フィリピンとの社会保障協定、2018年8月1日に発効へ
労務


平成27年11月19日に署名済みとなっていた「社会保障に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定(日・フィリピン社会保障協定)」について、いよいよ平成30年8月1日に発行される運びとなりました。グローバル化が進展する現代において、理解しておくべき「社会保障協定」の基礎を解説します。

この記事の目次

社会保障協定発効で、何が変わる?


現状、世界各国はそれぞれに異なる年金制度を有しており、その加入対象は「当該国で働く人すべて」とされています。例えば、日本企業か一時的にフィリピンに派遣されて働く駐在員であれば、日本とフィリピン両国の労働者として、両方の社会保険制度に加入し、保険料を支払う必要が生じます。ところが、日本とフィリピンいずれの社会保険制度も「年金受給のために必要な加入期間」を設定しているため、これを満たせない海外派遣労働者の「保険料の掛け捨て」が問題視されていました。

このたび、日本フィリピン間で社会保障協定が発効されることで、「社会保険料の二重払いの防止(加入制度を二国間で調整)」「年金加入期間の通算(両国での保険期間を通算して年金受給権を確立)」が実現される、というわけです。

日本と諸外国との社会保障協定締結状況(平成30年5月28日現在)


現状、日本との間に社会保障協定が発効されている国は、平成30年5月28日現在、世界17か国にのぼります。今後、平成30年8月1日にはフィリピンの他、チェコとの社会保障協定改正議定書の発効が予定されていることも把握しておきましょう。

以前、SHARES LABでご紹介した日中社会保障協定については、今もなお協定発効は未定となっており、動向に注目が集まるところです。
参考 : SHARES LAB「日中社会保障協定が実質合意に至りました」

図10
出典 : 厚生労働省「社会保障協定の締結状況」

社会保障協定によって、外国人の社会保険手続きはどうなる?


社会保障協定の発効に伴い、企業は適宜必要な手続きに対応する必要があります。例えば、日本から協定国へ労働者を派遣する場合、派遣期間が5年以内であれば、日本の事業主は、年金事務所宛てに「適用証明書」の交付を申請する必要があります。この証明書を有することにより、労働者は協定相手国の社会保障制度への加入が免除されます。
一方で、社会保障協定国から5年以内の期間で労働者を受け入れる場合には、相手国で発行された「適用証明書」によって届け出ることにより、日本での加入が免除されます。

この結果、社会保障協定の内容に応じて「健康保険・厚生年金共に加入しない」「健康保険には加入するが、厚生年金は加入しない」といったパターンの他、「健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険のすべてに加入しない」というケースが生じることもあります。このあたりは、相手国との協定内容を確認し、適切に処理を進める必要があります。
参考 : 日本年金機構「社会保障協定」

まとめ


今号では「社会保障協定」について概要をざっくりとご紹介しましたが、実際に現場で対応する上では複雑なことが多く、併せて労働者への適切な説明の必要も生じます。社会保険労務士がご相談やご質問に対応いたしますので、お気軽にご連絡ください!

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