夏らしく暑い日が続けば、「早くも夏バテ気味・・・」という方も多いかもしれません。夏といえば、世界では約70ヵ国がサマータイムを導入し、時計の針を1時間早めて生活をしています。これに類似する取り組みとして、日本では2015年7月より「ゆう活」が提唱され、東京・霞ヶ関の各省庁を中心に導入されています。
民間企業への浸透は未だ十分とはいえないものの、働き方改革の中で注目されつつある「ゆう活」を考えてみることにしましょう。
そもそも「ゆう活」とは?
「ゆう活」の正式名称は「ゆうやけ時間活動推進」。一年のうちでも日照時間の長い7、8月には朝早い時間に仕事を始め、夕方明るいうちに終業し、夕方から夜の時間を充実させようという取り組みを指します。
仕事ばかりではなく、プライベートの時間も確保し有意義に活用することで、労働者の心が満たされ、生活を豊かにすることができます。「ゆう」の字には下記の通り、様々な願いが込められているのです。
出典: 政府広報オンライン「ゆう活とは?」
働き方改革推進に伴い見直される「ゆう活」のメリット
「ゆう活」のメリットは、労働者側のみにとどまりません。企業においては、下記のような効果が期待できるとされています。
✓ 仕事以外の時間を活用した、従業員の能力向上が見込める
✓ 早く仕事を終えて帰宅できるよう意識することで、業務効率化・生産性向上・長時間労働の抑制につながる
✓ 企業イメージの向上を図ることができる
とりわけ、「業務効率化」「生産性向上」「長時間労働の抑制」については、働き方改革で目指されるべきポイントであるといえます。「ゆう活」の理念が夏季のみならず、年間を通した業務への取り組み姿勢として定着していけば、それは立派な働き方改革といえるのではないでしょうか。
民間で広がる「ゆう活」導入事例
現在「ゆう活」は、7~8月にかけて、国家公務員の働き方に導入されています。一般的には未だ十分な取り組み状況とは言えませんが、今日の働き方改革においては、民間企業における導入が奨励されています。
既にSHARES LABでもご紹介した東京都独自の奨励金・助成金においては、「ゆう活」等の「朝方の働き方」についても助成対象事業のひとつとしていますね。
「ゆう活を導入したいが、具体的にどのように取り組めば良いか分からない」という場合には、政府が公開する民間の「ゆう活」導入事例を参考にされてみると良いでしょう。
出典: 政府広報オンライン「取り組み事例」
・朝早く出社した社員にパンを配布する「朝パン」、おにぎりを配布する「モーむす(モーニングおむすび)」制度の導入
・21時になったらオフィスを消灯、帰宅を促す「残れナイン」の導入
・金曜日は残業をせずに定時退社を義務付ける「マイライフデー」の実施
など、ユニークでありながらも、しっかりと結果につながった事例を中心に紹介されています。
御社では、どのようなことができそうでしょうか?他社事例を知れば、さっそく前向きに検討したくなることでしょう。
まとめ
今号でご紹介した「ゆう活」については、実際の現場においては未だ賛否両論ある制度です。「労働時間が前倒しになっただけで結果的に状況が変わらない(むしろ労働時間が長くなっている)」「朝早く出てこられない労働者への配慮に欠ける」などの課題が浮き彫りになっているケースもあり、導入においては様々な懸念事項について十分に検討した上で、適切な制度を作り上げていく必要がありそうです。
「ゆう活」の導入については社会保険労務士がご相談を承ります。ぜひお気軽にお問い合わせください。