な手続きを行う、というのは高いスキルが求められるのです。

まとめ


いかがでしたでしょうか。社会保険の事務手続きを税理士や給与計算のアウトソーサーなど非社労士が行うことは禁止されています。ちなみに、この第27条に違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることがあります。

経営者や労務を担当する方は、この制度の主旨を理解して、社会保険の手続きを依頼する場合は、確実に社会保険労務士に依頼するようにしてください。

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