あいつの匂いが耐えられない!悪臭を放つ職場のスメルモンスターの対策はこれだ!
労務


匂いの問題はなかなか難しいです。自分では気づけないうえに、それが本人の体質なのか怠惰なのか区別がつかないからです。「スメルハラスメント」という言葉がありますが、他のハラスメントと違うのは、本人は悪意を持った行動をしていないケースがほとんどであるというところになります。

接客をしたり、車でお客様をご案内したりするような職業だと、この匂いが顧客獲得や顧客満足度に直結することもあります。それだけに経営者の方も問題とは捉えつつも、どう動いて良いかわからないことでしょう。
ここでは、体臭などの匂いが仕事に影響するような時に考えられることをまとめてみました。

この記事の目次

1.さすがにそれだけで解雇は難しい


こういった程度問題について、法律で明確な線引きをすることは非常に難しいところがあります。臭いからすぐ解雇、というのはまずできないと心得てください。

しかし、たいていの就業規則においては、服務規律に「髪型、服装、香水等は職場にふさわしいものにすること」という規定があるはずです。例えば明らかに風呂に入っておらず、服装も同じものを着ながら洗濯しないなどの点が見られ、何度も注意書を出しながら改善が見られないとなると、服務規律の度重なる違反ということで解雇という判断もあるでしょう。

接客業なら顧客からのクレームなども一つの判断基準になります。仕事に支障が出ていることが客観的に明らかになっており、注意しても改善しないという状況になって、初めて懲戒などの処分を検討できる、ということになります。

怠惰で注意を聞かないということであれば懲戒となりますが、体質的にどうしようもない、というケースもあります。この場合、まずは異動を検討してください。それが叶わないのであれば、退職勧奨をすることも一つの方法です。懲戒も退職勧奨もどうしようもなくなった時の最後の手段であり、トラブルにならない保証はありません。しかし、いざというときにそこまでできる、という気持ちがあれば、匂いの問題も何かしら行動ができるようになるはずです。

2.指摘することはOK。最初は注意ではなく提案から

一方で、「指摘をすることがハラスメントに取られないか」と躊躇する方もいらっしゃいますが、仕事に差し障っているのであれば、指摘せざるを得ないでしょう。
とは言っても、直接それを伝えづらい、というところも理解できます。
ポイントは、やはり客観的な指摘である、ということです。顧客からのクレームというのが一番わかりやすいでしょう。そのうえで、注意するというよりは、どうやったら改善できるか一緒に考える、というスタンスを最初は取ってください。

例えば、足の悪臭が問題なのであれば、「言いにくいんだけど、先日顧客から足の匂いについてクレームがあった。ついては、靴下を都度取り替えるなどしたら匂いが変わるのか一度試してはどうか」と提案してはいかがでしょうか。

3.周りに匂いに気を付ける習慣を根付かせる

頻繁に靴を脱ぐ職場であれば、消臭靴下を会社で用意して履かせるのも一つの手です。女性の多い職場であれば、香水の匂いについて議論をして、きつい匂いを避けるように周りから促すことも必要です。

特に接客がメインになるような職場では、匂いに気を付ける習慣を社員全員が身につけるべきです。例えば匂いや身だしなみの専門家にセミナーを開いてもらってはいかがでしょうか。要は、匂いの問題を日常から社員同士で取扱い、気を付ける文化を社内に定着させてください。遠回りではありますが、スメルハラスメントのモンスターを職場から駆逐する一番の方法になるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
非常に難しい問題であり、明確な答えは出せないながら、まずは服務規律の観点から行動を起こすことが大事です。本人も悩んでいる可能性がありますので、注意するというよりは、「臭いものに蓋」をせず、一緒に解決するというスタンスで臨んでください。本人の解決する意思によっては、専門家の手で医療的な方法が見つかるかもしれません。

一口にスメルモンスターといってもいろいろなケースがあると思われます。仕事に影響するような匂いであれば、最初の行動として、お近くの社会保険労務士に一度ご相談してみてください。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。