公的年金制度は本当につぶれるのか。悲観的な答えを出す前に知っておきたい年金制度への基本的な考え方
労務


年金をもらえるかわからない、世代が若くなるほどにそう嘆く方は少なくありません。今の日本の公的年金制度が国民から全幅の信頼を得ているとは言えないでしょう。

しかし、今の日本の公的年金制度はけしからん、ということだけで議論が終わっては意味がありません。大事なのは現在の公的年金制度の是非ではなく、我々がどうやって老後の生活を成り立たせるのか、ということなのです。

専門家でも「年金は破綻する」「年金は大丈夫」と意見が分かれるところです、ここでは、年金制度に悲観的になる前に認識しておいていただきたいことをまとめました。この文章を読む皆さんが年金について考える時に、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次

1.70%しか払っていない年金だから破綻する?


平成30年4月の国民年金の納付率は70%程度です。以前は60%に近づいていましたので、これでも改善しています。

しかし、70%の中には負担免除の方が入っていることや、3割近い人が払っていない、という事実から、国民年金は破綻する、という主張をする方がいらっしゃいます。

しかし、3割未納と書くと多いように思えますが、これは第1号被保険者、つまり国民年金を直接納付している方の中の割合です。日本で一番多いのは第2号被保険者、つまり厚生年金の被保険者であり、給与から社会保険料を天引きされている方です。1号と2号を合わせて未納率を出すと5%もいない計算になります。

もちろん、未納の問題を軽んじるつもりはありません。しかし少なくとも、この未納率は直接的に年金制度を揺るがすような数字ではないのです。

2.少子高齢化だから、年金が破綻する?


こちらの方が不安を煽っている一番の原因でしょう。支える人が減って支えられる人が増えれば、支える側がいつか耐えられなくなってしまう、という理屈は直観的で正しいように感じます。この直感を明確に否定できる根拠はない、というのは認めざるを得ません。

ただし、確実にそうなるか、というとそうではありません。では、日本にしても他の国にしても、先進国は基本的に少子化の流れにあることが多いのですが、年金が破綻したでしょうか。大事なのは、支える人の人数ではなく、支える人の稼ぐ力なのです。経済力が上がることで、年金に回す金額を増やし、年金の制度を支えてきたのです。

支える人が減ると年金が破綻する、という理屈は、支える人の稼ぐ力は変わらないという前提でないと成り立ちません。この観点から考えるのであれば、取るべき対策は年金制度を見限ることではなく、どうやって稼ぐ力を増やすのかということになるのです。

3.私たちが支えられる側に立つ前に考えておきたいこと


とは言っても、やはり年金制度が盤石とは言い難いでしょう。しかし、公的年金制度以外に私たちの老後を支える仕組みがあるでしょうか。

投資などを上手く運用することで資産を作れる方はそんなに多くないはずです。また、そこには公的年金以上のリスクがあります。公的年金が信用できないで、投資が信用できる、というのもまたおかしな話です。

そうなると、一番リスクが少ないのは、長く働けることなのです。65歳で年金をもらえるかどうか不安がるよりも、65歳になっても働いていられる身体作りや環境を整える方が、ずっと健全で確実ではないでしょうか。

平均寿命が上がっているので、その分社会保障費が増えるのは自然なことです。その社会保障費に頼らずに生きていける人を増やすことが国のこれからの使命になります。そして、個人としては働くことを年齢で区切るのではなく、楽しく老後も働けることが一番の老後対策になるのです。

まとめ


いかがでしたでしょうか。公的年金制度は問題を抱えつつも、決してすぐに見限られるような制度ではないと私は考えています。年金について皆さんが考えるときのヒントになれば幸いです。

それでも、不安だという方、ぜひ一度社会保険労務士とお話をしてみてはいかがでしょうか。ご自分の老後のことをきちんと考えておきましょう。

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