台風接近中!帰宅命令はどうする?発令基準は?企業の対応策を解説
労務


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先日の台風13号に引き続き、すでに日本の南では台風14号が北上中とのこと。「今年は特に台風が多いな」と感じている方も、多いのではないでしょうか?沖縄気象台によると、今年は平年よりも太平洋の海面温度が高いために、台風の発生条件が特に揃いやすくなっているとのことで、今後も注意が必要です。

ところで、台風接近時、御社では帰宅命令を出しましたか?このあたりは、各社対応が分かれるところでしょう。今号では、台風に伴う帰宅命令について、明確な基準はあるのか、給与はどうするのか、企業としてどう対応すべきかついて、ざっくりと解説することにしましょう。

台風接近に伴う帰宅命令に、法律上の明確な基準はない


今回の台風13号接近に伴い、企業では、風雨が強まる前の段階で早々に帰宅命令を出した例もあれば、いよいよ暴風域に入った時点で命令を出した例、もしくは会社として帰宅指示は出さなかった例など、様々な対応が見られました。また、命令として指示したケース、判断はあくまで本人に委ねる形で帰宅を促したケースなど、指示のニュアンスにも違いがあったように思います。

台風が接近している時、帰宅命令を出すべきか否か、出すのであればどんなタイミングで発令すべきなのかについて、法律上の決まりはありません。しかしながら、企業等の事業者は労働者に対し安全配慮義務を負っていることから、台風等の自然災害時には働く人の生命や身体の安全確保について最善を尽くす必要があります。

冒頭の例では、まず「暴風域に入ってからの帰宅命令」では、労働者の帰宅時の安全が確保されているとは言い難いでしょう。なるべく早期に現状や今後の予測を十分に考慮し、帰宅指示を出す場合にはどのタイミングで発令するのが適切なのかを検討すべきです。その際には、労働者それぞれの居住地域ごとに発令時点をずらす等の配慮も必要です。

また、万が一判断が遅れ、いよいよ風雨が強まってきた、交通機関に乱れが生じてきた等の場合には、労働者の安全確保のため、また、帰宅困難者を出さないためにも、「社内待機」の選択肢にも目を向けるべき場合があります。会社はこのような事態を想定し、必要な食料や防寒具等の非常備品を備蓄しておかなければなりませんが、御社での準備は万全でしょうか?一応の準備があっても、「足りない」「役に立たない」「すでに賞味期限切れ」では意味がありません。定期的な確認は必須といえます。

「帰宅命令=業務命令」であれば、有給扱いが望ましい


原則、自然災害時などの不可抗力によって事業所自体の運営が不可能となった場合、労働者に対して帰宅命令、つまりその日の業務を一部休業させても、会社都合となりません。この場合には、命令によって就業しなかった部分については無給扱いとして差し支えないことになっています。

ただし、多くの会社ではそれ以前に帰宅を命令すると思います。このような場合、実際にはまだ働ける状態であるにも関わらず、会社都合で労働者を帰宅させることになりますから、有給扱いとして処理する必要があります。
労働基準法上、会社都合での休業については、休業手当として「平均賃金の6割以上」を支払う定めとなっています。労働者が帰宅する時点でその日の賃金が平均賃金の6割を超えないときには、すでに労働した分の賃金と平均賃金6割に達する分との差額を支払う必要があります。

ただし、会社の帰宅指示が業務命令としてではなく、帰宅するかどうかを労働者の判断に委ねるような趣旨のものであれば、休業手当の支払い義務は生じません。ただし、会社は労働者の安全確保の観点から、指示レベルで良いのか、帰宅命令にすべきか否かを慎重に判断しなければなりません。

自然災害時の対応策は、事前に定めておくべき


台風接近時に帰宅命令を出すかどうか等の万が一のときの対応は、「いざその時になったら考えれば良い」といった類のものではありません。原則としてどのような方針をとるのか、実際の判断や指示はいつの時点で、誰がどのように行い、どんな方法で伝達するのかを、予め明確にしておかれることをお勧めします。
そして、労働者にも周知しておきましょう。自然災害は台風のみならず、地震や洪水、豪雪、豪雨などあらゆるケースが想定されます。会社としてルールを持っておくと、不測の事態にも冷静に対応しやすくなります。

まとめ


今号では、「台風接近に伴う帰宅命令」をテーマに、もしもの時の対応と給与について、簡単にご紹介しました。今回のお話からは若干逸れますが、「今後、会社の防災対策を万全にしたい」という場合に参考になる資料が、政府より公開されていますので、ぜひご一読ください。

参考:内閣府「中小企業の防災・事業継続の手引き」

折をみて、御社の防災対策、万が一の際の事業継続について、考えてみてはいかがでしょうか?

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