国の行政機関の障害者雇用水増し問題とは何か。障害者雇用について専門家が解説。
労務


最近ニュースを賑わせているのが、国の行政機関の障害者雇用水増し問題。ところが、そもそも何が問題なの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。企業はある程度の規模となると、障害者を一定率で雇う義務が発生します。
ここでは、企業と障害者雇用の関係について解説します。

この記事の目次

1. 社員が46人以上で障害者を雇う義務が発生する

まず前提として、障害者雇用率制度というものがあり、企業は常時雇用している者のうち2.2%は障害者でなければいけません。端数人数は切捨てになりますので、46人以上になって初めて障害者の雇用義務が発生することになります。これが国の行政機関の場合、2.5%になります。この割合を法定雇用率と言います。
ここで言う「常時雇用している」とは、1年以上雇用される見込みのある有期雇用者や週20時間以上労働しているパートタイマーも含まれます。

社員数が100名超になると、障害者の雇用義務を満たしていない場合に、1人当たり50,000円の納付金を納める義務が発生します。逆に雇用義務の人数より多い障害者雇用をしている場合には1人当たり27,000円の調整金が支給されます。

具体的には、毎年6月頃に障害者の雇用状況を知らせる用紙がハローワークから届きます。会社は6月1日時点の障害者の雇用状況を記載して、返信することになります。この時に法定雇用率に従った障害者雇用をしていることが望まれます。

ちなみに、原則は1企業あたりの障害者雇用で計算をしますが、グループ会社や親子会社で、障害者を多く雇う会社(特例子会社といいます)を作り、グループ全体、親子の合計で法定雇用率を達成していても構いません。

2. そもそも「障害者」とは?

では、障害者の定義は何でしょうか?厚生労働省のHPでは、以下のように説明をしています。

障害者雇用率制度の上では、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を実雇用率の算定対象としています。

まず、障害者手帳を持っているかどうかを確認してください。人によっては、見た目では障害者であることがわからず、かつこの障害者雇用率制度を知らないことがあり、障害者の手帳を持ちながら、それを会社に申告していないということがあります。そのため、社員全員にこの障害者雇用率制度を説明して、障害者手帳を持っていれば速やかに申告するように周知しておきましょう。

なお、重度の身体障害者、知的障害者を週30時間以上で雇った場合、障害者を2人としてカウントします。週20時間以上30時間未満で障害者を雇う場合は0.5人(重度の場合は1人)としてカウントします。

統合失調症や発達障害など、手帳を持たない方はこの障害者雇用率制度の対象とはなりません。

3. 何が問題なの?

実は6月1日時点の障害者の雇用状況を報告する際、障害者であることの証明などを添付する必要は現在のところありません。よって、数字の記入は会社の良心に任されている側面がありました。

さらに、通知書には手帳について「原則として」という記述があったため、手帳がない、あるいは確認が取れなくても、自社に都合良く障害者扱いするという拡大解釈が常態化していたことがわかりました。結局、担当者は罪の意識も無く、形骸化した書類の記載を行っていたのでしょう。

これは真面目に障害者雇用に取り組んでいた会社から見ると、面白くありません。ましてや、100名を超える企業であれば、お金に絡んでくる問題です。国の行政機関であればこそ、企業の手本となれるように、障害者雇用にきちんと取り組んでいただきたいところです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。障害者雇用にも一定のルールがあるのです。
企業や国の行政機関には障害者の法定雇用率というものがあり、一定の率を上回る障害者雇用を行う必要があります。100名超の企業であれば、納付金、調整金が発生します。

今回の問題は、国の行政機関という手本となるべきところで、障害者雇用のルールを守っていなかったというところにあります。今回の問題を機会に運用を見直すところがあるかもしれませんので、今後の政府の発表に注視していきましょう。

障害者雇用については、助成金の活用も考えられます。障害者の雇用をお考えなら、ぜひ社会保険労務士にご相談ください。

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